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第1葉
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しおりを挟む__私は、良い意味で素直。
悪い意味では、馬鹿正直。
人はそれを“空気が読めない”と言うのだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「あ~あ、やっちゃった。これで、もう無職。この先、どうしようかな...」
私、羽咲澪(はさきみお)25歳。
新卒で入社した子会社で事務員、いわゆるOLをしていたわけだが..、たった今“無職”になった。
事の発端は数分前の飲み会の席。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「それでは、羽咲。今日は我らが社長の誕生日のお祝いを込めて、社長にお酌をしてきてくれないか?」
と、小声で上司に促された私は派手に首を振った。
「嫌ですよ!私、そういうのは苦手なんです」
「何言ってるんだ!羽咲!お前は事務員で下っ端なんだ。社長への恩を込めてのお酌なんて当たり前だろう!!」
「嫌なものは嫌なんです!!!!」
あまりに私と上司が声を張り上げるものだから、お店中に声が響き渡る。
そこにいるみんなが私と上司を驚いた様に見つめる中、ふつふつと怒りを帯びた目で見る社長がちらりと見えた気がしたのだ。
なのに、私はさらに言葉を続ける。
一度出した言葉はもう戻らない。
「私はお酌という行為が嫌なんです。そんなに薦めるのなら、部長が社長にすればいいじゃないですか!」
その言葉に周りは凍りつく。
この職場は昔堅きで、下の者が上の者に酌をするのが当たり前の風習なのだ。
でもそれは、私には受け取れない風習だった。
____ただ、それだけ。
「もう、いい。お前は下がれ。もう、帰っていいぞ」
「分かりました」
もともと、こんな飲み会には参加したくなかった私にとってその言葉は好都合だった。
「お疲れ様でした、お先に失礼します」
そう言葉を発した私に、追い討ちをかける様に社長の低い声が背中越しに発せられた。
「羽咲と言ったか。もう、明日から来なくていいよ。今までご苦労」
___あ、終わった。
クビになったんだ。
「今までありがとうございました」
そう、言葉を絞り出してその店を後にした。
思い残すことは特になかった。
仲のいい人がいるわけでもなく、職場に私物を置くわけでもなく、
いつでも辞める準備はしていたのだ。
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
「あ~終わった終わった!これで、綺麗さっぱり!死んだ様な3年間とおさらばだ!!」
強いて言うなら安い給料で貯めた、貯金100万円に感謝をする程度。
しばらくは次の仕事を探しながら過ごせるだろう。
「帰って呑み直そう」
とぼとぼと、でもしっかりとした足取りで歩く。
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