召喚勇者と関西弁エルフ

えびまる

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本編

媚薬の迷宮11

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 ジルクは気が付くと、ダンジョンだと思われる床に大の字で寝転がっていた。
 パーティメンバーの声も聞こえてきたので、どうやら無事にダンジョンに戻ってこれたらしい。

 (っぶねー!幻影だったんかよ!もうちょいでヤッちゃうとこだった……!)

 媚薬のせいで意識は朦朧とし、ミーグに対する安心感もあって完全に油断しまくっていたジルクは、まさに幻影に身を委ねようとしていたその瞬間、鏡の外へと引き戻されたのであった。

 幻影を見破れなかった情けなさと、発散出来ず身体に篭った熱のせいでダルさが押し寄せる。
 正直、起き上がるのも面倒だ。

 だが、ミーグが心配だ。
 なんとか気合いを入れて上半身を起こすと、ミーグは少し離れたところで床に座り込み、じっと自分の固く握った拳を見ていた。

 その姿を見ていると、何となく不安な気持ちが出てきたジルクはそっとミーグに近寄り、後ろから抱きしめた。

「師匠大丈夫だった?俺、師匠の幻影見ちゃったんだけどさぁ、媚薬も効いてるし、もう、マジでヤバかったー!師匠は?どんな幻影見たの?相手が俺だったらいいなぁーってか、俺じゃなかったらやだからね!あ、だめ!やっぱ言わないで!!」

 自分で話始めたくせに、もし幻影の相手が自分じゃなかったら……と思うと嫉妬でイライラしてきたジルクは、まくし立てるように言葉を続けた。
 抱きしめる腕にも力がこもる。

 そんな弟子の態度に、暗い思想に沈みそうになっていたミーグは苦く笑った。

「ほんとに、お主というやつは……」
「笑い事じゃないよ!肉体的な浮気もやだけど精神的な浮気の方がやだからね!!」

 ぐりぐりと頭に頬を擦り付けられていると、なんだか馬鹿らしくなってくる。
 この弟子はきっとミーグの考えを聞けばすぐに番になりたいと言うのであろう。
 ……番の事を黙っていて、他から知った時の面倒くささを考えると何にもしてないのに疲れた気がする。

 じめじめ一人で考え込むより、全て話して二人で考えて行く方が自分たちにはお似合いなんじゃないか。
 そう考えてミーグは固く握った拳をようやく開いた。

「……ジルクよ」
「なぁに?俺怒ってるよ!」
「……はぁ、我が見たのもお主の幻影じゃ」
「え!まじ!?なら許す♡幻影の俺どうだった?俺よりエロかった?」
「んー、いつものお主だったかの?」
「ふぅーん、そんなもんか」

 抱きしめる力は多少緩んだものの、ぴったりと引っ付いてくるのに変わりない。
 ミーグは、自分の前に回っているジルクの腕に触れるとそっと微笑んだ。

「……早く魔王を倒さねばの」
「だね!まじでうぜー!早くこのダンジョンも突破しよ!!」

 ミーグは、そう言って立ち上がったジルクを眩しいものを見るような目で見ていた。

 魔王を倒すことが出来たらどんな褒美をやろうか。
 番の話をしたら、どんな顔を見せてくれるのか。
 ……きっと暗い話にはならないだろう。
 そう考えたミーグの口元に、ふっと笑みが浮かんだ。

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