召喚勇者と関西弁エルフ

えびまる

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本編

手加減なしの復習タイム

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 やる気になっている2人を前に気を抜くことは出来ない。鞘から取り出して構えた剣の鍔部分には、シャンから貰った石が淡く光っている。
 握るだけで俺の魔力が少しずつ流れる仕組みになっているらしく、特に操作は要らない、とのことだった。

「ハヤト、ぼくもサポートするから……」
「おーっと、そうは行かねぇぜフィーネ!」
「そうだぞ、これは稽古なのだからな!」
「そんなん言うて、6対1はやりすぎやん!」
「え、フィーネ……俺の時そんなん言ってくんなかったじゃん……」
「じ、ジーくんのと違ってハヤトの魔道具は防御ついてないねんもん!」

 わちゃわちゃと揉め出す3人と軽めのショックを受けているジルク。
 シャンは先程のジルク達の動きを見てフィードバックのようなものを板のような魔道具に書き殴っている。

「フィーネ」
「ハヤト、ちょっと待っててな!ミーグとゴウシュ説得するから!」
「ちがくて、俺1人でやってみるからさ、怪我したら治して」
「ちょ、ハヤト……!」

 魔道具の性能が見たいのは俺も同じ、フィーネと言い合いをしていて油断しているミーグとゴウシュの合間を縫ってゴーレムに斬りかかった。

 バチッと手元が光ったと同時に剣身に青白い稲妻が走る。その稲妻はゴーレムの肩から足元を通り抜けていく。斬撃と電撃を受けたゴーレムは後ろに弾かれたようによろけ、動きを鈍くした。

「やったあ!ちゃーんとゴーレムくんもバチってなったね!」

 シャンが喜びの声を上げた。

 動きが鈍くなったゴーレムをそのまま蹴り倒す。
 とりあえず1体。

「はっ!やるじゃねぇか!」

 ゴウシュが横から斬りかかって来たのを受け止める。剣自体もデカくて重いのに、更にそこにゴウシュのパワーが乗る重い一撃に、こちらの腕にも鈍く衝撃が走る。

「ッ……!」
「こりゃやべぇ、こうしてるだけでもビリビリ来るじゃねぇか……!」

 電撃は先程よりは弱く、ゴーレムの動きは止められても、ゴウシュの動きまでは止められない。
 斬りかかる時は強い衝撃でその分電撃も強くなるが、じりじりとした鍔迫り合いなどでは電撃は弱くなるのだろうか。

 パンッとゴウシュに剣を弾かれ、少しよろけた隙をついて背後からゴーレムの腕が振りかぶられる。

 振り向きざまに剣を横薙に振ると再び石が光り、電撃が走った。2体目のゴーレムが感電したようにビクビクと痙攣し、動きを停めた。

 数が減ったところで、逆にミーグのゴーレムを操る精度が高くなっていく。残った3体のゴーレムにすぐさま囲まれてしまった。

「ハヤト……!」
 
 フィーネの焦った声を背に、ぐっと前へ踏み込んだ。ゴーレムの膝を狙い、電撃が走るように強く斬り込む。

「ッ、3体目……!」

 膝に電撃を受けた衝撃で脚をもつれさせたゴーレムがそのままどしんと崩れた。

「やりおるのぉ、ハヤト……!」

 ミーグがギラギラとした目で楽しそうに笑っていた。残ったゴーレム2体が一斉に距離を詰め、両手を振りかぶってきた。4本の腕の内の1本を避けきれず剣で受け止めるが、その重さに地面に膝を着きそうになる。

「くっ……!」

 剣に取り付けられた石が、これまでで一番激しくバチバチと光を放つ。

 
 
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