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第四十八話
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王太后様が馬車から降りる際はフーガ様が手をお貸しした。
あら? 馬車の入り口に立っている時は背が高く見えたけど、降りてみると少し猫背で腰も少し曲がっている。
とはいえ九十歳越えなのに、エクストレイル伯爵邸にいたお婆さんメイドよりも背中は真っ直ぐだ。
「あなたがシルビア?」
「はっ、はい。この度は私の希望を叶えてくださり、誠にありがとうございます」
「まったくね、こんな年寄を呼ぶなんてどうかしている」
お、お、お、お怒りでいらっしゃる!!
やっぱり私の持ってるコネや成果なんて王太后様の前では無力なんだわ!
「そちらから会いに来なさい。老体に長旅は大変なの」
そう言うと私の肩にポンと手を乗せる。
「呼んだのだからしっかりと案内なさい」
「は、はい!」
肩から手をどかされたので私は立ち上がり、その左手をそっと握る。
玄関扉が開かれて王太后様を屋敷内に招き入れる。
え、えーっと、どうするんだったかしら? 確か最初は……あれ、あれ?
「王太后様、長旅でお疲れでしょうから、まずはお部屋でおくつろぎください」
私は頭が真っ白になっていると、フーガ様が助け舟を出してくれた。
流石ですフーガ様!
「そうね、そうしよう」
私が王太后様を客室に案内し、フーガ様は国王陛下をリビングに案内する事になった。
あちらはあちらで目的があるようだ。
沢山の使用人を引き連れて客室に入ると、使用人たちはとても静かに、なのに素早く衣装などの道具をカバンから取り出し、クローゼットにしまいはじめる。
は、速い! なのに音が全然していないわ!
一見するととてもゆっくりと優雅に見えるけど、どうしてそんなに素早く動いているのに音がしないの⁉
「シルビア」
「はい!」
王太后様は金糸で刺繍されたクッションの分厚いイスに座り、いつの間にか付き人がいれた紅茶を飲んでいた。
「あなたはフーガ卿に何をさせようとしている」
「なにと言われましても、お手紙に書きました通り極度の質素な生活を改めていただきたく――」
「そうじゃない。確かにあの子はやせ細っていたわね、だけどあなたが気にかける事か?」
「使用人が主の健康を気遣うのは当たり前ではありませんか?」
「そうやって点数を稼いでいるんだな」
「てん……すう?」
王太后様は紅茶を置いて、じっと私を見つめています。
私の答えを待っているの? でも王太后様の質問の意図がわからない。
点数稼ぎ?
私が王城付きのメイドになりたがっている、と思っていらっしゃるの?
「答えないのならよい。お前の成果に対する報酬だ、私は私の役目を果たす」
「ありがとう……ございます」
それ以上何も言われなかったから、私は部屋を後にした。
やっぱり怒ってらっしゃるわよね、一介のメイドに呼び出されたんだから。
それに先の戦争の回転砥ぎ機や保存食の成果、本当は城に行って他の名だたる武将たちと一緒に表彰するって言われてた。
だけど私はそれを保留させてもらい、表舞台には立たなかった。
それを悪く言う人もいるのは知っているけど、やっぱり王族としては蔑ろにされたと感じているんだわ。
そのまま時間が過ぎて夕食になった。
夕食はかなり力が入っていて、フーガ領の名物や消化の良い物を揃えた。
王太后様のご年齢を考えての事だけど、今更だけど不安になって来た。
「あら? フーガ卿はそれだけしか食べないの?」
「はい王太后様。私は先代国王陛下に質素倹約を褒めていただいて以降、ずっとこうしています」
「あの人が質素倹約を褒めたの?」
「ええ! 幼い私の頭を撫でて下さいました!」
フーガ様興奮してらっしゃるわ。
英雄に頭を撫でられたなんて自慢だものね。
「おかしいわね、あの人は戦が終わると鬱憤を晴らす様に沢山食べていたわ」
「……え?」
「英雄と呼ばれる人種はその時々でやる事が変わるのよ。戦時中は質素でも、終われば大食らいといってよかったわ」
「さ、左様でござい、ます、か」
「英雄も大変よね。その時代に応じた振る舞いを求められるから、時代に合った食生活を心掛けるのよ」
「時代に合った食生活ですか?」
「そうよ。戦争は終わったんだから、あまり度を超えた節約はやめた方がいいわね」
フーガ様は……悩んでいる。
今まで英雄と同じだと思っていた行動が、実は自分の思い込みだったと気が付いてくれたかしら。
しかも王太后様は英雄と並び立っていた女性、英雄を支えた一人として、ある意味英雄の一人だ。
お願い……気付いてください!
フーガ様は戸惑いながらも頷き、陛下とも会話を楽しんでいた。
そして会食が終わり、陛下とフーガ様はリビングで引き続きお酒を飲まれるそうだ。
王太后様はお酒は飲まないようで、客室へと戻る。
「シルビア、セドリックと恋仲というのは本当?」
部屋に案内し、私が退室しようとしたら声ををかけられた。
「え? リッ……セドリック様とは学園で知り合った友人ですが……?」
「あの子は第五王子、でも九番目の子だから名ばかりの王族になる。でも王族、結婚したら公爵にはなれるわよ?」
「王太后様? 私はメイドです。メイドが王族の方との結婚なんて夢物語でしかありあません。それに、私に貴族などという分不相応な肩書は必要ありません」
「そう? 私は王家に仕えるメイドだったわ」
「……え?」
「もちろん二番目だけどあの人は押しが強くてね、何度断っても諦めないのよ。しまいには妃殿下が折れて、当時の陛下と皇后様も諦めたわ」
そうだったんだ。
あれ? ひょっとして王太后様、私とリック様を結婚させようとしてる?
「もちろんあなたが断り続け、セドリックが諦めるのなら問題ない。しかしセドリックが諦めなかったらどうする?」
そんな事……考えたことも無かったわ。
お城付きのメイドにすると言われてときでさえ驚いたのに、なぜリック様との結婚なんて話になるんだろう。
「……いいわ」
「え?」
「答える必要はない。私がとやかく言う問題でもないからね」
「わかりました」
「はぁ、あの子も大変だわね」
私は部屋を出た後も悩んでいた。
なんでリック様?
あら? 馬車の入り口に立っている時は背が高く見えたけど、降りてみると少し猫背で腰も少し曲がっている。
とはいえ九十歳越えなのに、エクストレイル伯爵邸にいたお婆さんメイドよりも背中は真っ直ぐだ。
「あなたがシルビア?」
「はっ、はい。この度は私の希望を叶えてくださり、誠にありがとうございます」
「まったくね、こんな年寄を呼ぶなんてどうかしている」
お、お、お、お怒りでいらっしゃる!!
やっぱり私の持ってるコネや成果なんて王太后様の前では無力なんだわ!
「そちらから会いに来なさい。老体に長旅は大変なの」
そう言うと私の肩にポンと手を乗せる。
「呼んだのだからしっかりと案内なさい」
「は、はい!」
肩から手をどかされたので私は立ち上がり、その左手をそっと握る。
玄関扉が開かれて王太后様を屋敷内に招き入れる。
え、えーっと、どうするんだったかしら? 確か最初は……あれ、あれ?
「王太后様、長旅でお疲れでしょうから、まずはお部屋でおくつろぎください」
私は頭が真っ白になっていると、フーガ様が助け舟を出してくれた。
流石ですフーガ様!
「そうね、そうしよう」
私が王太后様を客室に案内し、フーガ様は国王陛下をリビングに案内する事になった。
あちらはあちらで目的があるようだ。
沢山の使用人を引き連れて客室に入ると、使用人たちはとても静かに、なのに素早く衣装などの道具をカバンから取り出し、クローゼットにしまいはじめる。
は、速い! なのに音が全然していないわ!
一見するととてもゆっくりと優雅に見えるけど、どうしてそんなに素早く動いているのに音がしないの⁉
「シルビア」
「はい!」
王太后様は金糸で刺繍されたクッションの分厚いイスに座り、いつの間にか付き人がいれた紅茶を飲んでいた。
「あなたはフーガ卿に何をさせようとしている」
「なにと言われましても、お手紙に書きました通り極度の質素な生活を改めていただきたく――」
「そうじゃない。確かにあの子はやせ細っていたわね、だけどあなたが気にかける事か?」
「使用人が主の健康を気遣うのは当たり前ではありませんか?」
「そうやって点数を稼いでいるんだな」
「てん……すう?」
王太后様は紅茶を置いて、じっと私を見つめています。
私の答えを待っているの? でも王太后様の質問の意図がわからない。
点数稼ぎ?
私が王城付きのメイドになりたがっている、と思っていらっしゃるの?
「答えないのならよい。お前の成果に対する報酬だ、私は私の役目を果たす」
「ありがとう……ございます」
それ以上何も言われなかったから、私は部屋を後にした。
やっぱり怒ってらっしゃるわよね、一介のメイドに呼び出されたんだから。
それに先の戦争の回転砥ぎ機や保存食の成果、本当は城に行って他の名だたる武将たちと一緒に表彰するって言われてた。
だけど私はそれを保留させてもらい、表舞台には立たなかった。
それを悪く言う人もいるのは知っているけど、やっぱり王族としては蔑ろにされたと感じているんだわ。
そのまま時間が過ぎて夕食になった。
夕食はかなり力が入っていて、フーガ領の名物や消化の良い物を揃えた。
王太后様のご年齢を考えての事だけど、今更だけど不安になって来た。
「あら? フーガ卿はそれだけしか食べないの?」
「はい王太后様。私は先代国王陛下に質素倹約を褒めていただいて以降、ずっとこうしています」
「あの人が質素倹約を褒めたの?」
「ええ! 幼い私の頭を撫でて下さいました!」
フーガ様興奮してらっしゃるわ。
英雄に頭を撫でられたなんて自慢だものね。
「おかしいわね、あの人は戦が終わると鬱憤を晴らす様に沢山食べていたわ」
「……え?」
「英雄と呼ばれる人種はその時々でやる事が変わるのよ。戦時中は質素でも、終われば大食らいといってよかったわ」
「さ、左様でござい、ます、か」
「英雄も大変よね。その時代に応じた振る舞いを求められるから、時代に合った食生活を心掛けるのよ」
「時代に合った食生活ですか?」
「そうよ。戦争は終わったんだから、あまり度を超えた節約はやめた方がいいわね」
フーガ様は……悩んでいる。
今まで英雄と同じだと思っていた行動が、実は自分の思い込みだったと気が付いてくれたかしら。
しかも王太后様は英雄と並び立っていた女性、英雄を支えた一人として、ある意味英雄の一人だ。
お願い……気付いてください!
フーガ様は戸惑いながらも頷き、陛下とも会話を楽しんでいた。
そして会食が終わり、陛下とフーガ様はリビングで引き続きお酒を飲まれるそうだ。
王太后様はお酒は飲まないようで、客室へと戻る。
「シルビア、セドリックと恋仲というのは本当?」
部屋に案内し、私が退室しようとしたら声ををかけられた。
「え? リッ……セドリック様とは学園で知り合った友人ですが……?」
「あの子は第五王子、でも九番目の子だから名ばかりの王族になる。でも王族、結婚したら公爵にはなれるわよ?」
「王太后様? 私はメイドです。メイドが王族の方との結婚なんて夢物語でしかありあません。それに、私に貴族などという分不相応な肩書は必要ありません」
「そう? 私は王家に仕えるメイドだったわ」
「……え?」
「もちろん二番目だけどあの人は押しが強くてね、何度断っても諦めないのよ。しまいには妃殿下が折れて、当時の陛下と皇后様も諦めたわ」
そうだったんだ。
あれ? ひょっとして王太后様、私とリック様を結婚させようとしてる?
「もちろんあなたが断り続け、セドリックが諦めるのなら問題ない。しかしセドリックが諦めなかったらどうする?」
そんな事……考えたことも無かったわ。
お城付きのメイドにすると言われてときでさえ驚いたのに、なぜリック様との結婚なんて話になるんだろう。
「……いいわ」
「え?」
「答える必要はない。私がとやかく言う問題でもないからね」
「わかりました」
「はぁ、あの子も大変だわね」
私は部屋を出た後も悩んでいた。
なんでリック様?
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