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喧嘩のち、、

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この家に来て、初めてヒゲを剃った。
寝込んでいる間に不精ヒゲがかなりのびていて、剃るのが面倒になったのだ。

「シャルル、キズ薬あったらくれないか?」

「何?ケガしたの?」

「ただのカミソリまけだ。」

「え?アレス?
ヒゲが無い、、、若い?!」

目を丸くして驚いている。

「若いって、何歳に見えていたんだ?」

「35歳位かな?」

「勘弁してくれよ。
俺はまだ23歳だ。
彼女募集中の独身だぞ。」

「23歳、、、。」

呟きながらヨロヨロと歩き、キズ薬を持ってきてくれる。

「そう言うシャルルは何歳なんだ?」

「17。」

「やっぱり10歳か。」

「違う、17歳!」 

「17歳?!
嘘だろう?」

栄養が足りなくて成長しなかったのだろうか。

いや、食べ物は美味しくて栄養のある物ばかりだった。

きっと小柄な両親なのだろう。
もう成長は止まったかも知れないが、健康ならばそれで良い。
うん、シャルルはこれで良いのだ。

「何か失礼な事考えているでしょう。」

そう言ってほっぺを膨らますシャルルが可愛いかった。

「可愛い奴だな。」

つい、頭を撫でてしまう。

「触るな!
さっさと行っちまえ!」

顔を赤くして噛みついてくる。

こんな弟、良いなと嬉しくなった。



春めいてきてたが、また吹雪で季節は逆戻りした。

ガタガタと家が揺れ、外には出られない。

シャルルが怖がっているようだったので、無理やり抱き締めている。

「離してよ、何するの!
子供じゃないんだから怖くなんか無い!」

そう、いきがっているのも可愛らしい。

「俺が怖いんだ。
もう少しこのままでいてくれ。」

そう言ってみれば、仕方ない人だ、と体の力を抜いた。

俺と同じ石鹸の香りがする。

ゴウゴウと風が鳴る度に震える身体は、俺を頼りにするようにピタリとくっついてくる。

華奢で、ふわふわと柔らかい身体。

まるで、愛しい相手を抱き締めているようだ。

そう、まるで、愛しい彼女のような、、、?


、、、、、、???

ふたつの膨らみが俺の胸に押し付けられていた。

え?

「え?女?」

そう呟いた途端、俺を突き飛ばして部屋へとこもった。

俺の踏み込めない、進入禁止エリアの部屋の中に。


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