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【一】
しおりを挟む・・・昔々、あるところに大きな王国がありました。
王国を治めているのは、マリーという美しい女王様でした。
マリー女王は、三十を少し過ぎたくらいのお歳で、その美貌は他国でも噂になるほどでした。
雪のように白い肌、林檎のような艷やかな頬にパッチリとした大きな目。
腰まである長い金髪をゆったりと編んだ頭の上に輝くプラチナのティアラがとても良く似合っている、高貴な女王様でした。
ムッチリとした大きな胸やお尻が成熟した女性美をたたえている、凛として優しい王国一の美女でもありました。
しかし、三年前に殿下が流行り病で急死されてしまい、女王様は一人ぼっちになってしまいました。
女王様は大変悲しみ、一生再婚はしないと誓いました。
・・・それからと言うもの、優しくて、花のように明るかった女王様は、次第にどこか気難しい、怒りっぽい性格に変わっていったのです。
侍女たちの些細な失敗もきつく叱りつけるので、王宮の中はいつもピリピリとした空気に包まれており、侍女たちや侍従長達も気が休まる暇がありませんでした。
ある日、女王様が王宮の庭園を散歩をしていると、向こうの方から召使いたちが数人でガヤガヤと大きな聲を出しているのが聞こえてきました。
「・・・あの者達は一体何を騒いでいるのです?」
女王様は侍女に訪ねました。
侍女は召使い達の側に走って行って事情を聞き、息を切らせて戻ってきました。
「・・・はい、女王様、王宮のお庭に野良犬が迷い込んで来まして、それで皆でお庭から追い出そうとしているのでございます」
「・・・犬?・・・野良犬なのかしら?」
「・・・はい、どうやらそのようですが、體が大きくて立派な白犬でごさいました!野良犬にしては毛並みがとても良いというので、皆不思議がっておりました」
「・・・そう、その犬が見たくなったわ・・・邪険にせずにこちらへ連れておいでなさい」
元々は心根の優しい女王様は動物がとても好きでした。
王宮の庭に迷い込んできた、その毛並みの良い白犬というのを見たくなったのです。
「・・・女王様、犬を連れてまいりました・・・」
庭師の男や下男達が総出で逃げ回る犬を追いかけ、やっと捕まえたのでしょう。
白犬は、捕まって観念したのか、すっかり大人しくなり庭師の後に従順についてきます。
女王様がその犬を見ると、体格の良い大きな白犬で、侍女の言ったとおり長い毛並みがとても美しく、賢そうな顔をしていました。
「・・・・まあ、大きな犬だこと!オス犬なのね?・・・確かに野良犬にしては毛並みがとても綺麗ね・・・」
女王様が白犬をまじまじと見つめますと、犬は女王様の方に向き直って衛兵が敬礼するように頭を下げたのです。
「・・・まあ、お利口さんな犬ね!それに可愛いわ・・・ちょっと気に入ったわ、そのままお城に置いておきなさい」
女王様の鶴の一声で、白犬はお城にいられることになりました。
それからというもの、白犬は女王様を慕うように、いつも女王様の後ろに従いて歩くようになりました・・・・その姿はまるで下僕のようです。
動物好きの女王様は自分に懐いてくる白犬を可愛らしく思い、白犬を「アミール号」と名付け、次第に王宮内でも彼の好きにさせるようになりました。
アミール号は、女王様を護る騎士にでもなったつもりなのでしょう、片時も女王様の側を離れなくなったのです。
女王様もそんな賢いアミールをとても可愛がり、ついには自分の寝室や浴室でもアミールと過ごすようになりました。
・・・・野良犬だったアミールはすっかり女王様の「ペット」になったのです。
賢いアミールは、朝は侍女が女王様を起こしに来る前に、女王様の頬をペロペロと舐めて優しく起こしてくれます。
女王様が身支度を整え、玉座のある執務室にお出ましになる時間になると女王の証、プラチナに宝石を散りばめた豪華なティアラを咥えて、女王様の元に駆け寄ってくるのでした。
「・・・まあ、アミール!お前は本当に賢いのね、ありがとう!」
女王様は、アミールが王宮に来てからというもの、笑顔も増え、侍女たちにも優しく接するようになりました。
ペットを飼うことで、殿下を失った心の痛手が癒やされていったのでしょうか・・・。
「アミールっ、こっちへおいで・・・」
夜も更けて、女王様が美しいシルクのネグリジェに着替え、天蓋付きの豪華なベッドに上がると、アミールも嬉しそうにベッドに躍り上がり、女王様の太腿に頭を擦り付けてきます。
「うふふっ、アミールったら、くすぐったいわ・・・」
女王様はアミールとじゃれ合うように、ネグリジェの裾を押さえて嬉しそうに笑い声をあげます。
「・・・クウンンッ・・・クウンッ・・・・」
アミールは、女王様が差し出した手のひらを長い舌で舐めて、喜びを體いっぱいに表現します。
「・・・・さあ、アミール、今夜はもう遅いから寝ましょうね・・・続きは明日よ♥」
しかし、女王様とのスキンシップをもっと愉しみたいアミールは、女王様のネグリジェの裾に頭を突っ込んで、太腿を舌でペロペロと舐め始めます。
「ああんっ、アミールったら、本当にきかん坊ねぇ・・・アンッ♥本当に・・・もうヤメテっ♥」
それでも、アミールは女王様の太腿に頭を潜り込ませて、嬉しそうに女王様の白い太腿を舐め続けるのです。
・・・その晩は、少し汗ばむくらいに蒸し暑い夜でした。
アミールは、ジットリと汗に濡れた女王様の身體を綺麗にしてあげているつもりなのかもしれません。
彼の長い舌先が偶然、女王様の太腿の奥・・・汗に光る雪のように白い内股に到達します。
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