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本編
ぴったりの魔道具2
しおりを挟む次にシャンが手に取ったのは、黒くて細長いベロア生地のリボンのようなものだった。
「んと、ジルクにはこれなんかいいかなーって思って」
「これは?」
「ばいーんチョーカーだよ!」
「……ばいーん」
ジルクは、小さな声でばいーんと呟きながらチョーカーをシャンから受け取った。
「今日初めて会った俺の分までわりぃな、シャン」
「んーん!ジルクはミーグの大事だからぼくにとっても大事だからね!仲間だもんね!」
シャンの無垢な笑顔に部屋中にほんわかとした空気が広がる。
どこか擦れたイメージだったジルクも心を打たれたのか、頬を少し赤らめていた。
「シャンから見て俺って、その、師匠の大事なの……?」
「ん?そうでしょ?だってジルクといるミーグはにこにこだもんね」
「……っ」
「はわわ……!」
シャンの言葉についにうるうるとしだしたジルクは、そっとシャンを抱きしめて「効果教えて……」と呟いた。
ミーグは特に否定も肯定もしない。大人の余裕ってやつなのだろうか……。
「これはねー、攻撃されたらばいーん!って出来るよ!あと魔力を貯めとけるんだけど、強い人の魔力を貯めてればもーっとばいーんってなる!」
「ほぉ……」
ミーグはジルクの手からするっとチョーカーを抜き取り、手のひらに乗せた。
しばらくしてほわっとチョーカーが光るのを見ると、指をちょいちょいと曲げてジルクを呼びつける。
「師匠……?」
「首を出してみよ」
屈ませたジルクの首に腕をまわしそのままチョーカーを着けたのだった。
「師匠、もしかして」
「うむ、我の魔力を入れておいた。不満か?」
「っ、ううん!めちゃくちゃうれしい……」
「無くなったらまた言うが良い」
ジルクは余程嬉しかったのか、そっとチョーカーを撫ぜていた。その顔は見ているこっちがむずむずするようなはにかんだ微笑みだった。
――
「じゃあ最後に残ったのは俺のか!」
「うん!」
ゴウシュがそう言うと、シャンはベルトの様な物を手に取りゴウシュの前に立った。
「ちょっとごめんねー」
そう軽く謝ると、ゴウシュが着けていたベルトを外し、シャンが作った物に着けかえる。
「おぉー、かっこいいな!このベルト!」
「ほんと?うれしい!」
ゴウシュが言ったように、ベルトは茶色の皮と金色の金具で出来ていて、皮にも金具にも細やかな細工が彫刻されている。
今ゴウシュが着けている帯刀する為のホルダーともよく合っている。
「このベルトはね、ゴウシュの事をもっと強くして、あとはダメージも少なくなるの。あのね、ゴウシュは広場でぼくのことを守ってくれたでしょう?」
「……あぁ」
「ぼく、あの時本当に嬉しかった。ゴウシュがぎゅってしてくれた時、心がぽかぽかしてとても安心したんだー、初めて会ったのに不思議だなって」
「そうか」
「だからね、今度はぼくもって思ったの。ゴウシュはとっても強くてかっこいいけど、それでもぼくもゴウシュを守りたいの」
「……シャン、ありがとな」
ゴウシュを真っ直ぐに見上げる視線には迷いは一切なく、シャンの中に確かな強さを見た気がした。
ゴウシュもその想いを受け取ったのか、少し照れくさそうだが嬉しそうにシャンの頭を撫ぜた。
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