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本編
いざ!魔道具技師の街
しおりを挟む夜が明けて、森を抜けることになった。
次の目的地は『グラズ』ミーグの話によると、魔道具技師が多く住んでいて、街も栄えているらしい。
「我も魔道具の事はさほど詳しくないが、きっと役に立つものがあるであろ。魔獣の強さも上がってきておるし、装備を見直すという点でもグラズに行って損はなかろ」
ミーグが仁王立ちで力説する横で、ゴウシュも真面目な顔で頷いた。
「確かに剣のメンテナンスも出来るだけこまめにしておいた方がいいしな」
「うん、食料も買える時に買っといた方がいいもんなぁ」
「……お?」
「……おぉ?」
頷きながら自然に会話に入ったフィーネに、ゴウシュとミーグが目を輝かせた。
「……な、なに?」
いきなり注目されたフィーネは、少し慌てている。
「いやぁ~、あんなに『ハヤトには訛ってるのバレたくないね~ん』ってべそかいてたのになぁ?」
「そうじゃ、今のフィーネはふっつーに話してるのぉ」
「……だ、だって」
にやにやしているミーグとゴウシュに見られて、フィーネは耳の先まで真っ赤に染めてモジモジと視線を逸らした。
「……ハヤトがそのまんまでいいって言うてくれてんもん……」
「ひゅー!!」
「ハヤトお主、やるではないか!ひゅー!!」
「う、あ、も、もう!!からかわんといて!」
「だって可愛くない?訛ってるフィーネ」
「は!ハヤトまで!もお!」
涙をいっぱい溜めて睨まれてもフィーネの可愛さが増しただけだった。
――
森を抜けると、整備がなされた道が出てきた。
ちらほらと旅人や行商人と思われる、大きな荷物を積んだ荷馬車ともすれ違う。
「おーいあんたら!」
「おう、どした」
馬の手網を握り荷馬車に乗っている気の良さそうなおじさんが声を掛けてきた。ゴウシュが前に出て応じる。
「グラズに行くのかい?」
「おう、そのつもりだが……」
「そうかい、なら気を付けて行きなよ、俺はグラズからの帰りだが、最近のグラズは魔道具の暴走事故が多いからな」
「暴走?」
「なんでも魔王の力が強くなってるみたいで、粗悪な魔道具が悪影響を受けてるらしい」
「そんなとこにまで魔王の影響かよ」
「技師のやつらは毎日てんてこ舞いみたいだよ」
「そうか、教えてくれてありがとな!」
おじさんと別れ先を進む。
歩き疲れたのかミーグはゴウシュの背中によじ登りだしたが、ゴウシュはノーリアクションだ。
そういえば訓練してもらっている時も、ミーグを背負うゴウシュを見ていた。
「暴走……って、街の人らは大丈夫なんかなぁ?」
「技師がてんてこ舞いだっつーぐらいだから、被害がゼロってわけにはいかねぇだろうな」
「グラズは職人街。我も何度か行ったことがあるが、あそこの職人たちの腕は悪くない。ゼロでは無いかもだが、行商人の口ぶりだとそんなに深刻でもないであろ」
目に見えた被害は少なそうに見えるが、魔王の影響は確実に大きくなっていっている。
早く解決出来ないことがもどかしい。
とはいえ、焦ってもしょうがない、
今出来ることを確実に、着実にこなすしかない。
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