27 / 80
本編
誘導はさりげなく
しおりを挟む「……!!ハヤト!ミーグ!ストーップ!!!」
シャンが突然大声を上げ、ミーグがゴーレムを下がらせた。
「シャン?」
シャンの隣にいたフィーネが不思議そうに名前を呼ぶと、シャンは小走りでこちらにやって来る。
「ごめんね、ハヤト。ぼく、ハヤトの魔力量少なく見ちゃってた」
「ん?」
話を聞くところによると、俺の魔力量はシャンが想定していた量より多く、あのまま使い続けていたら石が破裂していたらしい。
調節してくれる事になったので、石を再びシャンに預けた。
「ほんとごめんね、ハヤト」
「いや、全然。むしろシャンが止めてくれてよかったよ。ミーグもゴウシュもテンション上がってたしあのまま続いてたら俺もヤバかったし」
ちょっと情けないとは思うが、正直に告白するとシャンはきょとんとした顔をした。
「勝ててたと思うよ?」
「え?」
シャンがそう言うと、ゴーレムを消したミーグが苦い顔で近付いてくる。
「……シャンの言う通りであろうな。それにシャンの想定は間違って無かったように思う」
「ん?」
「ハヤトはまだまだ発展途上じゃ。戦闘中に魔力量が増えていくのが見えておった」
「えぇ。自分ではわかんないもんなんだな」
やっぱり『勇者』って補正が凄いんだろうな……。自分で言うのもアレだけど。
「剣さばきも反応もどんどん良くなってるぜハヤト!魔王を無事倒せたらまた手合わせしような!」
ゴウシュに頭をぐしゃぐしゃに撫ぜられ、少し目が回った。
――
宿に戻り、食堂で夕飯を食べながら各々の魔道具についてシャンがフィードバックを取っている。
フィーネは、魔道具を使うため普段はかすり傷にはしない回復魔法を掛けてくれたし、ゴウシュはミーグに軽い攻撃魔法を打ってもらっていた。
シャンはふわふわしているが、魔道具のことになると真剣で目付きが変わる。
好きなことを仕事に出来るのってなんかいいな。
シャンのフィードバックが一通り終わり、夕飯もそろそろ食べ終わる頃になると、ジルクが「あっ!」と叫んだ。
「ジーくんどうしたん?」
フィーネが声を掛けるとジルクは困ったように眉毛を下げた。
「俺ってばぁ~、今日の宿取るの忘れちゃってたぁ~、どおしよう~?」
「え?!そうなん?!」
「えー?ジルク寝るとこないのぉ?たいへん!」
指を口元に当てて首をかしげるジルクは、すんごく怪しい。
絶対わざとじゃん……。と思うけどフィーネとシャンはまんまと引っかかていた。
「ジルクぼくのお家くる?工房の2階に寝るとこがあるの。あんま広くないけど……」
「え!いいの?シャン、やさしー!」
ジルクはシャンの手を握り、にっこりと笑う。
「でもぉ~、俺師匠と話したいことあるからぁ~、ゴウシュがシャンの家に泊まりに行ってくれるぅ~?」
「え!ゴウシュぼくのお家来てくれるの?!うれしー!!きてきてー!!」
「……はぁ、んなことだろうと思ったぜ。貸しだかんなジルク」
ちらっとミーグを見ると仕方ないなぁ、という感じで苦笑いしていた。
シャンはめちゃくちゃはしゃいでゴウシュの手を引き、荷物を持ってさっさと帰って行った。
「俺たちも寝よっか、フィーネ」
「……う、うん。そうやな!明日も早いし!」
俺はというと、フィーネと部屋に戻るまでベッドがダブルだということをすっかり忘れ去っていた……。
32
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる