西の迷宮の触手風俗! ~少年剣士サージュの棚ボタ英雄譚~

糺ノ杜 胡瓜堂

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第ニ話 「私設討伐隊」~冒険を夢見る少年~

 

 王国もあれば、共和制、僭主タイラントが治める国家、選挙による議員制・・・・様々な形態の国家が林立するエルトリア大陸。
 その平和が突如、一人の伝説の妖術師ソルシエによって破られた。

 ・・・・大妖術師・ヴォールカン・・・・

 千年に一人と言われる強力な魔力を持った、大妖術師・ヴォールカンによって魔界へのゲートが開かれたのだ。

 異世界につながるゲートから湧き出るように出現する恐ろしい怪物達。
 妖術師・ヴォールカンは魔界への門を開き、魔族達をこの世界に放ち、その力を借りてこのエルトリア大陸を支配するつもりなのだ。

 もはや、エルトリア大陸の半分は魔族の跋扈する、人間の住めない危険地帯「暗黒地帯ダークランド」となった。

 この危機に、各国は連合軍を組織して魔族との戦争・・・20年戦争と呼ばれる・・・に入ったが、事態は膠着状態のまま、未だに人族と魔族の間の戦争状態は続いている。

 ・・・・時は、エキリアヌス歴309年・・・・。


 各国の常備する完全装備の正規軍だけでは、とても手に負えない強力な魔族の怪物達に対し、多くの国では「報奨金」を出して魔族退治に挑む者達を募った。

 その種類によって賞金は異なるが、怪物の首一つに対し、15グリュネとか、30グリュネが国から支給されるのである。
 知性を持った高等魔族・ベラルゴースの首ならば、一つで2万グリュネが支給される。
 ・・・・平民にとって数年間は遊んで暮らせる大金だ。

 元兵士、腕に覚えのある者、一旗あげようという野心ある者、冒険に憧れる者・・・・多くの若者達が魔族を退治して報奨金を得る「賞金稼ぎ」に身を投じ、多数の「私設討伐隊プライベート・パーティ」が組織された。

 ・・・皆、正規軍の士官や騎士となれる貴族階級ではなく、下層階級の平民の野心溢れる若者達であった。


 鍛冶屋の息子、○○歳のサージュもそんな一人だった。

 村の小さな鍛冶屋として一生を終えることをつまらなく思ったサージュは、毎日父親から厳しく鍛冶の技術を叩き込まれる日々に飽いていた。

 ・・・単調な日々、地味な仕事・・・この村で鍛冶屋として一生を終えるのか・・・。

 「・・・僕も、鎧を着て剣を帯びて魔物を退治するカッコいい勇者になりたい!冒険がしてみたい!」

 小さな頃から、村の元兵士の老人が開いている剣術道場に通って、木刀を振り回していたサージュは、ついに○○歳の誕生日に父親に自分の夢を打ち明ける。

 「・・・・父さん、僕、私設討伐隊に入って魔物退治がしたいんだ・・・・」

 その一言を聞いた彼の父はウェドウスは烈火の如く怒った。

 「この馬鹿野郎っ!なにを血迷っている!・・・あんな「ならず者」の群れに入って、一体どうしようというのだ!どうせ魔物に食われたり野垂れ死にするだけだ!お前はここで俺の後を継いで鍛冶屋になるのだ!・・・・そうすれば一生食っていける!・・・そんな戯言たわごとは二度と口にするなっ!」

 父親に言下に自分の夢を否定されたサージュは、その夜コッソリと村を抜け出して、町の繁華街へと走った。

そして道場の師範の老人が話していた、私設討伐隊のメンバーを募集する男達がたむろしているという酒場へと出向く。
 半地下になった薄汚い酒場、鎧を着た男達が酒を飲んで大声で話している、酔って喧嘩をしている男達もいる・・・喧騒、殺伐とした雰囲気。

 ・・・・酒場の壁には、沢山の「私設討伐隊、隊員募集」の張り紙が貼られていた。
 サージュはそれらを見回し、一枚のメンバー募集の張り紙を見つける。

 「私設討伐隊、メンバー募集!名誉と大金をその手に!希望者は水曜日にこの酒場にいるバロッツァまで」

 ナイフで引っ掻いたような拙い字でデカデカとそれだけ書かれたその張り紙に何かを感じたサージュは、その紙に書かれたバロッツァという男を探し、メンバーに加えてもらいたいと依頼する。

 ・・・その男は、酒場の一番奥で、仲間と一緒に大酒を食らって馬鹿笑いしていた。

 ジョッキに並々の強い酒ラーニョをあおっている赤ら顔の酒癖の悪そうな大男、バロッツァは、サージュをジロリと見るなり言う。

 「・・・・オメェ、何歳だ・・・・」

 「○○歳です・・・でも、小さい頃から元正規軍の兵士に剣術を習っていました!」

 「・・・ふん、俺達はガキのお守りじゃねえんだ、他をあたりな!」

 けんもほろろに、まだ幼さを残した少年の申し出を一蹴するバロッツァ。

 「・・・お願いします!僕、自分の力を試したいんです!魔物を退治して国を護りたいんです!」

 「・・・・はぁ?・・・ワッ、ワハハハハッ!おいっ、聞いたか、今の!」

 バロッツァは、一緒に酒を飲んでいた髭面の男や、一癖二癖ありそうな、射手アーチャーと思しき若い男に笑いかける。

 「・・・・おい、バロッツァ、護国の情熱に燃える若人わこうど!・・・いいじゃねえか!うんっ、悪くねぇ・・・丁度この間の遠征で一人られて欠員が出ているんだ、戦力としては期待出来ねぇが、荷物持ちくらいには使えるだろうよ・・・メンバーに加えてやろうぜ!」

 髭面の男は、ニヤリと笑うとバロッツァに目配せする。
 バロッツァは何かを理解したのが、これもニヤリと笑い返す。

 「・・・そ、そうだなぁ・・・お前が推薦するんじゃ断るわけにはいかねぇ、おい小僧、明日の早朝出発だ!・・・で、剣と鎧は?」

 「・・・い、いえ持っていません!」

 それを聞いたバロッツァだけではない、周りにいた男達も一斉に大笑いする。

 「・・・オメェ、一体何しに来たんだ?・・・まあ、仕方ねぇ、戦死したヤツの装備が残っている、どうせ他に売っ払っても幾らにもなりゃしねぇからソイツを使え!」

 「・・・あ、有難うございます!」

 サージュは嬉しそうに答える。

 「おっと勘違いするな、くれてやるんじゃねぇ・・・150だ・・・150グリュネでお前に売ってやるよ!返済は、次のミッションから帰ってきたらお前の取り分から差し引きだ・・・それまで生きていたらの話だがな!ワハハハハッ!」

 ・・・・そうして、○○歳の鍛冶屋の息子サージュは、私設討伐隊プライベート・パーティ「バロッツァとその仲間達」の一員として、魔物退治の冒険に身を投じることになったのだった。


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