51 / 60
理事長邸襲撃
51話 こんな形で戦いたくなかった
しおりを挟む
ワイズ……来てしまったのか……
彼はアイリスさんを人質に呼ばれたのか?
「来たなワイズ。このゴミ虫野郎」
急に口調が荒くなる理事長。
「いやあ待ちに待ったよ。お前が無様にくたばる姿……夢にまで見た最高の瞬間を見れる!」
狂喜とも思える笑みを浮かべている……はっきり言って気持ち悪いの一言だ。
「そんな戯れ言はいいですので、わたしの秘書を返してもらえないかな」
秘書? アイリスさんの事か。
「相も変わらず忌々しい……エクス! ワイズを殺せ! でないとこの二人の命はない!」
――理事長は母様を平手打ちにした! 母様は弱々しくその場に倒れた。
「母様! 理事長貴様!」
母様を、母様を叩いた……ゆるせない! 僕の大事な母様に!
「黙れ永遠の二番手風情が! 早くワイズを殺せ! これは命令だ!」
「ぐっ……」
「そしてワイズ……手を出してみろ。このエクスの家族二人と、アイリス嬢の命もない。まさか魔王になろうなんて者が、三人を見捨てたりしないよなあ?」
憎たらしく笑いながら理事長はワイズに視線を向ける。
ワイズはため息をつく。
「小物……まさに小物そのものですねゼットさん。そんなあなたに魔王の資格などない。似合うのは牢屋の中ですかね」
「クソガキがあ! 死ね死ね死ね! お前のようなゴミに、魔王の座などもったいないんだよ! 力しかない能無しが!」
「あいにく、あなたにはその力もないわけですが」
たまらず理事長は魔導弾、魔力の弾丸をワイズに放つも、彼は軽く水魔法で防いでみせる。
やはり……強い。普通に戦えば理事長程度では歯が立たない事だろう。
「何抵抗してやがるクソ虫がああ! 人質が! 見えてないのか!」
理事長はアイリスさんにナイフを突きつける。
「ワイズ様! ワタシの事なんていいので!」
「黙れ! そこは助けを乞うところだろうが!」
まずいな……あんなに頭に血が上ってしまっては、何があってもおかしくない……
「エクス! 何してる! ワイズを殺せ! この二人殺してやろうか!」
理事長は倒れてる母様を踏みつけた!
こいつ!
……ぐぐ……耐えるしかないのか……
母様……
僕はワイズを視線を向ける。
「ワイズくん。……すまない」
僕は謝罪する。
……こんな形で君と戦いたくなんて……なかった。
「気にする事はない。人質がいるんだ。家族なんだろう? なら、大事にしないとね」
ワイズは……笑っている。
僕は……武器を生成する。
いつもなら、ワイズの水魔法が射出され、武器は砕かれる。……でも彼は今回ばかりは動かない。
抵抗できないから……
「エクスさん! やめてよ! お兄ちゃんに攻撃しないで!」
シールちゃんの訴え……ごめん。僕もしたくはないんだ……
今シールちゃんの身体能力は僕にある。ゆえに彼女は割って入る力も今はない。
普段なら性格上割って入ってきてるところだろうけど……
ユーノさんも疲弊してる事で動けない。彼女もまた、心配そうにこちらを見つめている。
ごめん。ごめんなさい。
こんな、誰からも愛されないどうでもいい奴が、みんなから好かれる魔王筆頭のワイズを手にかけないといけないなんて……
許されることじゃないのに……
「早く殺れエクス・リコード! このアバズレ女を殺すぞ!」
「あ、あああ!」
踏みつける力を増し、母様は苦痛に悶える……
やるしか……ないのか!?
いや、むしろ僕が自殺でもすれば……
――ワイズは、自らの首を指す。気にせずこい。そう言ってるように見えた。
ワイズは最強だ。
全力で攻撃しても、大丈夫なのかも……しれない。
僕は頷き……目にも映らぬ最高速度でワイズに向かい……切りかかる。
「お兄ちゃん!」
シールちゃんの叫びもむなしく僕の剣はワイズに届く……
「……」
ワイズはその瞬間、僕に……ある言葉を告げた。
――その後、血しぶきが舞い……
ワイズは……僕の目の前で……
倒れた。
彼はアイリスさんを人質に呼ばれたのか?
「来たなワイズ。このゴミ虫野郎」
急に口調が荒くなる理事長。
「いやあ待ちに待ったよ。お前が無様にくたばる姿……夢にまで見た最高の瞬間を見れる!」
狂喜とも思える笑みを浮かべている……はっきり言って気持ち悪いの一言だ。
「そんな戯れ言はいいですので、わたしの秘書を返してもらえないかな」
秘書? アイリスさんの事か。
「相も変わらず忌々しい……エクス! ワイズを殺せ! でないとこの二人の命はない!」
――理事長は母様を平手打ちにした! 母様は弱々しくその場に倒れた。
「母様! 理事長貴様!」
母様を、母様を叩いた……ゆるせない! 僕の大事な母様に!
「黙れ永遠の二番手風情が! 早くワイズを殺せ! これは命令だ!」
「ぐっ……」
「そしてワイズ……手を出してみろ。このエクスの家族二人と、アイリス嬢の命もない。まさか魔王になろうなんて者が、三人を見捨てたりしないよなあ?」
憎たらしく笑いながら理事長はワイズに視線を向ける。
ワイズはため息をつく。
「小物……まさに小物そのものですねゼットさん。そんなあなたに魔王の資格などない。似合うのは牢屋の中ですかね」
「クソガキがあ! 死ね死ね死ね! お前のようなゴミに、魔王の座などもったいないんだよ! 力しかない能無しが!」
「あいにく、あなたにはその力もないわけですが」
たまらず理事長は魔導弾、魔力の弾丸をワイズに放つも、彼は軽く水魔法で防いでみせる。
やはり……強い。普通に戦えば理事長程度では歯が立たない事だろう。
「何抵抗してやがるクソ虫がああ! 人質が! 見えてないのか!」
理事長はアイリスさんにナイフを突きつける。
「ワイズ様! ワタシの事なんていいので!」
「黙れ! そこは助けを乞うところだろうが!」
まずいな……あんなに頭に血が上ってしまっては、何があってもおかしくない……
「エクス! 何してる! ワイズを殺せ! この二人殺してやろうか!」
理事長は倒れてる母様を踏みつけた!
こいつ!
……ぐぐ……耐えるしかないのか……
母様……
僕はワイズを視線を向ける。
「ワイズくん。……すまない」
僕は謝罪する。
……こんな形で君と戦いたくなんて……なかった。
「気にする事はない。人質がいるんだ。家族なんだろう? なら、大事にしないとね」
ワイズは……笑っている。
僕は……武器を生成する。
いつもなら、ワイズの水魔法が射出され、武器は砕かれる。……でも彼は今回ばかりは動かない。
抵抗できないから……
「エクスさん! やめてよ! お兄ちゃんに攻撃しないで!」
シールちゃんの訴え……ごめん。僕もしたくはないんだ……
今シールちゃんの身体能力は僕にある。ゆえに彼女は割って入る力も今はない。
普段なら性格上割って入ってきてるところだろうけど……
ユーノさんも疲弊してる事で動けない。彼女もまた、心配そうにこちらを見つめている。
ごめん。ごめんなさい。
こんな、誰からも愛されないどうでもいい奴が、みんなから好かれる魔王筆頭のワイズを手にかけないといけないなんて……
許されることじゃないのに……
「早く殺れエクス・リコード! このアバズレ女を殺すぞ!」
「あ、あああ!」
踏みつける力を増し、母様は苦痛に悶える……
やるしか……ないのか!?
いや、むしろ僕が自殺でもすれば……
――ワイズは、自らの首を指す。気にせずこい。そう言ってるように見えた。
ワイズは最強だ。
全力で攻撃しても、大丈夫なのかも……しれない。
僕は頷き……目にも映らぬ最高速度でワイズに向かい……切りかかる。
「お兄ちゃん!」
シールちゃんの叫びもむなしく僕の剣はワイズに届く……
「……」
ワイズはその瞬間、僕に……ある言葉を告げた。
――その後、血しぶきが舞い……
ワイズは……僕の目の前で……
倒れた。
10
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる