女泣村の夜・女王蜂の妖しく揺れる淫ら腰

糺ノ杜 胡瓜堂

文字の大きさ
53 / 55

第五十三話 ランプの炎に妖しく揺らぐ羅刹女の姿 ~女泣村の女王蜂との対峙!~

しおりを挟む
  



 「・・・幸介さん・・・一人だけで今すぐにこの村から逃げて・・・お願い!」

 しかし幸介は大きく首を横に振って力強く言った。

 「そんなことは嫌だ!僕は菊さんと一緒にこの村を出るんだ・・・そして、一緒に東京に行こう、そして夫婦になろう!僕は・・・菊さんと夫婦になりたい!」

 「・・・こ、幸介さん・・・」

 「だって・・・僕は父親になるんだろう?愛する妻と、これから生まれてくる僕達の子供と離れ離れになるくらいなら、ここで呪いで死んだ方がましさ!」

 「・・・し、知っていたの?・・・ああっ、幸介さんっ!」

 幸介がニッコリとほほ笑むと菊の目から涙がこぼれる。

 「菊さん、僕の子供を身籠ってくれて有難う!・・・・まずはここから抜け出すことだよ、待って、すぐに助けてあげるから・・・いまこの錠を開ける道具を探してくるよ!」

 幸介が牢の頑丈な南京錠をこじ開ける為の道具を探すため、引き返そうとした瞬間、不意に後ろから声が響く!


 「・・・まったく馬鹿な男だねぇ!この村で大人しくオス蜂になってりゃ、女は抱き放題の極楽だったというのに・・・」

 洞窟内にこだまするその冷たい声は、蜂ヶ谷家の女当主あるじ、志津だった!

 その後ろには、娘の凛子!・・・そして幸介の縛めを自分で解いたのだろう、この秘密を幸介に白状した女中頭のセツも乱れた着物を羽織って幸介を睨みつけている!
 セツは幸介との激しい交合で失神した後、ほどなくして意識を取り戻し、自分で手足の戒めを解いて主人の志津の元に走ったのだろう。

 ・・・女性を縛るという乱暴な行為に躊躇し、つい縛り加減を緩めてしまった幸介の甘い気持ちが招いたミスであった。

 「・・・ああっ、し、志津さん!凛子さんもっ・・・あっ、セツさんっ・・・」

 「幸介さん・・・貴方には失望したわ、もう少し利口な男だと思ったけど」

 セツの持っているランプの光が風に揺らめき、美しい志津の顔が幸介には一瞬、羅刹女のように見えた。

 「・・・し、志津さんっ!どうして菊さんをこんな目に?いくら女中と言えどもこんな酷い仕打ちは許されない・・・許されるはずがない!」

 幸介は志津の妖しく光る冷たい視線に負けないよう彼女の目を睨み返す!

 「よそ者はこの村の事に首を突っ込むのはおよしなさい・・・貴方はただオス蜂となって、何も考えずに村の女を抱いて「種」を撒いていればそれでよかったのよ、さあ、今なら見なかったことにしてあげるわ、幸介さん・・・だって貴方は優秀で逞しくて、とってもいい男なんですもの!村の女達はみな貴方に抱いてもらうのを心待ちにしているのよ・・・もちろん私もね」

 「そんなことはイヤだ!僕は操り人形なんかじゃない!・・・それに菊さんをこんな目に合わせている貴女達を僕は許せない!一体どうして菊さんをこんな目に?」

 ・・・志津は妖艶な顔に邪悪な笑みを浮かべ、幸介を小馬鹿にしたように口を開く。


 「・・・簡単なことよ・・・菊が孕んだからよ・・・」

 菊が幸介の子を妊娠したことは志津も知っていたのである。

 「それがどうして?・・・・どうして菊さんを監禁する理由になるんだ?」

 「貴方にも一度お話したでしょう?お忘れになった?・・・・この女達だけの「蜂の巣」・・・女泣村では、オス蜂と交尾をして、最初に生まれた女の子がこの蜂ヶ谷家の当主に迎えられ、代々この女達の「巣」を率いてゆく掟なのよ・・・」

 「そ、それじゃあ菊さんのお腹にいる子供が次の蜂ヶ谷の・・・いや、村の「女王蜂」・・・それでいいじゃないか!それが昔からのこの村の掟ならば・・・何も問題はないじゃないか!」

 志津は恐ろし気な目で幸介を睨みつけると隣に立っている凛子をチラリと眺める。

 「オホホホッ、馬鹿な事をお言いでないよ!余所者よそものが!・・・孤児の女中風情ふぜいが産んだ子がこの蜂ヶ谷の当主になるですって?フンッ、そんな馬鹿な事が許せるものですか!村の女王蜂・・・当主の座は私の血筋・・・そう、この凛子が生んだ子が継ぐのよ!」

 ・・・そう、この村では、よそ者の子種を村の女全員に注いでもらい、最初に生まれた女の子が養子の形でこの蜂ヶ谷家の当主となり、村を率いてゆく「女王蜂」となる掟なのだ。
 女ばかりの村ゆえ、赤ん坊自体が貴重なこの特殊な村で自然に形作られた「巣」を維持してゆく上での知恵なのであった。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

危険な残業

詩織
恋愛
いつも残業の多い奈津美。そこにある人が現れいつもの残業でなくなる

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

処理中です...