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本編

ベンの待つ館

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俺はシュワルツの手引きで朝一番に馬車に乗せられてベンのもとへ向かわされた。

何故ならば。

あのあとヴォルフとクレオンが何故か喧嘩になってしまったのだ。原因はそう、俺。

でも、なんか引っ掛かるんだよなあ、クレオンの素振りが。
ヴォルフは普通に怒ってるんだけど、クレオンは俺のために体を張ってるとは、悪いけど思えなかった。

馬車は途中にある観光で有名な町にたどり着いた。滝が美しく有名なところだ。
そしてホテルに通されて驚いた。

なんと。

部屋にベンがいたのだ。

もっと遠くの僻地にいるのではなかったっけ?

「…この町へ行けとシュワルツから連絡があってな…昨夜から来ていたんだ。レイ…どうした?」
「え…」

シュワルツ!!?これはどういうサプライズなんだよ。どうりでにやにやしてると思ったんだよな。演奏のお礼とかなんとかゴニョゴニョ陛下と言っていたのを思い出した。

「ベンは公務でしばらく王宮には帰れないんだっけ?」
「ああ。後日地方の長官が集まっての会議に出ないといけないので帰ってる暇がないんだ。今日はその中日だからオフではあったんだが…そこにレイを送ってくるとはシュワルツめ…道中レイになんかあったらどうするんだ」

俺を抱き寄せて頬にキスをするベン。

うわぁ、ベンだ…。彼の匂い、その瞳に俺はドキドキが止まらない。

「…?なんかあったか…?顔色が冴えないぞ」

ベンが怪訝な表情をする。俺の顎を押さえて詰問するような瞳になった。

いや、でも今言ってもいいのかな…?仕事の邪魔にならない?ベンの枷にならない?

「っ…」

口ごもっていると、少しイラついたらしいベンが俺を抱き締める。

「後で人伝に報告を受けるほど悲しいことはないんだがな…と言って拷問するのも嫌なんだけど」
「ご、拷問?」
「そ、俺なりの…。大人しく口を割ったほうがマシだったと思うほどのセックス、させてやろうか?」

そう言ってイタズラっぽく笑ったベンの顔が愛しくて胸がキュンと疼いた。

俺は正直に全てを話し始める。

初めは軽く聞いていたベンの顔つきがだんだんと冷え冷えとしてくるのに気がついて、俺は血の気が下がった。

「お、怒ってる…?」
「…いや、レイは何も悪くないのに何故怒る?」
「う、ん…でも、演奏したこととか」
「ああ…それは残念だけど、甘えてみただけで、そこまで縛るつもりはない。でもレイが気にしてくれてたなら悪かった…」

あぁ、そういうベンが好き。

「クレオンとヴォルフは仲がよくないの?」

俺は思っていた疑問をぶつけてみた。
そして、目を丸くしたベンが答えた言葉に驚いてしまった。

「は?…確か、クレオンはヴォルフが初恋の相手だぞ」

…へっ?















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