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第十話
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男子生徒に言われるままに教室に入り、専攻していない科目のテストを受けました。
どういう事? テスト時間が終わって周りを見回しますが、私を案内した男子生徒は見当たりません。
「シルビア!」
教室の扉が勢いよく開くと、プリメラと数名の友人が居ました。
ようやく親を見つけた子犬の様にプリメラに駆け寄ります。
「プリメラ、私、男子生徒に案内されてこの教室に入ったのですが……」
「やっぱりそうだったのね。テストが始まっても来ないし、気がきじゃなかったわ」
プリメラが私を優しく抱きしめてくれてようやく安心出来ました。
ああ、一人になるのがこんなに不安になるなんて、私は弱くなったのかもしれない。
「プリメラ、私の使用人が見た話しだと、グランビアの取り巻きの一人がシルビアを連れていったようだわね」
こちらはリバティ様、プリメラの御友人で伯爵令嬢だ。
とても小柄だけど気が強い人だ。
「そう……やってくれたわねグランビア! ワタクシを怒らせたらどうなるか、その身をもって知るがいいわ!」
「プリメラ、荒事はよくありません。それに私の方は心配ありませんから」
「ダメよ、もしもこれで単位が足りなくなって留年になったら、ワタクシとシルビアが一緒のクラスにいられなくなるじゃない!」
「それなのですが……」
プリメラの耳に顔を寄せてヒソヒソ話をします。
するとプリメラは思わず口に手を当てて吹き出してしまいました。
「プ……ぷくく……そう、そういう事ならいいわ。でもケジメだけはしっかりと取ってもらうわよ?」
「ええ、ギャフンといわせてあげてください」
その後は特に妨害も無く、平穏無事に試験を受けることができました。
試験期間が終わり結果発表の日、この学園は全教科の順位が教員室の前に張り出されます。
人だかりができていますが、ある一か所からはどよめきが聞こえてきます。
「え? 誰この人」
「お前知ってる?」
「知らない。生徒なら名前くらい聞いた事あるはずだけど」
そう、あるはずのない場所に書かれた名前、一番上に私の名前が書かれています。
「やったわねシルビア! まさか経済学で満点をとるだなんて!」
「ホッとしました。まさか連れていかれた先が経済学の試験会場だったとは」
見知らぬ男子生徒に連れていかれた場所、そこは経済学の試験会場でした。
試験用紙を見た時は気が遠のきそうでしたが、よく見ると元男爵領で私がやっていた事ばかりでした。
元男爵領で本を読んで必死に勉強したことが、まさかこんな所で役に立つとは思ってもいませんでした。
「はぁぁ!? 何だコレ! どうなってんだ!!」
経済学の試験結果が張り出された紙の前で、ひときわ大きな声で騒ぐ人がいます。
グランビアその人です。
「あらどうしたのグランビア。お得意の経済学は残念ながら二位に落ちてしまったわね」
「ぷ、プリメーラ、このシルビアって奴は確かお前の……」
「ええ、私の付き人よ。そしてあなたの取り巻きが経済学の会場に誘拐した女性よ」
「なんで女が経済学で満点なんだよ!」
「そりゃそうよ、元男爵領を一人で切り盛りしていたんだもの、それくらい出来て当たり前だと思わない?」
プリメラがそう言うと、周囲の生徒達が思い出したように口を開きだします。
「ああ、確かグランビアが難癖付けた元男爵家のメイド……」
「経済学に明るいんなら潰したってウワサはウソって事か」
「国の援助なしに数年間領地を維持したって事は、物流や商売にも明るいって事か?」
その言葉と共にギラついた目で私を見ます。
⁉ な、なんですか? そんな獲物を見つけた狼のような目で見ないでください。
そして一斉に私の襲い掛かって――来ませんが、一機に取り囲まれてしまいました。
「ウチの領地って毎年赤字なんだよ! どうしたら良いか教えてくれ!」
「親の商売が上手くいってないんだ! アドバイスをくれないか!」
「最後の問題ってどうやって解いたんだ? アレってイジワル問題だろ?」
ああっ、皆さん落ち着いてください、教員室の前で大声を出したら……
「うぉおいお前達、流石にうるさすぎるぞ静かにしろ」
教員室から講師が出て来てしまいました。
ほとんどの人が動きを止める中、何故かグランビア様が先生に詰め寄ります。
「先生! 経済学を専攻していない奴が満点なんておかしいです! きっとカンニングですよ!」
「んぁ? いやぁ話を聞いていたが、礼儀作法の試験を受けるはずが経済学の会場に連れてこられたんだろう? しかも満点なのに誰のをカンニングするんだよ」
「違う試験だったら赤点になると思って連れて行かせたのに……きっと……数人の答案を見て……」
「ちなみにな、最終問題を正解したのはシルビアただ一人だ」
「え? あれって答えがあったんですか!? わからないから適当に書いたのに」
「それとな? お前否定しなきゃダメだろ~、経済学の会場に連れて来た事」
「え? ……ああっ!!」
「さいわい単位は受けた試験に対して与えられるから構わんけど、違うシステムだったらお前退学もんだぞ~?」
「ひっ!」
「まぁ今回は単位は没収だから、お前と連れてきたヤツは全教科追試な」
固まって動かなくなりました。
えっと、グランビアの経済学の点数は九十一点、十分な高得点なのになかった事になるのね。
他の教科も。
「あーすっきりした。これで暫らくはあいつも大人しくするでしょ」
プリメラと自室に戻ると、とても清々しい笑顔で背伸びをしています。
あれ? そういえば先生はグランビア様の処分を素早く言いましたが、そんな権限を持つ先生だったかしら。
「やっぱり日頃の行いよね。礼儀作法の先生ったら私の言う事をすぐに信用してくれたわ」
「ああ、やっぱりプリメラが話をしてくれていたんですね」
「当たり前よ! でなきゃあんなに早く処分が出るはずないじゃない」
「ありがとうございます。色々とご迷惑をおかけしました」
「いいのよ。それよりも……アレ、何とかしてくれない?」
プリメラが窓の外を指さします。
窓から外を見ると寮の入り口に男子生徒が十名程集まっています。
「シルビアー! 君の経済の知識は商人になってこそ価値がある! 僕と一緒に家業を継いでくれないか!」
「ウチの領地を一緒に立てなおしてくれ! もちろん第一夫人にするからー!」
「おーいシルビアー、経済学を専攻しないか~?」
生徒に混じって経済学の先生が混ざっています!
それにしても……いやなプロポーズですね。
どういう事? テスト時間が終わって周りを見回しますが、私を案内した男子生徒は見当たりません。
「シルビア!」
教室の扉が勢いよく開くと、プリメラと数名の友人が居ました。
ようやく親を見つけた子犬の様にプリメラに駆け寄ります。
「プリメラ、私、男子生徒に案内されてこの教室に入ったのですが……」
「やっぱりそうだったのね。テストが始まっても来ないし、気がきじゃなかったわ」
プリメラが私を優しく抱きしめてくれてようやく安心出来ました。
ああ、一人になるのがこんなに不安になるなんて、私は弱くなったのかもしれない。
「プリメラ、私の使用人が見た話しだと、グランビアの取り巻きの一人がシルビアを連れていったようだわね」
こちらはリバティ様、プリメラの御友人で伯爵令嬢だ。
とても小柄だけど気が強い人だ。
「そう……やってくれたわねグランビア! ワタクシを怒らせたらどうなるか、その身をもって知るがいいわ!」
「プリメラ、荒事はよくありません。それに私の方は心配ありませんから」
「ダメよ、もしもこれで単位が足りなくなって留年になったら、ワタクシとシルビアが一緒のクラスにいられなくなるじゃない!」
「それなのですが……」
プリメラの耳に顔を寄せてヒソヒソ話をします。
するとプリメラは思わず口に手を当てて吹き出してしまいました。
「プ……ぷくく……そう、そういう事ならいいわ。でもケジメだけはしっかりと取ってもらうわよ?」
「ええ、ギャフンといわせてあげてください」
その後は特に妨害も無く、平穏無事に試験を受けることができました。
試験期間が終わり結果発表の日、この学園は全教科の順位が教員室の前に張り出されます。
人だかりができていますが、ある一か所からはどよめきが聞こえてきます。
「え? 誰この人」
「お前知ってる?」
「知らない。生徒なら名前くらい聞いた事あるはずだけど」
そう、あるはずのない場所に書かれた名前、一番上に私の名前が書かれています。
「やったわねシルビア! まさか経済学で満点をとるだなんて!」
「ホッとしました。まさか連れていかれた先が経済学の試験会場だったとは」
見知らぬ男子生徒に連れていかれた場所、そこは経済学の試験会場でした。
試験用紙を見た時は気が遠のきそうでしたが、よく見ると元男爵領で私がやっていた事ばかりでした。
元男爵領で本を読んで必死に勉強したことが、まさかこんな所で役に立つとは思ってもいませんでした。
「はぁぁ!? 何だコレ! どうなってんだ!!」
経済学の試験結果が張り出された紙の前で、ひときわ大きな声で騒ぐ人がいます。
グランビアその人です。
「あらどうしたのグランビア。お得意の経済学は残念ながら二位に落ちてしまったわね」
「ぷ、プリメーラ、このシルビアって奴は確かお前の……」
「ええ、私の付き人よ。そしてあなたの取り巻きが経済学の会場に誘拐した女性よ」
「なんで女が経済学で満点なんだよ!」
「そりゃそうよ、元男爵領を一人で切り盛りしていたんだもの、それくらい出来て当たり前だと思わない?」
プリメラがそう言うと、周囲の生徒達が思い出したように口を開きだします。
「ああ、確かグランビアが難癖付けた元男爵家のメイド……」
「経済学に明るいんなら潰したってウワサはウソって事か」
「国の援助なしに数年間領地を維持したって事は、物流や商売にも明るいって事か?」
その言葉と共にギラついた目で私を見ます。
⁉ な、なんですか? そんな獲物を見つけた狼のような目で見ないでください。
そして一斉に私の襲い掛かって――来ませんが、一機に取り囲まれてしまいました。
「ウチの領地って毎年赤字なんだよ! どうしたら良いか教えてくれ!」
「親の商売が上手くいってないんだ! アドバイスをくれないか!」
「最後の問題ってどうやって解いたんだ? アレってイジワル問題だろ?」
ああっ、皆さん落ち着いてください、教員室の前で大声を出したら……
「うぉおいお前達、流石にうるさすぎるぞ静かにしろ」
教員室から講師が出て来てしまいました。
ほとんどの人が動きを止める中、何故かグランビア様が先生に詰め寄ります。
「先生! 経済学を専攻していない奴が満点なんておかしいです! きっとカンニングですよ!」
「んぁ? いやぁ話を聞いていたが、礼儀作法の試験を受けるはずが経済学の会場に連れてこられたんだろう? しかも満点なのに誰のをカンニングするんだよ」
「違う試験だったら赤点になると思って連れて行かせたのに……きっと……数人の答案を見て……」
「ちなみにな、最終問題を正解したのはシルビアただ一人だ」
「え? あれって答えがあったんですか!? わからないから適当に書いたのに」
「それとな? お前否定しなきゃダメだろ~、経済学の会場に連れて来た事」
「え? ……ああっ!!」
「さいわい単位は受けた試験に対して与えられるから構わんけど、違うシステムだったらお前退学もんだぞ~?」
「ひっ!」
「まぁ今回は単位は没収だから、お前と連れてきたヤツは全教科追試な」
固まって動かなくなりました。
えっと、グランビアの経済学の点数は九十一点、十分な高得点なのになかった事になるのね。
他の教科も。
「あーすっきりした。これで暫らくはあいつも大人しくするでしょ」
プリメラと自室に戻ると、とても清々しい笑顔で背伸びをしています。
あれ? そういえば先生はグランビア様の処分を素早く言いましたが、そんな権限を持つ先生だったかしら。
「やっぱり日頃の行いよね。礼儀作法の先生ったら私の言う事をすぐに信用してくれたわ」
「ああ、やっぱりプリメラが話をしてくれていたんですね」
「当たり前よ! でなきゃあんなに早く処分が出るはずないじゃない」
「ありがとうございます。色々とご迷惑をおかけしました」
「いいのよ。それよりも……アレ、何とかしてくれない?」
プリメラが窓の外を指さします。
窓から外を見ると寮の入り口に男子生徒が十名程集まっています。
「シルビアー! 君の経済の知識は商人になってこそ価値がある! 僕と一緒に家業を継いでくれないか!」
「ウチの領地を一緒に立てなおしてくれ! もちろん第一夫人にするからー!」
「おーいシルビアー、経済学を専攻しないか~?」
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それにしても……いやなプロポーズですね。
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