召喚勇者と関西弁エルフ

えびまる

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本編

勇者の言葉と心の温もり[sideフィーネ]

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 そんなこんなで月日は過ぎて、ミーグとゴウシュはハヤトの旅立ちに問題ないと太鼓判を押した。
 ぼくも意見を聞かれたけど、ハヤトなら大丈夫、何も問題ないよ、と言った。

 あれから休憩時間に弓を教えたりしながら(すぐ出来るようになってびっくりした)少しずつ仲良くなって、ハヤトはよく笑いかけてくれるようになった。
 口調もお互い柔らかく話せるようになったとも思う。

 そして、ぼくたち4人は旅立つことになった。


 ――

 その日は魔獣がよく出てきて、何度も討伐をした。
 みんな疲れていたので、近くで野営しよう、ということになった。

 みんながテントや食事の準備をしてくれている間、ぼくはミーグにことわって、少し離れた木の根元に座って自分に包帯を巻こうとしていた。

 (うまく手がまわらへん……)

 戦闘中に折れた枝でサクッと腕を切ってしまった。
 サクッととはいえ、ちゃんと処置しないと色々と良くない。治癒魔法を使えばいいやんって言う人もおるけど、軽い傷は自分の治癒力で直すのがいいとぼくは思ってる。

 利き手の方を怪我してしまったので、中々上手く巻けずに格闘していると、誰かの気配がした。

「フィーネ」
「あ、ハヤト……」

 なんでここに……って言う前に、ハヤトはそっとぼくの手元にしゃがみ込んできて、優しく微笑んだ。

「貸して」

 言葉の前に、もう手が動いてた。
 包帯をするりとぼくの手から取り上げて、自然な動きで巻き始める。

「慣れてる……」
「あぁ、施設のチビたちよく怪我しててさ。手当てするのも日常だったから」

 施設……?

 聞き慣れん言葉に、首を傾げたぼくに、ハヤトは当たり前のように話し出してくれる。
 自分が育った場所、家族がいなかったこと、そして小さな子たちの面倒を見てたこと。
 こっちの世界では、孤児とかは結構少なくはない。
 話を聞いてる分には平和やと思ってたハヤトの世界にもそういう子が沢山おるって知って、ハヤトが育ってきた環境を聞いて、そっかって思った。
 だからハヤトは優しくて少し寂しそうなんや……。

「それより、自分の怪我には治癒魔法かけないんだ?」
「うん、あんまりバカスカ治癒魔法かけまくるのも良くないねん、身体が持ってる本来の治癒力が弱っていくから……だから重症とかじゃない怪我なんやったら出来るだけ清潔に保って自分で治す方がいいねん」
「……ん?」

 ……あ。
 しまった。思わず普段のしゃべりが出てしもた。
 ハヤトが首を傾げたのを見た瞬間、心臓がどきんと跳ねた。

「……っ!ちゃう!ちゃうねん!」
「え?」

 やってもーた……。
 思ってもないほど、ぼくの心は焦ってた。
 異世界から来た“勇者様”には、ちゃんと上品な言葉で話そうって決めてたのに……。
 どうしよう、ハヤトにもガッカリされたら……。

 でも――

「俺はそのままのフィーネがいいけど」

 その一言で、全部、崩れた。
 嬉しくて、びっくりして、でも信じられなくて。
 ハヤトが続ける言葉ひとつひとつが、じんわり胸の奥に染み込んでくる。

 「訛ってるフィーネの方が可愛くて好きだ」って。

 「俺も飾ってないフィーネと仲良くなりたい」って――。

 ……耳の先まで、熱い。
 頬が火照って、心臓がうるさいくらい鳴ってる。

(……あかん。そんなこと言われたら……)
 
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