大好物の桃を育てていたら最強で最凶の人外達に求愛された

白藍たんぽっぽ

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第一章 日常から非日常への一歩

36話 そんな幼稚なことをしなければいいのに

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 ご飯を食べながら俺が強姦魔に攫われていた時の朔夜とリシェじいの様子をリシェじいから聞いていた


「朔夜には早速、畑を耕してもらってな。明日は種子を植えられるほど土が柔らかくなったぞ」

「朔夜はすごいな~、俺は三日くらいかかったのに、、、」

「モモは植えてもすぐ枯らしてたしな」

「うっ、そんなことない、、、一所懸命育ててたもん」

「一所懸命育ててたし、それでいいんだよ」

「リシェじい、そうやで俺頑張ってたもん、、、それに桃は枯らしたことなかったんやで?朔夜」


 そう言って朔夜を見上げると微笑みながら頭をポンポンと撫でられた。どうやら植物をちゃんと育てられない、お世話もできない優しくない人間だと思われずに済んだようで安心した
 思わず頬が緩んで心がほわほわと温かくなっていると強姦魔が水を差してきた


「桃だけで他は枯らしてんじゃ、そのうち桃も枯らしちまうかもな」

「そ、そんなことないっちゃんと桃は育てられるし、、、」


 何度、畑に種子を植えて水をあげても野菜や桃以外の果物、薬草は芽吹くことは一度もなかった。種子から芽が出ないと悟った時の絶望は目の前を真っ黒に生きる希望も消えてしまうほど俺に深い傷を与えた
 性奴隷として生きているのに死んでいるあの日々からリシェじいが俺を救ってくれてその後の生活まで面倒を見てくれたから何か恩返しをしようと畑仕事を買ってでたのに、、、何一つ、役に立たなくて
 でもそんな中で大好物な桃はちゃんと育てられるとリシェじいが諦めずに見つかるまで俺に挑戦させてくれたから生きる希望ができたんだ


「桃が、枯れたら、、、っ」

「っ!」


 なのに、せっかく見つけた俺の生きる価値まで無くなったら俺はどうしたらええ?


「安心しろももあ、お前が桃を枯らすことなんてない。ちゃんとお世話が出来ているし、精霊もいるからな、、、枯れるとしたら精霊に何かあった時くらいだろ」

「そ、そうやんな、、、枯れへんよなっ、、、?」


 泣きそうになるのを耐えながら顔を上げてリシェじいに問いかける。いつもは仏頂面なリシェじいがふわりと優しく微笑むからほっと安心してハンバーグを食べ始めた
 すると、急に突風が起こってその衝撃に目を閉じる。カキンッと金属音が鳴り響き、恐る恐る目を開けると朔夜の真っ黒な剣と強姦魔の剣がキリキリと音を立てながら交えていた

 
「ふぇ?」

「おい、ご飯中だぞ。喧嘩は食べてからにしろ」

「先に仕掛けたのはこいつだぞ?」

「お前が悪い、、、やめないなら俺が二人とも外に追い出す。ももあに当たってたらどうするつもりだ。この馬鹿ども」


 朔夜は強姦魔を睨みつけながら黒い手が朔夜の代わりに剣を握り、それに対してレヴィはいつもより目を細め不機嫌そうに自分の手で朔夜の剣を受け止めていた。俺は料理が今の突風でどこかに飛んでしまったんじゃないかと心配になりテーブルを見ると料理が盛り付けてあるお皿にはぽわんと結界が張られていてなんとか無事だったみたいだ


「チッ」


 強姦魔が舌打ちをすると同時に魔法の剣が消えて朔夜の真っ黒な剣も黒い手が回収して消えた。な、なんやったんや今の、、、
 俺以外の三人は何事もなかったかのように食事を食べ進めたので俺も戸惑いながらも残りのご飯を口に運んだ


 
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