召喚勇者と関西弁エルフ

えびまる

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本編

煙立つ街と赤く染まる耳

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 少し遠くに街が見えだした。
 レンガ造りの煙突が何本も建ち並び、色とりどりの煙を吐き出している。

「見えた!あれがグラズなのだ!」

 目的地が近い事がわかり、テンションが上がったミーグはゴウシュの背中から飛び降りた。

「わぁー、煙突いっぱいやなあ」
「職人街って感じだ……」

 フィーネもグラズは初めてのようで、目をキラキラさせている。

「グラズは飯も美味いもんが多いぜー!久しぶりに酒でも飲みてぇな!」

 ゴウシュもニカッと嬉しそうだ。


 目の前に目的地が見えてきたことで、自然と脚に力が入るのを感じた。 


 ――

「到着!!」

 ゴウシュの一声で改めてグラズの街に入ると、どこからともなく金属を打ち付ける音がする。
 煤を顔につけ、両手に荷物を抱えて走る少年や、金属のパーツっぽいものや色とりどりの石など、何かわからないものを売っている露店が通りにズラっと並んでいる。

「えっと、とりあえず今日泊まる宿決めて、ほんでからご飯、ほんで魔道具探し……ってことでええかな?」

 フィーネが指を折りながらグラズでしなければならない事を確認している。

「だな、魔道具探すついでに武器のメンテしてくれそうなとこと、携帯出来る食料売ってるとこも探すか」
「決まりだの!我は飯がうまいおすすめの宿でも聞いて来ようぞ!」

 すっかりテンションの上がったミーグは、そのまま広場の方に向かって走っていってしまった。
 見た目が中学生だからあっ!と思ってしまったけど、中身は120歳なんだった。まあ、大丈夫だろう。

 
 その後ミーグが街の人に聞いてきてくれたおすすめの宿屋に向かう。あまり余計なことにお金を使わない事にしているので二人部屋を二部屋用意してもらった。

「へ、部屋割りってどうする……?」

 なんとなくフィーネがモジモジしながら口を開くと、ゴウシュとミーグが顔を合わせてニヤニヤしだす。昔なじみの三人の間では何かあるのだろうか。
 誰かのいびきがすごいとか?寝相が悪いとか?

「我はゴウシュと同じ部屋でよい。なぁ、ゴウシュ!」
「そうだな、どうせ俺はミーグと飲みに行くし、俺とミーグ、フィーネとハヤトでいいだろ」
「っ……は、ハヤトは?それでも大丈夫……?」

 またフィーネの耳の先が赤くなっている。

「いいよ?」

 そう答えると何故かフィーネはホッとしたような顔をしていた。
 宛てがわれた部屋に入り荷物を置くと、やはりおすすめされただけあって清潔で広さも申し分ない。……のだが。

「……あれ?」

 ベッドがひとつしかない。しかもダブルだ。
 隣のフィーネもそれに気付いたようで声をあげる。

「ふっ、二人部屋ってベッドが二つなんやと思ってた……」
「俺も。……ちょっと聞いてくるわ」

 フロントに降りて確認すると、今日は人が多いらしくもう部屋の空きはないとのことだった。
 今から宿を変えるのは得策ではないし、最悪部屋の真ん中にあったソファーで寝ればいいか。

 フィーネにその事を伝えようと部屋に戻ると、同じ姿勢で固まったまま突っ立っていた。

「ダメだった。今日は満室なんだって」 
「……そっ、そっかあ」

 フィーネが視線を伏せ、モジモジと指を絡める。耳の先がまた赤い。

「俺がソファーでいいよ?」

 フィーネも見せないだけで疲れてるだろうし、俺はどこでも寝れる派なので毛布さえ貸してくれればそれでいい。
 なのでそう提案すると、フィーネははっ!と顔を上げた。

「そんなんあかん!ハヤトは慣れへん旅で疲れてるねんから!」
「それはフィーネもじゃん」
「ぼくは元々森の里で育ってるし!」
「……?じゃあ一緒にベッドでいい?結構デカいし、このベッド」
「~~~~ッッ!!!!」

 フィーネはついに顔を真っ赤にして背中を向けてしまった。
 なんか肩も震えてる気がする。

「……やっぱやだ?」

 何だか申し訳ない気持ちになってそう言うと、フィーネは肩をびくっと揺らし、バッとこちらを見た。
 そして口を開けたり閉めたりを繰り返した後。

「いっ!一緒に寝よ!!!!」
「……?わかった」

 その顔を見て何だか久しぶりにトマトが食べたくなった。

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