【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています

如月ぐるぐる

文字の大きさ
24 / 73

24 帝都の3人+

しおりを挟む
 帝都に入った3人は宿には入らず姿をくらました。
 そしてすぐさま調査を開始したのだが、いまだロビーの行方は掴めていない。
 
「場所はどこだ?」

「それがね~、馬車と一緒にスラムに入ったけど、そのまま突然消えちゃったんだって~」

 そのスラムにある廃虚の奥でヒソヒソ話をしているのだが、どうやら街に入る際に、受付をせずに入ったらしい人物一行もいるようだ。
 しかしスラムは広い。探すにしても手掛かりが無ければ難しいだろう。

「消えちまったって事は、どこかに秘密の入り口でもあるってー事か?」

「恐らくはそうだろう」

 スラムで秘密の入り口を持っているという事は、スラムに、ここ帝都の裏事情にも詳しいのだろう。
 そうなると、国の違う3人にはかなり厳しい調査になる。

「まずは馬車が進んだルートを特定しよう。馬車の消えた場所が分かれば、捜査範囲は絞り込める」

 マットとケイがうなずくと、それぞれが調査を再開した。




 ~捕らえられたロビー~

「おいおい、でけーと思ったらまだガキじゃねーかよ。なんでこんな奴を捕まえるのに、あんなに金を払うんだ?」

「しらんよ。お偉いさんの考える事は俺達にゃわからん」

 スラムのどこかにある暗い場所で、ロビーは手足をロープで縛られ、口の中には布を詰め込まれて喋れなくされていた。
 見張りの2人はどうやら誰かに雇われたらしく、ロビーを誘拐した理由を知らされていない様だ。

 (ごめんよみんな、僕が油断したばっかりに……」

 サザンクロス聖国の冒険者ギルドで報告を終えたロビーは、ギルドを出た時からつけられていた。
 誘拐を専門に扱う連中らしく、後をつけている気配は一切なく、静かにロビーの横に並んだ。

「声を出すな。次の道を右に曲がるんだ」

 突然声をかけられたロビーだが、いつの間にか左右に男が張り付き、右の声を出した男は横腹に、左後方の男は背中にナイフを突きつけていた。
 ひょっとしたら気付いてないだけで、他にもいるかもしれない。
 そう考えたら指示に従うしかなかった。

 それからは目隠しをされて大きな樽に詰め込まれ、かろうじて聞こえる声を頼りに情報を集めていた。
 しかし誘拐犯は目的を知らないらしく、唯一分かった事といえば、グラストリム帝国へ向かっているという事だけだった。
 門番とのやり取りが聞えていたから、今はグラストリム帝国に居るのは分かっている。

 自分とグラストリム帝国との関連は何かと考え……何回も考え直したが、思いつくのはフランチェスカだけだった。
 以前王太子の誘いを断った事もあり、逆恨みしての事ではないか、そう考えていた。

 あれから3年も過ぎているのに、どうして今頃動き出したのか。
 その答えは見つけられなかったが、どうしても聖女が必要な状況になってしまったのだろう。
 誘拐であれば身代金や条件が提示される。
 つまり自分を助けるために3人はこの国に来るのだ。

 自分を返す条件がフランチェスカ、聖女だった場合、もう会えなくなるかもしれない。
 一刻も早く逃げ出さないといけないが、状況が分からず、装備もない状態では、ヘタに動くと取り返しのつかない事になる。
 何とかスキを見て逃げ出せないか、そう考えてじっと機を見ていた。




 ~???~

「聖女は動いたか?」

「動いたが、まだ国境をまたいでいない」

「ふん! 所詮は自分が可愛いだけの女よ。聖国に助けを求める知恵すらないのだからな!」

 サザンクロス聖国に助けを求めれば、フランチェスカは国を出れなくなるどころか、場合によっては軟禁される可能性が高い。
 身の自由を確保するためには聖国に助けは求められない。
 その前提のもとで今回の作戦が始まったのだが、3人目の男は忘れたのか、かなり苛立っている。

「とにかく、一刻も早く聖女を手にしなければいけない」

「ああ、そうしなければ、我々の立場が悪くなってしまう」

「聖女などと言う劣化勇者の力が必要などと、末代まで笑われるわ!」

 この者達が誰なのか、どういった目的で動いているのか、それはまだ分からない。
 しかし黒幕であることは間違いないだろう。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

【完結】あなたの思い違いではありませんの?

綾雅(りょうが)今年は7冊!
ファンタジー
複数の物語の登場人物が、一つの世界に混在しているなんて?! 「カレンデュラ・デルフィニューム! 貴様との婚約を破棄する」 お決まりの婚約破棄を叫ぶ王太子ローランドは、その晩、ただの王子に降格された。聖女ビオラの腰を抱き寄せるが、彼女は隙を見て逃げ出す。 婚約者ではないカレンデュラに一刀両断され、ローランド王子はうろたえた。近くにいたご令嬢に「お前か」と叫ぶも人違い、目立つ赤いドレスのご令嬢に絡むも、またもや否定される。呆れ返る周囲の貴族の冷たい視線の中で、当事者四人はお互いを認識した。  転生組と転移組、四人はそれぞれに前世の知識を持っている。全員が違う物語の世界だと思い込んだリクニス国の命運はいかに?!  ハッピーエンド確定、すれ違いと勘違い、複数の物語が交錯する。 【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2024/11/19……完結 2024/08/13……エブリスタ ファンタジー 1位 2024/08/13……アルファポリス 女性向けHOT 36位 2024/08/12……連載開始

【完結】偽物聖女として追放される予定ですが、続編の知識を活かして仕返しします

ユユ
ファンタジー
聖女と認定され 王子妃になったのに 11年後、もう一人 聖女認定された。 王子は同じ聖女なら美人がいいと 元の聖女を偽物として追放した。 後に二人に天罰が降る。 これが この体に入る前の世界で読んだ Web小説の本編。 だけど、読者からの激しいクレームに遭い 救済続編が書かれた。 その激しいクレームを入れた 読者の一人が私だった。 異世界の追放予定の聖女の中に 入り込んだ私は小説の知識を 活用して対策をした。 大人しく追放なんてさせない! * 作り話です。 * 長くはしないつもりなのでサクサクいきます。 * 短編にしましたが、うっかり長くなったらごめんなさい。 * 掲載は3日に一度。

婚約破棄されたら、実はわたし聖女でした~捨てられ令嬢は神殿に迎えられ、元婚約者は断罪される~

腐ったバナナ
ファンタジー
「地味で役立たずな令嬢」――そう婚約者に笑われ、社交パーティで公開婚約破棄されたエリス。 誰も味方はいない、絶望の夜。だがそのとき、神殿の大神官が告げた。「彼女こそ真の聖女だ」と――。 一夜にして立場は逆転。かつて自分を捨てた婚約者は社交界から孤立し、失態をさらす。 傷ついた心を抱えながらも、エリスは新たな力を手に、国を救う奇跡を起こし、人々の尊敬を勝ち取っていく。

地味で無能な聖女だと婚約破棄されました。でも本当は【超過浄化】スキル持ちだったので、辺境で騎士団長様と幸せになります。ざまぁはこれからです。

黒崎隼人
ファンタジー
聖女なのに力が弱い「偽物」と蔑まれ、婚約者の王子と妹に裏切られ、死の土地である「瘴気の辺境」へ追放されたリナ。しかし、そこで彼女の【浄化】スキルが、あらゆる穢れを消し去る伝説級の【超過浄化】だったことが判明する! その奇跡を隣国の最強騎士団長カイルに見出されたリナは、彼の溺愛に戸惑いながらも、荒れ地を楽園へと変えていく。一方、リナを捨てた王国は瘴気に沈み崩壊寸前。今さら元婚約者が土下座しに来ても、もう遅い! 不遇だった少女が本当の愛と居場所を見つける、爽快な逆転ラブファンタジー!

【完結】婚約破棄され国外追放された姫は隣国で最強冒険者になる

まゆら
ファンタジー
完結しておりますが、時々閑話を更新しております!  続編も宜しくお願い致します! 聖女のアルバイトしながら花嫁修行しています!未来の夫は和菓子職人です! 婚約者である王太子から真実の愛で結ばれた女性がいるからと、いきなり婚約破棄されたミレディア。 王宮で毎日大変な王妃教育を受けている間に婚約者である王太子は魔法学園で出逢った伯爵令嬢マナが真実の愛のお相手だとか。 彼女と婚約する為に私に事実無根の罪を着せて婚約破棄し、ついでに目障りだから国外追放にすると言い渡してきた。 有り難うございます! 前からチャラチャラしていけすかない男だと思ってたからちょうど良かった! お父様と神王から頼まれて仕方無く婚約者になっていたのに‥ ふざけてますか? 私と婚約破棄したら貴方は王太子じゃなくなりますけどね? いいんですね? 勿論、ざまぁさせてもらいますから! ご機嫌よう! ◇◇◇◇◇ 転生もふもふのヒロインの両親の出逢いは実は‥ 国外追放ざまぁから始まっていた! アーライ神国の現アーライ神が神王になるきっかけを作ったのは‥ 実は、女神ミレディアだったというお話です。 ミレディアが家出して冒険者となり、隣国ジュビアで転生者である和菓子職人デイブと出逢い、恋に落ち‥ 結婚するまでの道程はどんな道程だったのか? 今語られるミレディアの可愛らしい? 侯爵令嬢時代は、女神ミレディアファン必読の価値有り? ◈◈この作品に出てくるラハルト王子は後のアーライ神になります!  追放された聖女は隣国で…にも登場しておりますのでそちらも合わせてどうぞ! 新しいミディの使い魔は白もふフェンリル様! 転生もふもふとようやくリンクしてきました! 番外編には、ミレディアのいとこであるミルティーヌがメインで登場。 家出してきたミルティーヌの真意は? デイブとミレディアの新婚生活は?

二周目聖女は恋愛小説家! ~探されてますが、前世で断罪されたのでもう名乗り出ません~

今川幸乃
恋愛
下級貴族令嬢のイリスは聖女として国のために祈りを捧げていたが、陰謀により婚約者でもあった王子アレクセイに偽聖女であると断罪されて死んだ。 こんなことなら聖女に名乗り出なければ良かった、と思ったイリスは突如、聖女に名乗り出る直前に巻き戻ってしまう。 「絶対に名乗り出ない」と思うイリスは部屋に籠り、怪しまれないよう恋愛小説を書いているという嘘をついてしまう。 が、嘘をごまかすために仕方なく書き始めた恋愛小説はなぜかどんどん人気になっていく。 「恥ずかしいからむしろ誰にも読まれないで欲しいんだけど……」 一方そのころ、本物の聖女が現れないため王子アレクセイらは必死で聖女を探していた。 ※序盤の断罪以外はギャグ寄り。だいぶ前に書いたもののリメイク版です

追放されたヒロインですが、今はカフェ店長してます〜元婚約者が毎日通ってくるのやめてください〜

タマ マコト
ファンタジー
王国一の聖女リリアは、婚約者である勇者レオンから突然「裏切り者」と断罪され、婚約も職も失う。理由は曖昧、けれど涙は出ない。 静かに城を去ったリリアは、旅の果てに港町へ辿り着き、心機一転カフェを開くことを決意。 古びた店を修理しながら、元盗賊のスイーツ職人エマ、謎多き魔族の青年バルドと出会い、少しずつ新しい居場所を作っていく。 「もう誰かの聖女じゃなくていい。今度は、私が笑える毎日を作るんだ」 ──追放された聖女の“第二の人生”が、カフェの湯気とともに静かに始まる。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

処理中です...