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本編
エルフの秘密と心の距離
しおりを挟む王都から離れるにつれ、少しずつ魔獣のレベルが上がってきていた。
流石に3人も戦闘に混ざってくれるようになって、本格的に魔獣の討伐をこなして行く。
そんなある日。
魔獣を討伐し、日が暮れてきたので今日は森の中で野営をすることになった。
みんなでテントを張ったり、夕食の準備をしていたのだが、フィーネの姿が見当たらない。
少し心配になって近くを探すと、木の根元に座り込み自分の腕に包帯を巻こうとしているフィーネを見つけた。
何だか苦戦している感じなのを見ていると自然に顔が緩む。
「フィーネ」
「……あ、ハヤト」
「貸して」
少し戸惑っているようなフィーネの手から包帯を取り、痛くない様に巻き付けた。
「慣れてる……」
「あぁ、施設のチビたちよく怪我しててさ。手当てするのも日常だったから」
「施設?」
「俺親いないんだ。施設っていうのは事情があって親と暮らせない子どもとかを育ててくれるところ。こっちでいう孤児院みたいな。そこで育ったから年下の子ども達の面倒はよく見てたよ」
「そうなんだ」
こちらの世界では親がいない子どもは珍しくない。だからなのかフィーネからは少ししょんぼりした感じは受けるものの、向こうの世界で感じていた押し付けがましい同情心みたいなのは感じなかった。
「それより、自分の怪我には治癒魔法かけないんだ?」
「うん、あんまりバカスカ治癒魔法かけまくるのも良くないねん、身体が持ってる本来の治癒力が弱っていくから……だから重症とかじゃない怪我なんやったら出来るだけ清潔に保って自分で治す方がいいねん」
「……ん?」
俺には異世界召喚オプションで言語理解の能力が備わっているらしく、いきなり召喚されたにも関わらず最初から言語が理解出来たし文字とかも読めていた。
にも関わらず、今のフィーネの言葉に違和感を感じて首を傾げるとフィーネがはっとした顔をした。
「……っ!ちゃう!ちゃうねん!」
「え?」
関西弁である。
フィーネの口から、日本でもテレビでしか聞いた事がなかった関西弁が飛び出している。
こっち世界にも関西があるのか?
「や、ちゃうことないねんけど、わ、忘れて……」
「なんで?ていうか忘れられないだろ」
困った様に頬を赤く染めて涙目でこちらを見てくるフィーネに何故かドキッとしてしまう。
美形の涙目の破壊力すげぇな……。
「だ、だって……他の種族からしたらエルフっぽくないんやろ?この喋り方」
「……」
「昔から言われててん、『エルフってもっと上品なんだと思ってた』『エルフなのに訛ってるんだーなんかショック』とか。だから異世界から来る勇者様とはちゃんと上品に喋ろって決めててんけど……あかんかったなぁ、すぐバレちゃった」
『なんかごめんな……』フィーネは寂しそうに小さく笑った。
「俺はそのままのフィーネがいいけど」
「え?」
「他のやつとかどうでもいいよ、俺はありのままのフィーネと仲良くなりたい。取り繕ってるフィーネと仲良くなってもそれは本当のフィーネじゃないじゃん?」
「……ハヤト」
「それに」
「ん?」
「訛ってるフィーネの方が可愛くて好きだ。なんか雰囲気が余計柔らかくてフィーネらしいって感じ」
「へ……ぇ?」
「うん、そうだ。誰が何と言おうと訛ってるフィーネは可愛い。だから俺も飾ってないフィーネと仲良くなりたい」
いつの間にかフィーネの顔は真っ赤に染っていて、その尖った耳の先までも真っ赤だった。
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