女泣村の夜・女王蜂の妖しく揺れる淫ら腰

糺ノ杜 胡瓜堂

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第七話 美しい世話係の少女・菊 ~幸介が戸惑う竜宮城のような歓待~

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 村一番の豪邸、蜂ヶ谷家に寄宿することになった幸介は、案内された自室でしばしの休憩をとる。

 幸介が長旅で強張った足腰を伸ばすように畳に大の字になっていると、菊が幸介のために手水鉢など日用品を抱えて入ってくる。
 その控え目ではあるが美しい身のこなしと優しい笑顔をたたえた横顔に幸介はウットリと魅入る。

 「・・・・小田切さん?」

 「アハハッ、私のことは幸介でいいですよ・・・幸介って呼んでください」

 「・・・は、はいっ・・・それでは、幸介さんっ・・・お食事の準備が出来ましたのでダイニングの方へ・・・」

 幸介がそこだけは洋風の造りの広いダイニングに着くと召使が二人、彼が来るのを待っていた。
 二人そろって幸介にお辞儀をする給仕の召使もやはり二十代の美しい女性であった。

 洋風のテーブルの上には、山菜のお浸し、素朴であるがよい香りのする漬物、所狭しと並ぶ小皿料理に食前酒まである!

 ・・・幸介は、なにか王侯貴族にでもなった気分で、東京にいた頃にも食べたことのないような豪華な食事に舌鼓を打つ。
 山間部の村だけあって、山の幸が豊富な素朴な料理ではあったが、さすがに村の庄屋を務めた家の料理だけあって裏山で捕れたという猪の肉の味噌仕立ての鍋まであるのだ。

 ・・・・こんな豪勢な食事を毎日出されると・・・かえって自分の方が申し訳ない気がするなぁ・・・まあ、今日は自分の到着祝いの特別料理だと思いたいけど・・・それにしてもこのお屋敷には使用人はどのくらいいるんだろう?元庄屋の家柄とは言え凄いな・・・まるで江戸時代のお大名みたいだ・・・


 今日は朝から馬車に乗り尽くしで、ろくな昼飯にもありつけなかった幸介が、若者らしく遠慮なしに豪華な夕食を平らげると、再び菊が姿を現す。

 「・・・あの、小田切さ・・・いっ、いえ幸介さん、一休みされましたらお風呂を・・・湯殿のご用意も出来ておりますので」

 菊の手には手拭いや浴衣などが抱えられている・・・至れり尽くせり!まさに美しい女達にかしづかれる王侯貴族の気分である!

 「あっ、スミマセン・・・菊さん・・・」

 幸介は、菊と共に自分の部屋に戻ると、彼女に案内され屋敷の湯殿に向う。
 湯殿は、屋敷の南側にある離れのようになっている建物で、これも檜造りの素晴らしく豪勢なものだった。
 湯は裏山から温泉を引いているという!

 幸介は菊に案内され、脱衣所で今日一日の汗を吸ったシャツとズボンを脱ぎ捨て、湯船へと向かう。
 ちょっとした温泉宿のような広い湯殿はピカピカに輝き、檜の良い香りがする。

 ・・・ハハッ、役場の官員としてやってきたのに、これじゃどこかの温泉宿に湯治に来た気分だ・・・

 幸介は埃にまみれた体を流し湯船に頬まで浸かって、ボンヤリと考える。
 熱い温泉の湯が、長旅で疲れた体にみるみるうちに浸み渡り、強張った筋肉をほぐしていくのが分かる・・・。

 ・・・こんな夢みたいなことがあっていいんだうろか・・・東京じゃロクな職にありつけずに、安月給の代用教員で糊口をしのいでいたというのになぁ。

 幸介が夢のように思うのも無理はない、21歳の青二才の役場の官員にここまで好待遇をしてくれる村などそうあるものではない。
 しかも、目につくのは女性ばかり・・・もちろんその中には女の色香も枯れた老婆達もいるが、彼の周りにいる女性はみな色白で美しい女性ばかりだ。
この村が女性ばかりの理由・・・役場で自分の案内した西村に聞いても、女中の菊に聞いてもどうもはっきりしたことは判らない。
 
 ・・・・そういや、この村まで馬車を出してくれたあの農夫のおじさんは峠で僕を下した時に「この村には入りたくない」って、そう言っていたな・・・あれはどういう意味だろう?こんな綺麗な女性ばかりの村ならば喜んで足を運びそうなものだけど・・・

 今日一日の事を思い出し、幸介はちょっと頭をひねる。

 ・・・まあ、なにせ今日村に着いたばかりだし・・・おいおい分かってくるだろう・・・

 「・・・幸介さん・・・お背中をお流しします・・・」

 湯船の中でウトウトと半分居眠りをしていた幸介の耳に突然飛び込んでくる女性の声、それは菊の声だった!

 「・・・えっ?あっ?・・・き、菊さんっ?・・・」

 ・・・ガラリ・・・

 湯殿の引き戸が開かれると、そこには薄い湯文字一枚を腰に巻いただけの姿の菊が立っていた。
 抜けるように白い肌と、形のよいお椀型の乳房が幸介の目に飛び込んでくる!
 十八にしては発達した大和撫子らしい安産型の腰回りと男を魅了するくびれた蜂腰!

・・・薄い湯文字から透けて見える股間の黒い陰りが妖しくも美しかった・・・。

 「あっ!・・・き、菊さんっ・・・いいんですよ!せっ、背中なんてっ・・・」

 湯船の中で情けないほどにうろたえる幸介を尻目に、菊はさほど恥ずかしがる気配も見せず、事務的に湯殿に入ってくる。

 ・・・それが女中としての当然の仕事であるとでも言いたげに。




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