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本編
ひとつのベッド[sideフィーネ]
しおりを挟むハヤトがそのままのぼくでいいって言うてくれてから、なんとなーく、心の距離も近くなったような気がしてた矢先、立ち寄ったグラズの街で事件は起こった。
二部屋に二人ずつで分かれることになり、ミーグとゴウシュに決められてハヤトと同室になった部屋に向かったそこにはなんと、大きいベッドが一つ、どーんとあるだけやった。
それを意識した瞬間、身体がめちゃくちゃ熱くなって、何も考えられへんなった。
ハヤトは冷静に他に部屋がないかとか、確認してきてくれてたけど、その間固まった頭と身体は動かんかった。
しかも、結局ハヤトと一緒に寝ることになってしまったし……!
だってあんな!眉毛しゅんって下げて『やっぱやだ?』とか聞かれてみーや!嫌とかよう言わんやん!
いや、嫌じゃないし!嫌じゃないから問題なんやーん!
……でも、その後のハヤトもいつも通りで、意識してるのはぼくだけなんかって思ったら、悲しいやら悔しいやらよく分からん気分になってしまった。
でも、夜になったら一緒に寝るんやって思ったら、嬉しいような、恥ずかしいような、にやにやしちゃう。
しかも!道でコケそうになった時、さりげなく手を繋いでくれたし、なんか様子が変やっておデコを触って熱がないか確認とかしてくれた。
(ひぇー!)
もう、あかん。大パニック。
ハヤトの手の暖かさを感じながら、心にカチッと何かがハマった気がした。
もう、あかん。こんなん。
……ぼくはハヤトの事が好きになってしまった。
――
その後、魔道具技師のシャンが旅の仲間になってくれる事になった。
シャンは無邪気でかわいらしいけど、魔道具が魔王の魔力の影響で暴走しているのを悲しんで救いたい思う優しい心を持ってるし、暴走を止めようとして一人でも前に出る強い心を持っている様な人間で。
ぼくとしてもめっちゃ心強いし、これから仲良くなって行けたらいいなって思う。
無邪気にハヤトに抱き着いてるの、羨ましいな、とかは思ってへん。うん。
――そして、いよいよ寝る時間が来てしまった。
ミーグとゴウシュが宿の食堂で上機嫌に飲み続ける中、ハヤトが部屋に戻るというので何も考えずに付いてきてしまったのだ。
ハヤトが入浴する音だけが部屋に響いてて、我に返ってしまった。
は、ハヤトがお風呂に入ってる……!
いやそりゃ入るよ、せっかく部屋にお風呂あるねんし、今日は暴発騒ぎで砂埃とかもめっちゃ被ってるし。そう、そりゃお風呂には入るよ、ぼくも入りたい。いやいやちゃうちゃう、ハヤトと一緒にとかじゃなくて。普通に!いや誰に言い訳してるねん。言い訳ってなんやねん。
もうとっくに片付いてる荷物を何回も出したり入れたりしてみても、何回も何回も深呼吸してみても心臓のドキドキ言う音が落ち着く事は無かった。
ハヤトと交代でお風呂に入って、なんとなく自分の身体を眺めてみる。一応まだピチピチやと思う。
ハヤトは向こうの世界に家族も恋人もおらんって言うてたけど、今までに好きになった人とかはおるんかなぁ。……さすがに百歳超えてたらハヤトにしたらおじいちゃんよなぁ。
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