〔時〕〔空〕冒険記

irohani

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水の国【ファウンテン】

しゅっぱつ。

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「…うん、お財布も持った、食料よし、念の為のポーションもよし、野宿用のスクロールも半ダース持った…と」

明日出発を目処にして帰ってきてから直ぐに準備を始めたけど、気が付いたら終わってしまった。

今すぐにでも出発したいけど、流石に夜に出ていくのは良くないだろう。せめて明日の朝イチで出発しよう。

「…最初に何処へ行くかだけ決めておこう」

賢者様から借りたスクロールタイプの地図を使って周辺にある国を探す。

「ここがいま居る所【時空の国タイプラスト】で、ここから1番近いのは…」

「そりゃ【水の国ファウンテン】でしょ!!」

「ひゃあああああ!!」

背後から突然聞こえた声。思わず変な声が出てしまう。ここには私しか居ないはずなのに。

「あはは!!そんなに驚くクロノを見たのは初めてだ!!」

私を見てケラケラ笑う。

淡いピンクの髪色で肩までかかるぐらいの髪の長さ。そして白をベースとして紅い装飾がされている私の服と色違いの服装。

「はぁ…なんでコーロが家に居るのさ。不法侵入で衛兵に突き出してやろうか」

私と一緒に魔王討伐しに行ったメンバーの一人、コーロだ。

「まあまあ、そんな事よりさ、旅に出るらしいじゃん?」

「あー、明日の朝には出るつもりだけど…」

知られてた…ってよりは賢者様がコーロに教えたのかな?

「あのさ、ウチも付いてっていいかな?…ウチもちょっと気になることがあってさ、それを確認しに行きたいんだ」

「いいよ。どっちにしろ誘うつもりだったしね」

コーロにそう返す。するとコーロはみるみる顔を明るくして

「よっしゃあああ!!断られると思ってたけどセーフだったあああ!!」

なんてはしゃいでいる。

「嬉しいのはわかるけど夜だから落ち着け」

「落ち着いていられるか!!…ッあぁ~……小さい頃からの夢だったんだよな~旅ってさ」

「一応、魔王討伐までの道のりも旅だと思うけど」

「アレは世界を救う旅だぞ!?アホか!!こういう気楽な旅を望んでたんだよ!!」

…いい笑顔。魔王を倒さなかったら、こんなにいい笑顔は見れなかったかもしれない。

「早速準備してくる!!明日の朝お前ん家に行くからなー!!」

コーロはまたあしたなー!!って声を残して消えた。はやい。

「…この笑顔が見れたならよかったのかな……?」

魔王討伐してよかったのかはまだわからないけどこんな様な笑顔が皆に広がってくれるといいな。

…そういえば、聞きそびれたけどコーロが気になることってなんだろうか。

「ま、それは明日聞いてみればいいか」

そう切りかえて布団に潜る。


寝るにはちょっと早いけどきっと明日からは騒がしいから。

「ふふ…楽しみだなぁ」


元気でいるために早く寝よう。



―――



「早いよ」

「クロノが起きるの遅いだけ!!ほら!!早く!!」

コーロが来たのは日が昇ってすぐの時間帯。まだ辺りは薄暗い。

めっちゃ眠い。

「うるせー。このドアホコーロ。もうちょい来る時間考えろやクソー」

せめて朝ご飯食べてから行きたい。

「ウチは楽しみすぎて寝れんかったんだ!!ほら、早く着替えて!!」

眠い。

「クロノの荷物はこれだな!?ほら、ウチが持つから行くぞ!!」

眠い。

「さー出発だ!!行ってくるぞ我が国【時空の国タイプラスト】!!」


その辺から私の記憶はない。

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