殺し屋JD、時給1,000万円 厄災ハントする

ぺぺ

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第一章

我が子を喰らうサトゥルヌス

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スチールロッカーの暗闇を潜ると、幅が10m以上はある石造の回廊の真ん中だった。

前後等間隔の灯りが闇に紛れるまで続き何処まで続いているのかは分からない。

ロッカーから程近く、額装された一枚の絵画が、燭台に灯された蝋燭の火に照らされている。


「ここは何処ですか…?」

「本当の世界で言いますと、先程の喫茶店と同じ場所、屯所の一部です」

「屯所は、姿形のある人界とエネルギーの貯蓄領域である四界の間にあるので、実態が有って無いい状態、有って無い領域なのです。なので、人界と四界のエネルギーを使って何でも具現化できます」

「……」

「人界が連続的であるのに対し、屯所には連続性が無いという違いはあるのですが…」

「………」

「まぁまぁ、基本的に人界だと思っておいて頂いて結構です」

そういうとアオサギさんは蝋燭の火に照らされた絵にカツカツと歩み寄り、私も一緒に近づいた。

「教科書で見た事あります、この絵」

「我が子を喰らうサトゥルヌス、フランシスコ=デ=ゴヤの晩年の作品の一つです」

「将来我が子に殺されるという予言を信じて、殺される前に殺して食べちゃったサトゥルヌスさん、というローマ神話の一節を描いた絵です」

「サトゥルヌス酷いですね…」

「私に多少知識があるのもありますが、人界へ繋がる入り口を作る時、画家や彫刻家、芸術家の作った作品の形で現れるようになっています。ここに描かれてるのはローマ神話の一節ですが、描いたゴヤはこの画題を借りて色々な思いを塗り重ね描き連ねているわけで、謂わば思念の結晶体なわけで、

・描いてある事(見えてる事)が全てでは無い
・エネルギーが過度に集中している

という2点において、人界で起こっているエネルギー過多な箇所と接続しやすいのです」

「このゴヤの絵は、先程雫さんが面接を受けていらっしゃった場面の入り口になっていますから、組織系列店全て根絶やしにしてきて頂くのが今回のアルバイトの内容です」

「ご安心下さい。これは全て屯所で起こっている内容で、実際の人界には相応のペナルティが下されますが、人が死ぬ事は決してありません」

「因みに、報酬は時給換算で1,000万円です」

「え?」

「人界の金額で1,000万円ですよ、キリがいいでしょ?」

「キリとか…じゃなくって、単純に多過ぎませんか…?」

「いえいえ妥当な金額ですよ。人界時間で1時間、1,000万円やって頂けますか?お試しで結構ですよ。一度やってみて駄目ならそれでも全く問題ありませんし」

「根絶やしにするのは簡単だけど、本当に人は死なないのですか…?」

「それは保証致します。大丈夫です」


1,000万円…
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