【完結】男爵令嬢が気にくわないので追放したら、魔族に侵略されました

如月ぐるぐる

文字の大きさ
10 / 23

10話

しおりを挟む
「お父様! 神聖騎士団の候補を見つけてきました!」

 軍議の翌日、私は早速奴隷たちを用意した事を伝えた。

 これできっと何人かは神聖騎士団になれるはず。そうしたら第3波だってしのげるわ!

「ローラ、ダメなんだ。天使はな、薬は沢山用意できないんだ」

「え? でも15人居たって事は、15万人に使ったのですよね?」

「そうだ。30年~40年かけてね」

 天使。
 天使に耐えられるか調べる薬を投与し、生存・精神に異常をきたさなかった者が神聖騎士団となる。

 天使さえ投与してしまえば、年齢性別に関係なく脅威的な力を発揮するため、神聖騎士団の団員は統一性が無い。

 今回出撃した神聖騎士団の最年長は64歳の女性。

 40年前に神聖騎士団入りを果たしたのだそうな。

「じゃあ調べる薬も天使も、今は無いという事?」

「確か、年間でも5千人が限界のはずだ」

 それじゃあ5千人分あったとしても、神聖騎士団を名乗れるは出来ないかもしれない……なんて事、そんな危機管理能力だから魔族に攻められるのよ。

「それとローラ、神聖騎士団候補をどうやって見つけた?」

「え? スラムに一杯おりましたわ。でも足りませんでしたので、そこら辺にいる者を適当に」

「……そうか。ではその者たちはもう使えまい。帰してやるのだ」

「そうですね、役に立たないのなら、囲っておく必要はありませんものね」


 ◆シャンク公爵・自室◆

 何という事だ。ローラを王太子に、最低でも三大公爵の長男に嫁がせるつもりが、このままでは家自体が無くなってしまう。

 それもこれもローラの我儘わがままを聞いたからだ。

 こうなってしまっては仕方がない、ローラを嫁がせるのは諦めて、何とか家を、爵位を護らなくてはいけない。

 どうする? なんとかローラに全ての責任を背負わせて、私は可愛い娘の願いを断れなかった、という形に持って行けないだろうか。

 下手に証言させないように、気でも触れてくれればよいのだが……。



 ◆王城・謁見の間 対魔族会議 ローラ視点◆

「騎士や兵士たちはどんな状況か」

「はっ、騎士は軽症者は復帰しました。しかし重傷者の数が多く、80%の戦力といった所です」

「兵士も状況は似ております。こちらは何とか85%まで持って行けます」

 なんだ、結構回復してるじゃない。重傷者も盾を持たせれば、障害物として使えるのではなくて?

「よし。それでは魔族の第3波の様子はどうか」

「はっ父上。魔族は現在街から1日の距離にいます。……数は……総数約1万5千、上級魔族の姿も確認されております」

「そうか……ついに来てしまったか」

 上級魔族? なにかしら、随分と偉そうな呼び方だけど。

「諸君、明日が正念場だ。すべての力を出し切り、魔族との戦いに勝利するのだ!」

 


 翌日の早朝、けたたましい鐘の音が街中に鳴り響く。

 昨晩は安全のために王城で過ごしたけど、ここまで鐘の音が聞こえてくる

 うるさい。

 まさか魔族が!?

 ベッドから跳ね起きて窓を開けると、街の入り口の門辺りに何かが見えた。

 ……? なに? あれは。

 ゾウ? でも鼻が無いし、よく見ると足が6本ある。それに……どうして城壁の上から見えるの!?

 城壁は建物の3階か4階の高さがあるのに、それ以上に大きな生き物ってなに!?!?

 地響きのような音が聞こえる。それと同時に城壁が……崩れ始める。

 ど、どういう事!? 魔族って人間よりも少し大きい程度じゃないの!?

 魔族って……魔族ってあんなにも、あんなにも巨大でいるの?

 城壁の上からいくつもの顔が見える。

 姿かたちは違うけど、きっと、きっとアレが魔族……上級魔族なんだ。

 私は力が入らず崩れ落ち、初めて城内が喧騒に包まれている事に気が付いた。

「だ……誰か助け……」

 逃げようにも足に力が入らず、声も出ない。

 早く、早く誰か助けなさい……。

 外からひときわ大きな音がした。必死に腕を使って窓を覗き込むと、城壁が崩れ去っている。

 魔族が……街に入ってくる。

 6本足の魔族はその場でしゃがみ込み、地面に顔を付ける。

 ……? なに? 動かなくなった。


 ◆王都城壁付近・ジェニファー◆

「こーのーぉ! 城壁は脆いんだから、ぶつかっちゃダメでしょ!」

 上級魔族の獣種の足6本を斬り落とし、何とか街の中に入るのを防げた。

 もう、これだから獣種はキライよ。戦うならもう少し頭を使わないとね。

「えーっと、コレはここに放置しておけばいいかな。上手い具合に崩れた城壁を塞いでくれてるし」

 よし次は外の魔族!

 上級魔族の数は多くないけど、低級中級が山のようにいるから、コレを何とかしよう。

 両腕のドラゴンの鱗で作った籠手の先端を引っ張り出すと、右手が上あご、左手が下あごになった。

 両腕を合わせてドラゴンの顔を作り、前に突き出す。

「フレイム・ブレス!」

 腕から超高温の炎が噴き出し、私の前にいる低級中級魔族が一瞬で灰になる。

 流石に上級は防御してて倒せないな。

 周囲の魔族を灰にして、残った上級を倒す事にした。
しおりを挟む
感想 114

あなたにおすすめの小説

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

役立たずと捨てられた万能建築士、隣国で「聖域」を造って無双する。今さら復興のために戻れ? ご自分たちで瓦礫でも積んでいればよろしいのでは?

しょくぱん
恋愛
「お前の魔法は石を積むだけの土木作業だ」と婚約破棄されたので、城を支えていた『構造維持結界』をすべて解除して出て行きますね。今さら「城が崩れる!」と泣きつかれても、私は隣国で氷結の皇帝陛下と「世界最高の聖域」を造っていますので、一切知りません。 王国唯一の建築魔導師アニエスは、その地味な見た目と能力を理由に、王太子シグムンドから婚約破棄と国外追放を言い渡される。 彼の隣には、派手な光魔法を使う自称聖女の姿があった。 「お前の代わりなどいくらでもいる。さっさと出て行け!」 「……分かりました。では、城にかけていた『自動修復』『耐震』『空調』の全術式を解約しますね」 アニエスが去った直後、王城は音を立てて傾き、噴水は泥水に変わり、王都のインフラは崩壊した。 一方、アニエスは隣国の荒野で、呪われた皇帝レオンハルトと出会う。彼女が何気なく造った一夜の宿は、呪いを浄化するほどの「聖域」だった。 「君は女神か? どうか私の国を救ってほしい」 「喜んで。ついでに世界一快適な住居も造っていいですか?」 隣国がアニエスの力で黄金の国へと発展する一方、瓦礫の山となった母国からは「戻ってきてくれ」と悲痛な手紙が届く。 だが、アニエスは冷ややかに言い放つ。 「お断りします。契約外ですので、ご自分で支えていればよろしいのでは?」 これは、捨てられた万能建築士が隣国で溺愛され、幸せを掴む物語。 そして、彼女を捨てた者たちが、物理的にも社会的にも「崩壊」し、最後には彼女が架ける橋の『礎石』として永遠に踏まれ続けるまでの、壮絶な因果応報の記録。

【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?

雨宮羽那
恋愛
 元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。 ◇◇◇◇  名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。  自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。    運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!  なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!? ◇◇◇◇ お気に入り登録、エールありがとうございます♡ ※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。 ※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。 ※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

オッドアイの伯爵令嬢、姉の代わりに嫁ぐことになる~私の結婚相手は、青血閣下と言われている恐ろしい公爵様。でも実は、とっても優しいお方でした~

夏芽空
恋愛
両親から虐げられている伯爵令嬢のアリシア。 ある日、父から契約結婚をしろと言い渡される。 嫁ぎ先は、病死してしまった姉が嫁ぐ予定の公爵家だった。 早い話が、姉の代わりに嫁いでこい、とそういうことだ。 結婚相手のルシルは、人格に難があるともっぱらの噂。 他人に対してどこまでも厳しく、これまでに心を壊された人間が大勢いるとか。 赤い血が通っているとは思えない冷酷非道なその所業から、青血閣下、という悪名がついている。 そんな恐ろしい相手と契約結婚することになってしまったアリシア。 でも実際の彼は、聞いていた噂とは全然違う優しい人物だった。

編み物好き地味令嬢はお荷物として幼女化されましたが、えっ?これ魔法陣なんですか?

灯息めてら
恋愛
編み物しか芸がないと言われた地味令嬢ニニィアネは、家族から冷遇された挙句、幼女化されて魔族の公爵に売り飛ばされてしまう。 しかし、彼女の編み物が複雑な魔法陣だと発見した公爵によって、ニニィアネの生活は一変する。しかもなんだか……溺愛されてる!?

【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~

深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。 灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。

所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜

しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。 高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。 しかし父は知らないのだ。 ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。 そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。 それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。 けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。 その相手はなんと辺境伯様で——。 なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。 彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。 それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。 天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。 壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。

処理中です...