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巨人ありて大望す
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怒声と悲鳴、爆発音、四方からのあらゆる音に囲まれながら、『吹き溜まり』たちは休憩を取っていた。
『蝉』と『カブトムシ』は木に組み付いて樹液を吸い、『ザリガニ』は草むらに身を置いている。
巨大怪生物を眺めながら、隊員たちはひそひそと言葉を交わし、その生みの親であるゴーダーと幹部たちの会議の結論を待っていた。
『吹き溜まり』には幹部と言える人物が6人いる。
一人目は言わずと知れたゴーダ―。隊員からは『大将』と呼ばれている。元は隊にあって『肩書だけ』は立派なことから『お山の大将』と嘲って他軍が綽名したのが所以で、本人が気にしなかったことと言いやすさから隊員も山を抜いてそう呼ぶようになっていた。
「とりあえず本国に逃げることを考えよう」
その副官で森長耳の少女・サイレ。所属の特徴である長耳と縮れた緑の髪、森に生きるうちに培ってきたしなやかな四肢を持っていたが、脚が異様に筋骨隆々であるのが目立った。
「私も賛成します」
ひときわ大きいのは巨岩(トロル)のタイトンである。岩のような肌に包まれた巨体に似合わず、顔立ちは穏やかで目がつぶらだった。彼の種族で軍学校に入るのは珍しい。
「それがいいなあ」
タイトンの傍にいるせいでより小柄が強調されているのは小鬼(ゴブリン)のハールーイだ。自身の半分ほどもある教本を神経質に開き、大きな目と鼻を駆使して最善を手繰り寄せ、判断の際はそれに従う性質だった。
「いいえ、教本によると他隊と合流すべきです」
彼に頷いてみせるのは水棲人(マーマン)のナンイである。青い肌は陸上生活に応じて粘液で水分を保持し、常に空気中から水を吸収している。独立運動が活発化し、政治にも軍事にも距離を置いている種族にあって軍学校に進んだ変わり種だ。
「ハールーイに賛成だ、多少は暴れないとな」
最後の一人は鎧に寄生した粘手種(パライサ)のフウ。死骸に取りつき触手を筋肉として動かし暮らす種族で、鎧の隙間からその繊維の束が伺えた。彼らはロトシーが開拓した地にいた原住民で、幾度かの交戦と対話の後に加盟と言う名の不干渉主義で決着をつけた。
「私も賛成だわ、逃げるのはいいけれど、後になって馬鹿にされるのは愉快じゃないもの」
賛成が3、反対が3で割れた。
「よし、現状維持で隠れてよう」
「だめですよ」
サイレがゴーダ―をたしなめた。
「戦火は激しくなるばっかりなんですから、どっちかには決めてください」
「そうか……それなら逃げよう。戦争は怖いしな」
ハールーイら抗戦派は文句を言ったが、それでも抗おうとはしなかった。彼らに限らずいずれも種族、家柄、能力で選別され落伍者として扱われた面々であり、分け隔てない大将には好感を持っていたからだ。
今回はそれに加えて、ゴーダ―が呼んだあの巨大怪生物に助けられてもいる。
ナンイがするりとゴーダ―の肩を抱いた。
「それにしても大将があんな召喚ができるとは知らなかったぞ」
「たまたまさ……」
ゴーダ―は3匹を遠い目で見て答えた。隊員が『蝉』にちょっかいを出そうとして小便を引っ掛けられている。
サイレが立ち上がり、衆目を集めるために手を叩いた。
「休憩は終わり、また逃げますよ」
隊員たちが緩慢な動きで立ち上がろうとする中、小鬼の少女が飛び上がってあっと叫んだ。
「サイレさん、敵が来るって!」
「‼ 急いで乗って!」
土小人(ドワーフ)の青年が首を振り手を交錯させる。
「駄目だ! すぐそこに来てる!」
逃げる動作は人一倍早い隊員たちは、ゴーダ―の後ろに素早く隠れた。タイトンが彼らを守らんと間に入り、ナンイとフウは前に出る。
呆れともあきらめともつかない溜息を大将は吐き出す。
「俺を盾にして……」
「矢面にしてるんじゃないんですよ、応えてください」
森の中から敵国兵士が飛び出てきた。
索敵の鈍さは隊員たちの能力不足であると同時に、彼らが乗りこなしている獣にあった。牙と爪を持った黒い獣で、目が8つほどもある。
ハールーイが別の教本を開いて読み上げた。
「急襲部隊の乗りこなす獣です! 噛まれれば巨岩の肌にも穴があきます! 注意するのです!」
隊員たちが彼の言葉に歓声をあげ、ハールーイも照れて見せた。このやりとりは能力的にも立場的にも彼の独壇場であり、どれほど当たり前でも切羽詰まっても欠かさなかった。
敵兵たちは隊を二つに分け、巨大怪生物と20隊それぞれに襲い掛かってきた。すでにこの前に学生隊と交戦し難なく滅ぼしたことで、何するものぞと言う覇気に満ち満ちていたのだ。
彼らは知らない、『吹き溜まり』相手ならば2勝目を容易く得られることを。
そして、『大将』ゴーダ―がいることも。
彼の口笛に呼応して、3匹は素早くその元へそろい踏みした。
「合体なり!」
3匹は変形した、『蝉』と『カブトムシ』は上半身、『ザリガニ』は下半身、明らかに肉体が分離し、組み変わり、それでも尚形成していく。
現れたのは恐ろしい顔をした巨人である。赤い目、青い角、牙の生えそろった虚空のような口。
背には羽、両腕には刃と鋏、周囲の木々が腰に届かない程の巨体。いたるところに突起が突き出て、攻撃的な雰囲気をより強めている。
隊員たちはさらに大きな声援を送り、ハールーイは嫉妬に歯噛みした。
タイトンは感心したように巨人を見上げ、ナンイとフウは頼もし気にゴーダーの肩を叩く。サイレは怖がってやや距離をとって経緯を見守っていた。
巨人は敵兵たちを見下ろして、ゴーダ―へと尋ねた。その場の全員に等しく響く、何か特殊な音を用いての発声で人工音のような声だった。
「ボス、やっちゃってイインダネ?」
「向こうも軍人だ仕方ない、思い切りだぞ」
「了カイ」
巨人は敵兵へ鋏を向けて大きく開いた。
思いがけない事態に様子を伺っていた敵兵らは、攻撃を予感し散開する。
だが、それは全く意味を成さなかった。
鋏の間から光弾が雨の如く発射され、掠めただけで獣ごと敵兵を消滅させたからだ。逃げようにも『雨』の範囲から逃れる前に消滅させられる、鎧も術も貫かれる、叫びは届く前に掻き消える。
大木が削り取られ消滅し、大地の草さえ残らない。
ナンイは興奮して巨人の足を叩き、突起に切り傷をつけられながらも彼を称賛する。
「すごいじゃないか!」
「これは所謂ケンセイ、ホンキヲ出せばこんなモンジャナイ」
一帯を無数の穴に変え光弾を中止し、巨人は得意げに隊員らを見下ろし声援に浸っていた。
彼らがどこか能天気なのも、ゴーダ―の巨人の故である、既に一度出現して敵を屠り、今回も圧倒的な力を示したのだった。文字通りの瞬殺で、20隊員と敵兵の間には未だ直接戦闘が発生していない。
好戦的なナンイとフウは殊更に喜んで、ゴーダ―が許せば武功を挙げて周囲を見返したいと目論んでいた。人間至上主義の第9軍や、第10軍の他の隊には特に腹立たしさがある。
9軍統括の人間種マイルズ・リン・タイクン、第10軍7隊の『暴風雨』ヤヤヤ・アズウ、第1軍1隊ロウドット、名を馳せている学生にも劣らぬのではと密かに思っている。思わぬ戦争で思わぬ収穫を得た。
一方、ゴーダ―の顔は曇っていた。
殺人への忌避ではない。軍人を志した以上避けようもないことはわかっており、それに韜晦は抱かない。
やむを得ずとはいえ、この力を出してしまったこと気にかかっていた。最悪でも、両親と妹には知られてはならない。隠しておかねばならない力なのだ。
「なるべく早く本部に戻ろう」
「はい」
ゴーダ―に指示されて、サンイは手を叩いて隊員を纏めようとしたが、興奮しているのと元から問題児の集まりであるために、意思統一に手間取っていた。
「タイトン、もう捕まえちゃってください」
「わかったよ」
業を煮やしたサンイが命じたが、年少組が鬼追いと勘違いして逃げ出してますます混迷は強まっていった。特に初参加者は戦争勃発の危機を理解できておらず、巨人の存在もあって演習気分が抜けていない。これは、20隊全員に言えることだったが。
巨人を基の3怪生物に戻しながら、ゴーダ―はどうか何事もなく本国にたどり着けるように願っていた。隊員も無事、戦争もここで終わり全面的なものにならず、いつもの日々に帰還できるようにと。
ささやかな願いであるが、願いである以上その代価は要求される。そして大小が釣り合わないことも、往々にしてあることだった。
『蝉』と『カブトムシ』は木に組み付いて樹液を吸い、『ザリガニ』は草むらに身を置いている。
巨大怪生物を眺めながら、隊員たちはひそひそと言葉を交わし、その生みの親であるゴーダーと幹部たちの会議の結論を待っていた。
『吹き溜まり』には幹部と言える人物が6人いる。
一人目は言わずと知れたゴーダ―。隊員からは『大将』と呼ばれている。元は隊にあって『肩書だけ』は立派なことから『お山の大将』と嘲って他軍が綽名したのが所以で、本人が気にしなかったことと言いやすさから隊員も山を抜いてそう呼ぶようになっていた。
「とりあえず本国に逃げることを考えよう」
その副官で森長耳の少女・サイレ。所属の特徴である長耳と縮れた緑の髪、森に生きるうちに培ってきたしなやかな四肢を持っていたが、脚が異様に筋骨隆々であるのが目立った。
「私も賛成します」
ひときわ大きいのは巨岩(トロル)のタイトンである。岩のような肌に包まれた巨体に似合わず、顔立ちは穏やかで目がつぶらだった。彼の種族で軍学校に入るのは珍しい。
「それがいいなあ」
タイトンの傍にいるせいでより小柄が強調されているのは小鬼(ゴブリン)のハールーイだ。自身の半分ほどもある教本を神経質に開き、大きな目と鼻を駆使して最善を手繰り寄せ、判断の際はそれに従う性質だった。
「いいえ、教本によると他隊と合流すべきです」
彼に頷いてみせるのは水棲人(マーマン)のナンイである。青い肌は陸上生活に応じて粘液で水分を保持し、常に空気中から水を吸収している。独立運動が活発化し、政治にも軍事にも距離を置いている種族にあって軍学校に進んだ変わり種だ。
「ハールーイに賛成だ、多少は暴れないとな」
最後の一人は鎧に寄生した粘手種(パライサ)のフウ。死骸に取りつき触手を筋肉として動かし暮らす種族で、鎧の隙間からその繊維の束が伺えた。彼らはロトシーが開拓した地にいた原住民で、幾度かの交戦と対話の後に加盟と言う名の不干渉主義で決着をつけた。
「私も賛成だわ、逃げるのはいいけれど、後になって馬鹿にされるのは愉快じゃないもの」
賛成が3、反対が3で割れた。
「よし、現状維持で隠れてよう」
「だめですよ」
サイレがゴーダ―をたしなめた。
「戦火は激しくなるばっかりなんですから、どっちかには決めてください」
「そうか……それなら逃げよう。戦争は怖いしな」
ハールーイら抗戦派は文句を言ったが、それでも抗おうとはしなかった。彼らに限らずいずれも種族、家柄、能力で選別され落伍者として扱われた面々であり、分け隔てない大将には好感を持っていたからだ。
今回はそれに加えて、ゴーダ―が呼んだあの巨大怪生物に助けられてもいる。
ナンイがするりとゴーダ―の肩を抱いた。
「それにしても大将があんな召喚ができるとは知らなかったぞ」
「たまたまさ……」
ゴーダ―は3匹を遠い目で見て答えた。隊員が『蝉』にちょっかいを出そうとして小便を引っ掛けられている。
サイレが立ち上がり、衆目を集めるために手を叩いた。
「休憩は終わり、また逃げますよ」
隊員たちが緩慢な動きで立ち上がろうとする中、小鬼の少女が飛び上がってあっと叫んだ。
「サイレさん、敵が来るって!」
「‼ 急いで乗って!」
土小人(ドワーフ)の青年が首を振り手を交錯させる。
「駄目だ! すぐそこに来てる!」
逃げる動作は人一倍早い隊員たちは、ゴーダ―の後ろに素早く隠れた。タイトンが彼らを守らんと間に入り、ナンイとフウは前に出る。
呆れともあきらめともつかない溜息を大将は吐き出す。
「俺を盾にして……」
「矢面にしてるんじゃないんですよ、応えてください」
森の中から敵国兵士が飛び出てきた。
索敵の鈍さは隊員たちの能力不足であると同時に、彼らが乗りこなしている獣にあった。牙と爪を持った黒い獣で、目が8つほどもある。
ハールーイが別の教本を開いて読み上げた。
「急襲部隊の乗りこなす獣です! 噛まれれば巨岩の肌にも穴があきます! 注意するのです!」
隊員たちが彼の言葉に歓声をあげ、ハールーイも照れて見せた。このやりとりは能力的にも立場的にも彼の独壇場であり、どれほど当たり前でも切羽詰まっても欠かさなかった。
敵兵たちは隊を二つに分け、巨大怪生物と20隊それぞれに襲い掛かってきた。すでにこの前に学生隊と交戦し難なく滅ぼしたことで、何するものぞと言う覇気に満ち満ちていたのだ。
彼らは知らない、『吹き溜まり』相手ならば2勝目を容易く得られることを。
そして、『大将』ゴーダ―がいることも。
彼の口笛に呼応して、3匹は素早くその元へそろい踏みした。
「合体なり!」
3匹は変形した、『蝉』と『カブトムシ』は上半身、『ザリガニ』は下半身、明らかに肉体が分離し、組み変わり、それでも尚形成していく。
現れたのは恐ろしい顔をした巨人である。赤い目、青い角、牙の生えそろった虚空のような口。
背には羽、両腕には刃と鋏、周囲の木々が腰に届かない程の巨体。いたるところに突起が突き出て、攻撃的な雰囲気をより強めている。
隊員たちはさらに大きな声援を送り、ハールーイは嫉妬に歯噛みした。
タイトンは感心したように巨人を見上げ、ナンイとフウは頼もし気にゴーダーの肩を叩く。サイレは怖がってやや距離をとって経緯を見守っていた。
巨人は敵兵たちを見下ろして、ゴーダ―へと尋ねた。その場の全員に等しく響く、何か特殊な音を用いての発声で人工音のような声だった。
「ボス、やっちゃってイインダネ?」
「向こうも軍人だ仕方ない、思い切りだぞ」
「了カイ」
巨人は敵兵へ鋏を向けて大きく開いた。
思いがけない事態に様子を伺っていた敵兵らは、攻撃を予感し散開する。
だが、それは全く意味を成さなかった。
鋏の間から光弾が雨の如く発射され、掠めただけで獣ごと敵兵を消滅させたからだ。逃げようにも『雨』の範囲から逃れる前に消滅させられる、鎧も術も貫かれる、叫びは届く前に掻き消える。
大木が削り取られ消滅し、大地の草さえ残らない。
ナンイは興奮して巨人の足を叩き、突起に切り傷をつけられながらも彼を称賛する。
「すごいじゃないか!」
「これは所謂ケンセイ、ホンキヲ出せばこんなモンジャナイ」
一帯を無数の穴に変え光弾を中止し、巨人は得意げに隊員らを見下ろし声援に浸っていた。
彼らがどこか能天気なのも、ゴーダ―の巨人の故である、既に一度出現して敵を屠り、今回も圧倒的な力を示したのだった。文字通りの瞬殺で、20隊員と敵兵の間には未だ直接戦闘が発生していない。
好戦的なナンイとフウは殊更に喜んで、ゴーダ―が許せば武功を挙げて周囲を見返したいと目論んでいた。人間至上主義の第9軍や、第10軍の他の隊には特に腹立たしさがある。
9軍統括の人間種マイルズ・リン・タイクン、第10軍7隊の『暴風雨』ヤヤヤ・アズウ、第1軍1隊ロウドット、名を馳せている学生にも劣らぬのではと密かに思っている。思わぬ戦争で思わぬ収穫を得た。
一方、ゴーダ―の顔は曇っていた。
殺人への忌避ではない。軍人を志した以上避けようもないことはわかっており、それに韜晦は抱かない。
やむを得ずとはいえ、この力を出してしまったこと気にかかっていた。最悪でも、両親と妹には知られてはならない。隠しておかねばならない力なのだ。
「なるべく早く本部に戻ろう」
「はい」
ゴーダ―に指示されて、サンイは手を叩いて隊員を纏めようとしたが、興奮しているのと元から問題児の集まりであるために、意思統一に手間取っていた。
「タイトン、もう捕まえちゃってください」
「わかったよ」
業を煮やしたサンイが命じたが、年少組が鬼追いと勘違いして逃げ出してますます混迷は強まっていった。特に初参加者は戦争勃発の危機を理解できておらず、巨人の存在もあって演習気分が抜けていない。これは、20隊全員に言えることだったが。
巨人を基の3怪生物に戻しながら、ゴーダ―はどうか何事もなく本国にたどり着けるように願っていた。隊員も無事、戦争もここで終わり全面的なものにならず、いつもの日々に帰還できるようにと。
ささやかな願いであるが、願いである以上その代価は要求される。そして大小が釣り合わないことも、往々にしてあることだった。
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