53 / 80
本編
昇愛の階段1(ハヤト×フィーネ)
しおりを挟む6人がお互いの無事を確認し合っていると、行き止まりだと思っていた空間に、突如として1つの大きな扉が現れた。
「……出口なのか?」
ハヤトの呟きに、皆が顔を見合わせる。
まだ身体に残る熱と、染み付いたように離れない甘い香り。それでも6人の顔には少しの安堵が滲んでいた。
「次のとこに行けるんかな?」
「多分そうだと思う」
フィーネがそう呟くと、ハヤトは頷き、そっと彼の手を握った。
「みんな元気そうでよかったね!次も頑張ろー!」
元気かどうかはさておき、皆シャンの言う通り6人が五体満足で揃っていることにとりあえず安堵した。
「……まあ、まだ序盤も序盤だがな」
ゴウシュの言葉に、それぞれ扉の前に立ち息を整える。
「大丈夫、俺たちはやれる」
そう呟いたハヤトがドアノブに手を掛けた。
皆が黙って頷くなか、ハヤトは慎重に扉を開ける。
扉の向こうは眩い光が満ちていた。何も見えない。ただ白い光に包まれている。
「気を引き締めていこう」
ハヤトが1歩、足を踏み出すと、その光は眩さを増した。
それに戸惑うことなくハヤトは足を進める。
6人全員が扉を抜けた瞬間、足下から淡い光の紋様が浮かび上がった。
「また?!」
ジルクの叫び声が響いた瞬間、光が弾けた。
次にハヤトが目を開けると、そこにはフィーネの姿しか無かった。
――
しばらく待ってみても他のメンバーは表れなかった。
今いる所はやはりダンジョン内のようで、何も無い白い部屋の上空……というべきか、上の方に炎で照らされた扉が見える。天井は暗くてどこまで上があるのかわからない。
「ぼくたちだけ……?」
フィーネは不安そうに呟いた。
「とりあえず進もう」
不安そうなフィーネの手を取り、ほわっと光っている石盤の前に立った。
『段階を踏み扉を目指せ』
石盤にはそう書いてある。
「段階……」
うっすら光る階段の一段目の様な物が現れた。
「あれを登っていくってことだろうな」
「うん……」
二人で一段目に立つと、目の前に文字が現れる。
『手を取り合い、その温もりを確かめよ』
「……手を?」
「繋げばいいんかな?」
2人は横並びに立ち、そっと手を繋いだ。
……だが、何も反応がない。
そこでハヤトは普通に繋いでいた手を、指と指を絡める恋人繋ぎへと変えた。
「っ……な、なんか、これ恥ずかしいなぁ」
「フィーネ、耳真っ赤。かわいい」
「かわいない!」
恥ずかしさからか、目を合わせようとしないフィーネをハヤトは微笑ましく見ていた。
すると、ごごごご……と音が響き、今立っている足場が上に上がっていく。
「なに?!」
フィーネが驚いて声を上げると、目の前に今立っている所より更に高い段が現れた。
「段階ってこういうことか」
ハヤトとフィーネは繋いだ手を離さないまま、新たに現れた段に登る。
「何段ぐらいあるんやろう……?」
「うーん、あんまりヘビーな指令じゃないといいけど……」
先程通って来た媚薬の霧で充満していた迷路や、鏡の部屋の幻影の事を考えると、今回もまたいかがわしい指令なのだろうとは思う。
だが、せっかく思いを通じ合わせる事が出来たフィーネにはあまり酷い目にあって欲しくない、と願わずにいられないハヤトだった。
17
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「レジ袋はご利用になりますか?」
すずかけあおい
BL
仕事帰りに寄る、いつものコンビニで五十嵐 歩(いがらし あゆむ)はイヤホンをつけたまま会計をしてしまい、「――――?」なにかを聞かれたけれどきちんと聞き取れず。
「レジ袋はご利用になりますか?」だと思い、「はい」と答えたら、実際はそれは可愛い女性店員からの告白。
でも、ネームプレートを見たら『横山 天志(よこやま たかし)』…店員は男性でした。
天志は歩に「俺だけのネコになってください」と言って…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる