モノツキフェアリー

メガゴールド

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13話  いいからバット手放しな

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「なんかペチャクチャ話してやがったがよ、おれからバット取り上げる気みたいじゃねえか」

 ダイキチは顔を真っ赤にして怒ってる。
 妖精……ダゲキくんは見えてないはずだけど、会話でなんとなく察したのかな?
 ダゲキくんは見えなくても、声はなんか聞こえるっぽいし……

「妖精がなんだとか言ってたけどよ、わけわからんとは思いつつ、納得はしてる」

 へ?

「このバットは普通じゃねえってのはわかる。他のバットじゃあんなに打てる事ねえからな。練習でもホームランなんか打った事ねえし」

 練習でも打てないものが本番で打てるわけないもんね。いくらこいつが自信家と言っても、ダゲキくんのパワーは理解してたわけだ。

 いやそもそも縁起のいいバット持ってるって言ったのダイキチ本人だしね。
 チームメイト達にだけ、見栄みえはって実力って言ってただけか。

 チームメイトや監督達に実力じゃないって思われたらスタメン外されちゃうもんね。

「妖精ってのが入ってるせいで打てるって言うならよ、おれは絶対に手放す気はねえぞ」

 ま、そりゃそうだよね。
 こいつがインチキで打ててるなら手放す、なんて考えもってるわけないもん。
 インチキだろうと打てればいいって考え方だよね~。

「インチキで打って楽しいのかとか、言いたいんだろ小田」
「……あまり良いこととは思わないけど、それが理由で手放せってことじゃないんだ。うまい話には裏があるとか言うでしょ?」

 そうなの?

「妖精はね、頼りすぎたり悪い事に使うと呪いの道具に変わっちゃうんだ。だから……」
「うるせえ! 信じられるかそんなもん! 現に今おれは打ててるんだからな!」
「次からそうはいかなくなる」
「そんなわけあるか! 親父やじいさんから受け継がれたものだぞ! それに……」

 ダイキチは勉強机に置いてあるボールを見る。……なんかサイン書いてある? プロのサインボールとか?

「おれは将来プロ野球選手になるんだ! そのためならインチキだろうとこのバットを使い続けるぜ!」

 プロ野球選手になりたいんだダイキチのヤツ。なら打てるバットを手放せなんて言って、はいとは言えないか……

「……プロになりたいなら、なおさら妖精に頼るべきじゃないよ」
「は?」
「打てるバットに頼った打撃ばかりしてたらさ、成長なんてしない。いざバットがなくなった時、何もできなくなるよ」

 ……正しいかも。
 
 木のバットとかいつか折れるかもしれないし。

「打てないボールを考えたりして、打てるよう努力する。でも必ず打てるならそんな努力できなくなるんだ」
「うるせえ! 打てないとスタメンになれねえ! 試合にも出れないんだぞ!」

 試合に出れないって事は、元々の実力は他のチームメイトより下ってことか……
 それで調子のるのはどうかと思うね……

「どんだけ練習してもな! 試合に出れなかったら意味ない! だからおれはこのバットに頼る! それの何がいけねえんだよ!」
「これからずっと出れないとは限らないでしょ」
「試合に出て活躍すれば、強い学校やチームにスカウトされ、プロの道が見えてくる。控えやそれ以下の時間なんておれにはいらねえんだ!」

 ……小学生なのにプロへの道わりと考えてるんだな……
 あたしなんて将来なんて何も考えてないよ。
 うむむ……あまり強く否定できないような……

「とにかく出てけ! おれはバットは手放さないからな!」

 お怒りのダイキチに、あたしと小田くんは家から追い出された。

 う~ん困った。
 あの様子だとバットを取り上げるのは難しいだろうね……
 プロになるため、なんて言われると強気に出れないよ。

 夢かあ……
 夢を奪うような事は確かに……

「一応の目的は達成できたね」

 小田くんはそう言った。
 ――へ?

「達成って? バットは取り上げられな……」

 あたしは大事な事を忘れていた。

 不思議な力で打てるようになったのはバットのおかげではなく、そこに潜む妖精のダゲキくんのおかげ。
 
 ダゲキくんがバットの中にいなければ意味はない。

 そしてダゲキくんは……

 小田くんの肩に乗っている。

「え、ダゲキくん……ついてきたの?」
『こいつが痛い目見せるために、少しだけバットから離れろって言うから』

 ええ!?
 素直に一緒に来てくれたの!?

 よほどダイキチに不満あったんだね……

「ダゲキくんの大切さ、身を持って彼は知ることになると思うよ」
『へへ楽しみだなそれ』

 ……
 これで悪玉というのになる事ないなら、良いことなのかもしれないけど……

 大丈夫なのかなダイキチのやつ。
 いや、別にあんなヤツどうでもいいけど、夢とか聞くとなあ……
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