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マティアスさんのお母さんだそうです

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朝食を食べ終わった頃、突然マティアスさんのお母さんがやって来た。

『久しぶりね、マティアス。』

背の高い細身の方ですね。
マティアスさんに似た処は、、、高い鼻と切れ長の目元でしょうか。

『突然、どうしたんだ、おふくろ?』

訝しげに聞いてますね。

『あなたが女の子を誘拐してきたって聞いたから、真相を確かめにきたのよ。』

『誰だ、そんなデマを知らせたのは。』

『何も無いところに煙は立たないわ。
この娘の事でしょう?
あら、あちらにも子供が?
マティアスったら、何を始めたの?』

私とビーを見て目を丸くしてます。

『こっちのヒロは道で倒れていたのを保護したんだ。』

『ヒロ?
それって、あなたが飼ってた犬だか猫だかの名前じゃなくって?』

『ヒロは頭をぶつけていて、記憶喪失なんだよ!
とっさに付けちまったんだから良いじゃないか!!』

赤くなって弁解しているマティアスさん、可愛いですね。
頭ナデナデしてあげたくなってしまいます。

『まあ、良いわ。
じゃ、そっちの男の子はどうしたの?』

『そっちは呪術師の見習いだ。
呪術師長が数日寄越しただけだよ。』

『見習い?
随分と小さいのね。
ヒロちゃんの友達にって事なのかしら?』

ビーを見詰めてブツブツ言ってますね。

『まさか、あなたの子供よ、って置いてかれたんじゃないでしょうね?!
心当たりは無いの?!』

『んな訳あるか!!
おふくろ、俺はこれから仕事だ。
さっさと帰れ!!』

あ、マティアスさん、キレてきましたね。
もっとお母さんを大事にしないとダメだと思うんですけど。

『あの、マティアスさんのお母さん?
せっかくですから、お茶でも飲みませんか?』

『ヒロ~、もうギルドに行く時間なんだよ。』

『私、お母さんとお留守番してます!』

うん、それが良いと思うんだ。




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『は?お留守番?!』

突然、ヒロが言い出した。
片時も離したくは無い位に可愛く思えて来たのに、留守番、、、。

まあ、ビーと二人っきりではなく、おふくろが一緒。
仕事に連れて行っても一日中、何をするでもなく。
苦痛だろうなとは思っていた。

おふくろが一緒、、、。
大丈夫だろうか?
大丈夫だよな?

『私に任せておきなさい!』

おふくろがそう言ったので、若干不安があったが、俺一人、仕事へと行く事にした。
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