殺し屋JD、時給1,000万円 厄災ハントする

ぺぺ

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第一章

オレンジジュース

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「勝手にオレンジジュースにしておきましたがよろしかったでしょうか?」

「あ、はいでも…」

「いいです、いいです、気になさらずに」

「それよりも説明の続きを致しましょう。先ずはお詫びを…お話しするだけではすぐにご理解頂くのは難しいと思い、先に〝本当の世界〟の一部を実際体験頂いた次第です、申し訳ありません」

「本当の世界…?」

「はい、先程申しました人界に加えて、幾つかの界を合わせて本当の世界と言います。人界も今いるこの場所も、どちらも本当の世界の一部です」

「私達が暮らしている世界以外にも知らない世界が沢山あるという事ですか?」

「沢山という程はないですよ。認識されていない領域と言った方がニュアンスは近しいかも知れません。あくまでイメージの話ですが、地上二階建て、地階四階まであるビルを想像してみてください」

「ビル全体が本当の世界、その区分として、人界が一階、二階に天上界という領域があります。人界から地下一階に修羅界、二階に畜生界、三階が餓鬼界、最後地獄界とあり、それら六つの領域によって構成されています」

「地獄…ですか…」

「人界でも地獄って言いますね。あの地獄が全て間違いということは無いのですが、あのままイメージをスライドさせると、本当の世界は理解出来ません」

「間違いじゃないけど、あの地獄じゃ駄目なんですか?鬼がいて、針の山と血の池がある」

「そうなんです、あれは地獄界のエネルギー区分
を人界の物理に当てはめて図像化したものなので、間違ってないけれど全然違うという事なのですが…」

アオサギさんは困った様な薄笑いで言葉を続ける。

「そもそも、物の形や質量が存在するのは人界だけでなんです。これを説明するには本当の世界の話をもう少し詳しくせねばなりません、よろしいでしょうか?」

「は、はい…」

「あ、どうぞ、オレンジジュースご遠慮なさらずに」

「あ、ありがとうございます」

自分も珈琲を一口口に含み、アオサギさんが話を続ける。
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