死んでも蘇る世界で俺は何度も死ぬ

スぺラ

文字の大きさ
2 / 4

2話 村に着いた

しおりを挟む
ハジメは走りながら、騎士たちの戦いの光景を振り返った。まるで映画やゲームのような光景が目の前で展開され、彼は半分夢の中にいるような気がした。

しかし、ハジメは自分が先ほど目の当たりにした光景が現実であることを思い出し、不安な気持ちが少し芽生えた。

「今の俺にはあの魔物を倒す力はないから、まずは強くなる方法を見つけないとな。逃げてばかりもいられない。」と自分自身に言い聞かせながら、ハジメは走り続けた。

彼の心の中では、魔物を倒すため、魔王を倒すためには、自分自身を鍛え上げ、強くなることが必要だという確信が生まれていた。

しばらくすると、森を抜け先に村が見えた。近づくと、村人らしき人達の他に騎士も混じっていた。

さっきの騎士たちは、あの村を拠点にしてるのか。

ハジメは、村の入り口に立っている2人の騎士に近づき話しかけた。

「すみません、先ほど森で騎士の方達に助けてもらって、ここに逃げろと教えられて来ました。」

1人の騎士が返答した。

「助けられた?まさか本当に森の中に魔物がいたのか?」

ハジメは、頷きながら答えた。

「はい、本当に魔物がいました。トカゲのような顔をした人型の魔物でした。あの騎士の方々は大丈夫でしょうか?」

もう1人の騎士が答える。声を聞くにどうやら女性の様だ。

「それはリザードマンだな、数はどのくらいいた?」

ハジメは少し考えた後、答えた。

「隠れてしばらく様子を見てましたが1体しか見てません、多分1体だと思います。」

女性の騎士が言った。

「ごく稀に単独で行動する魔物が発見されることがある。おそらく1体だろう。万が一あいつらが本当にまずい状況になったら合図を寄こすだろうから、今のところは大丈夫だろう。」

少しホッとすると、もう1人の騎士が一に話しかけた。

「それにしても、君は誰なんだ?1人でなぜ森の中にいたんだ?」

ハジメはどう答えるか迷い、一瞬の間をおいて答えた。

「すいません、覚えていないんです。」

不思議そうに騎士は言う。

「覚えていない?」

ハジメは困ったように頷いた。

「はい、どうやら何らかの理由で記憶を失ったようです。ただ、魔物を倒す事を目的に旅をしていた事とハジメという名前は覚えています。」

騎士たちは一の話を聞き、2人で話し始めた。



咄嗟に嘘をついたが、怪しまれたか?どう言えば良かった?と考えていると女性の騎士が口を開いた。

「待たせてすまないな、武器も防具もなしに魔物を倒そうとしていたとは思えないが、少々記憶の混濁が見られるな。ハジメが良ければ少し休むか?」

少し怪しまれたみたいだが、休ませてもらえるのはありがたい。

ハジメは騎士の言葉に感謝し、その申し出に応じることにした。

「ありがとうございます。お言葉に甘えて休ませていただきます。」

騎士はハジメを村の宿に案内し、部屋を用意してくれた。

「記憶が無くては何かと不便だろう、また何か聞きたいことがあれば兵舎に来てくれ。」

ハジメは礼を言い、宿の主人に案内され、部屋に向かった。

「ここがお前の部屋だ。金は騎士団のやつらが払ってくれてるから1週間は好きに使ってくれ。」

ハジメは「ありがとうございます。」と礼を言い、部屋に入った。部屋は簡素でありながら、清潔で居心地が良かった。

ハジメはベッドに寝転がり、かなり疲れていたのか、いつの間にか眠りについていた。

ハジメが気が付くと図書館のような場所にいて、目の前には黒い翼を持った男が椅子に座り本を読んでいた。

男はこちらを見ると「座ったらどうだ?」と声をかけてきた。

ハジメは驚きつつも男に従って椅子に座った。男はハジメに本を1冊手渡し、「読んでみたら?」と言った。

ハジメは本を手に取り、表紙を見ると『魔法の基礎知識』というタイトルが書かれていた。ハジメは本を開き読み始めたが、内容は難しく理解することができなかった。

男はハジメの表情を見て「魔法は難しいかもしれないが、時間をかけて学べば必ず理解できるようになる。騎士団に入って戦い方を覚えるのもいいかもな」と本に目を落としながら言った。

ハジメは男に尋ねた。

「あなたは誰ですか?俺は宿にいたはずじゃ...」

男は本を見ながら答える。

「まあ、夢の中と思ってくれれば説明も省ける。お前が契約にサインした以上俺でもそれを無効に出来ないみたいだしな。」

ずいぶん適当だな。...契約?って女神とした契約か?

「俺のことを知っている?」

男は答える。

「知っているよ、簡単に契約に承諾して輪廻の輪から外れた愚か者め。」

ハジメは男の言葉に驚いたが、それ以上質問はしなかった。男は続ける。

「まあいい、君のその能力をうまく使えば本当に魔王討伐を成しえるかもな。くれぐれも魔王を倒す目的だけは強く胸に刻んでおくことだ。」

男は本を閉じハジメの方を向き言った。

「もう時間だ、せいぜい頑張りたまえ」

ハジメは男の言葉に深く頷いた。目の前の景色が崩れていき、ハジメは目を覚ました。

夢と現実の境目が曖昧で、まだ少し幻覚的な感覚が残っていた。

夢の内容は細かいことは覚えていないが、戦う術を学ぶことと魔王を倒す意志を強く持つということは覚えていた。

「戦う術か...とりあえず騎士の人に聞いてみるか。」

ハジメは部屋を後にした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

処理中です...