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第七十一幕「熟女ロザリーナと少年カミーロ」~落ちぶれ年の差カップル~
しおりを挟むこうして、王宮のある首都ラノールを遠く離れ、地方の都市の盛り場で、まるで落ちぶれた娼婦のように路上「パプニング・ショー」を行うハメになった、女王アレクシア・・・・。
当然ドミノマスクで顔は隠すものの、そもそも王宮のある首都と違い、田舎町では実際に女王陛下の御尊顔を仰いだことがある者など、そうそういよう筈がない・・・。
その点からも、衆人環視の中、甚だしく破廉恥な行為を行っている女性が、実は女王陛下だとバレる可能性はグンと低い・・・このことが、アレクシアにある種の安心感を与える。
・・・・最初の公演の舞台「パライソス・ドゥ・エール」で経営者のジャン=ベルジュに正体を見破られ、危険な目にあった女王アレクシアにして見れば、この突拍子もないヴァネッサの提案も魅力的に思えたのだった。
「しかし、アレクシア様・・・・アレクシア様が王宮を長期間離れるとなれば、陛下はどこかにヴァカンスに出かけられるとか、他国で戦闘中の軍の状況を視察に行くとか、もっともらしい口実を設けなければなりません・・・・」
「う~ん、それはそうね・・・・では、私の影武者をヴァカンスにでも行かせようかしらねぇ・・・・」
超大国・ロシュニア王国の女王ともなると、彼女に瓜二つの「影武者」が控えており、戦場の視察など、危険を伴うようなケースの場合、影武者を利用することもあるのだ。
「はい、影武者は立てなければなりません・・・で、問題は、私はそちらの方に随伴しないと不自然ですから、アレクシア様が地方に行かれる際は、アレクシア様をお護りする者が居ないということなのです」
「・・・・それは困るわ・・・何かあったらどうするの?」
「私が懇意にしている秘密警察の高官に事情を話して、極秘裏にアレクシア様の護衛をしてもらう事も考えたのですが・・・・アレクシア様の「呪い」の事を知る者が増えるのも、また別の意味で危険・・・そして管轄が違うので秘密警察も地方での活動は難しいのです・・・」
「・・・・そうね、軍にも秘密警察にもおおっぴらに相談出来る話しではないものね・・・・じゃあ、どうすれば・・・・」
「うふふっ、アレクシア様っ・・・「灯台下暗し」ですわよっ!」
「・・・・えっ?」
「はいっ、アラミス准尉殿がいるではないですか!・・・・こんなに立派で逞しい軍人さんが!」
「・・・・えっ?ぼ、僕ですかあっ??」
ボーッと他人事のように2人の話を聞いていたアラミスが、突然白羽の矢を立てられて狼狽する・・・・突然の重大任務である。
「・・・・あ、アラミスぅ?・・・・な、なんか頼りなくて余計心配なんだけど・・・」
本人を目の前にして、毒舌を吐く女王アレクシア。
「アレクシア様っ!大丈夫ですよっ!アラミスはロシュニア王国陸軍近衛師団准尉なのですよ!一人で立派にアレクシア様をお守りいたします!・・・・ねっ、アラミス准尉っ?」
「・・・えっ、ええと・・・・が、頑張ります・・・・・」
「・・・・なんか不安だけど、仕方ないわね・・・・確かにヴァネッサの言う通り、それしか策は無いようだし、娼婦だろうと乞○だろうと、なんだってなってやるわよっ!じゃあヴァネッサっ、準備をヨロシクねっ!」
・・・・アレクシアは、自棄気味に叫ぶ。
・・・・二人が、首都ラノールから遠く離れた、港町マルトーへと旅立ったのはその二日後であった。
抜けるような青い空が印象的な、活気のある港町である。
「・・・・なに、このニオイっ・・・イヤな所ねっ・・・」
女王アレクシアがドレスの裾で鼻を覆う・・・美しい刺繍やレースのついた高価なドレスなどではない、薄汚れた下層の平民の女房が着るような、ワンピースに簡素な飾り帯の付いた服である。
・・・ヴァネッサがわざわざ用意した、着古した標準的な平民の女性の普段着だ。
「・・・・アレクシア様・・・い、いや、今回は「ロザリーナ」様・・・でしたよね?・・・ここマルトーは港町ですから、水揚げされた魚の匂いでしょう」
これも、粉挽きやに荷役労働者が着るような木綿の質素な服を着たアラミスが答える。
「・・・・魚?・・・宮廷で出る鱈のムースがけはあんなにいい香りよっ!」
「い、いえっ、アレク・・・いや、ロザリーナ様っ、生の魚の匂いはこういうものなのでございますよっ」
「・・・・ふ~んっ・・・それにして、カミーロ?・・・私を呼ぶ時は「様」じゃダメでしょ?年齢は離れているけど「密通」の相手なのよっ!・・・呼び捨じゃなきゃ不自然でしょう?」
・・・・今回の計画では、女王アレクシアは「ロザリーナ」、アラミスは「カミーロ」という偽名を名乗っているのだ。
「・・・・・は、はい・・・・ロザリーナ・・・・様・・・・」
「・・・・だからっ、「様」は余計なのっ!今、私は、アンタと密通して屋敷をおん出されて、一文無しになって路上でセッ〇スショーを見せる、落ちぶれ三十女なんですからねっ!」
・・・・アレクシアが腹立たしげに毒づく・・・彼女は、今回の「役柄」をお気に召さないようだ。
「・・・・も、申し訳ございません、アレク・・・・い、いやロザリーナ・・・さん・・・」
「行くわよっ、カミーロ!宿はとってあるんでしょ?」
「・・・・はいっ、ロザリーナ・・・・さんっ・・・ちょっと狭くて汚宿いですが我慢してください、なんせ僕達は「一文無し」っていう筋書きなんですから・・・・」
今回は「カミーロ」と名乗ることになったアラミスが、予防線を張る。
超大国ロシュニア王国の女王アレクシアにとって、庶民の利用する・・・それも、場末の安宿などに泊まるのは初めての経験であろう。
・・・アラミスには、宿に着く前から、アレクシアの不満げな顔が想像出来てしまうのだった・・・。
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