23 / 73
23 聖女 フランチェスカ
しおりを挟む
「訓練、ですか? 私と?」
「ああ、あれからお前たちのウワサをよく聞くようになったからな、どれほどのモノか知りたいんだ」
訓練自体は願ってもない事です。私がネオクラスの実力者と戦える経験など、そうそうあるモノではありません。
私が知る一番強いのはレッド・ローズです。
流石に勇者と比較してはいけませんが、ネオは冒険者のトップクラス。どれほどのモノなのでしょうか。
「それではお手柔らかにお願いします」
訓練場に入ると沢山の人が私達を見ています。
聖女vsネオ。自分で言うのも変ですが、お金を取れる対決ではないでしょうか。
「さぁ、聖女様からどうぞ」
「それでは、いきます!」
ネオ相手に小細工は通用しません。最初から全力で行きます!
先見の明を発動し、ネオの動きを予測します。
実物とは違うネオが動き出し、私の剣を受け止めるのが見えます。
これではダメですね、ならばこちらはどうでしょうか。
剣を受け止められた後に魔法を使用します……く、これ以上先は見えませんか。
ならば魔法も併用しましょう!
実際の私が剣を振り下ろすと、先見の明の通り受け止められます。
そして間髪入れずに魔法・ファイヤアローを使用しますが、何とネロに命中と共に消滅してしまいました。
魔法抵抗力……そうですか、完全無効化するとは思いませんでしたが。
剣だけではなく、格闘技、魔法など、攻撃に仕える物全てを使いましたが、ネロには一撃も入りません。
先見の明で近未来を見ても、どれもこれも軽くいなされてしまいます。
このまま終わってしまうのでしょうか、そう思った時、ネオの剣が私の胴を捉える未来が見えました。
「クッ!」
攻撃の手を止めて、慌てて防御をします。
ネロの攻撃が……見えません!! しかし剣は先見の明の通り胴体に来たため、私の剣が間に合い、かろうじて攻撃を防ぐことが出来ました。
「へぇ、今のを止めるのか。今までも不思議な動きをしてたけど、勘が良いのか?」
距離を取って剣を構えなおします。
「ええ、聖女になってからは勘が良くなりました」
「そうか。ならこういうのはどうだ?」
ネロは剣を構えるのを止め、だらりと下にさげています。
何をするつもりでしょうか。
「飛翔鮫」
いつの間にか剣が振り上げられていました。
いえ、すでに攻撃を終えていたのです。
私は目に見えない何かに吹き飛ばされ、地面を転がります。
悲鳴をあげながら地面を転がり、何とか立ち上がった時、目の前には剣先がありました。
「……まいりました」
「お疲れ。中々楽しめたよ」
剣を鞘にしまいましたが、ここまで勝負にならないとは思いませんでした。
先見の明も、実力差がありすぎると役に立ちませんか。
「最後の見えない攻撃、あれは何だったのですか?」
「飛翔鮫か? 簡単な話が剣圧だ」
「剣圧……鍛錬したら、私にも使えますか?」
「可能性はあるが、今のところ俺以外に出来た奴はいないな」
それは実質無理という事ですか?
しかし、あの技は覚えたいですね。
「お手合わせ、ありがとうございました」
「こちらこそ楽しかったよ。それに、ますますお前が欲しくなった」
「手も足も出なかったのですよ?」
「俺の剣を受け止めただろ? あれはウチのメンバーでも簡単には止められない攻撃だったんだぜ」
「そう、なのですか?」
止めたというより、先見の明で見たから止められたのですが。
悔しいから言わないでおきましょう。
「ああ、もしもソロになったらウチにこい。いつでも歓迎だ」
そういって手を振りながら訓練場を出て行きました。
ふぅ、まだまだですね私も。
「さあ皆さん、いつまでも呆けていないで、訓練を開始しますよ」
私達の訓練を見ていた新人達が、口を開けたまま動かなくなっています。
3年前なら、私もああなっていたのでしょうね。
この日の仕事を終え、宿に戻ると経典に祈りを捧げました。
朝晩欠かさず祈りを捧げていますが、最近は国の安寧よりも、ロビーの無事を祈っています。
……1割ほどは国の為に祈っていると思います。
聖女として1割。フランチェスカとして9割の祈りを。
いまはこれで許してもらいましょう。
皆、どうかご無事で。
私の祈りが通じたのかどうか、3人は順調に調査を進めていました。
◆◆◇◇グラストリム帝国に侵入した3人◆◆◇◇
「どうだった?」
「レッド兄、こっちには居なかった」
「こっちに知らない人が来てるみたい~」
帝都に入り込んだ3人は、ロビーの行方を捜して別々に行動していた。
慣れない土地だが、どの街にも裏ルートという物があるらしく、それをフル活用していた。
ここでは裏の情報屋を当たっている。
情報屋によると、帝都に入る際、登録されていない人物が確認されたらしい。
だがロビーかどうかまでは分からない。
今からその人物を確認しに行くところだ。
「ああ、あれからお前たちのウワサをよく聞くようになったからな、どれほどのモノか知りたいんだ」
訓練自体は願ってもない事です。私がネオクラスの実力者と戦える経験など、そうそうあるモノではありません。
私が知る一番強いのはレッド・ローズです。
流石に勇者と比較してはいけませんが、ネオは冒険者のトップクラス。どれほどのモノなのでしょうか。
「それではお手柔らかにお願いします」
訓練場に入ると沢山の人が私達を見ています。
聖女vsネオ。自分で言うのも変ですが、お金を取れる対決ではないでしょうか。
「さぁ、聖女様からどうぞ」
「それでは、いきます!」
ネオ相手に小細工は通用しません。最初から全力で行きます!
先見の明を発動し、ネオの動きを予測します。
実物とは違うネオが動き出し、私の剣を受け止めるのが見えます。
これではダメですね、ならばこちらはどうでしょうか。
剣を受け止められた後に魔法を使用します……く、これ以上先は見えませんか。
ならば魔法も併用しましょう!
実際の私が剣を振り下ろすと、先見の明の通り受け止められます。
そして間髪入れずに魔法・ファイヤアローを使用しますが、何とネロに命中と共に消滅してしまいました。
魔法抵抗力……そうですか、完全無効化するとは思いませんでしたが。
剣だけではなく、格闘技、魔法など、攻撃に仕える物全てを使いましたが、ネロには一撃も入りません。
先見の明で近未来を見ても、どれもこれも軽くいなされてしまいます。
このまま終わってしまうのでしょうか、そう思った時、ネオの剣が私の胴を捉える未来が見えました。
「クッ!」
攻撃の手を止めて、慌てて防御をします。
ネロの攻撃が……見えません!! しかし剣は先見の明の通り胴体に来たため、私の剣が間に合い、かろうじて攻撃を防ぐことが出来ました。
「へぇ、今のを止めるのか。今までも不思議な動きをしてたけど、勘が良いのか?」
距離を取って剣を構えなおします。
「ええ、聖女になってからは勘が良くなりました」
「そうか。ならこういうのはどうだ?」
ネロは剣を構えるのを止め、だらりと下にさげています。
何をするつもりでしょうか。
「飛翔鮫」
いつの間にか剣が振り上げられていました。
いえ、すでに攻撃を終えていたのです。
私は目に見えない何かに吹き飛ばされ、地面を転がります。
悲鳴をあげながら地面を転がり、何とか立ち上がった時、目の前には剣先がありました。
「……まいりました」
「お疲れ。中々楽しめたよ」
剣を鞘にしまいましたが、ここまで勝負にならないとは思いませんでした。
先見の明も、実力差がありすぎると役に立ちませんか。
「最後の見えない攻撃、あれは何だったのですか?」
「飛翔鮫か? 簡単な話が剣圧だ」
「剣圧……鍛錬したら、私にも使えますか?」
「可能性はあるが、今のところ俺以外に出来た奴はいないな」
それは実質無理という事ですか?
しかし、あの技は覚えたいですね。
「お手合わせ、ありがとうございました」
「こちらこそ楽しかったよ。それに、ますますお前が欲しくなった」
「手も足も出なかったのですよ?」
「俺の剣を受け止めただろ? あれはウチのメンバーでも簡単には止められない攻撃だったんだぜ」
「そう、なのですか?」
止めたというより、先見の明で見たから止められたのですが。
悔しいから言わないでおきましょう。
「ああ、もしもソロになったらウチにこい。いつでも歓迎だ」
そういって手を振りながら訓練場を出て行きました。
ふぅ、まだまだですね私も。
「さあ皆さん、いつまでも呆けていないで、訓練を開始しますよ」
私達の訓練を見ていた新人達が、口を開けたまま動かなくなっています。
3年前なら、私もああなっていたのでしょうね。
この日の仕事を終え、宿に戻ると経典に祈りを捧げました。
朝晩欠かさず祈りを捧げていますが、最近は国の安寧よりも、ロビーの無事を祈っています。
……1割ほどは国の為に祈っていると思います。
聖女として1割。フランチェスカとして9割の祈りを。
いまはこれで許してもらいましょう。
皆、どうかご無事で。
私の祈りが通じたのかどうか、3人は順調に調査を進めていました。
◆◆◇◇グラストリム帝国に侵入した3人◆◆◇◇
「どうだった?」
「レッド兄、こっちには居なかった」
「こっちに知らない人が来てるみたい~」
帝都に入り込んだ3人は、ロビーの行方を捜して別々に行動していた。
慣れない土地だが、どの街にも裏ルートという物があるらしく、それをフル活用していた。
ここでは裏の情報屋を当たっている。
情報屋によると、帝都に入る際、登録されていない人物が確認されたらしい。
だがロビーかどうかまでは分からない。
今からその人物を確認しに行くところだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,191
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる