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一章
はじめての探索(1)
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さぁ、この世界ではじめての資源採取に出かけよう。
カノンの拠点を、先立って出る。
タラップを降りる足裏から返る、硬質な感触。
カンカンカンと、革靴が金属を叩く音。
樹々の間を通う風が、頬を撫でていく。
こんな何気ない一瞬ですら、フルダイブ型VRゲームの魅力を十全に味わえる。
「やっぱり、きもちいい、ね」
俺に続けて降りてきたカノンの髪を、同じ風が揺らす。
さらさらだなぁ。
「ああ、風が――気持ちいいな」
この風は、セドナ南の山岳地帯からの颪だろうか。
この辺りの空気より、ほんの少しだけ冷たい気がする。
空は高く、地球のそれのように青く、澄んでいる。
穏やかな日差し。空に輝く白い恒星。
それは「太陽」という名ではないだろうが、それに等しい輝きでこの世界を照らしてくれる。
現実は盛夏だが、こちらは、四季で言えば春の陽気といったところだろうか?
どのように巡るのかはわからないが、穏やかで心地よい。
もうこの世界に来るだけで、軽いバカンスのようなものだ。
避暑地、セドナ。悪くない響きだ。
「あっ、フーガくん、あれ、いい、の?」
カノンが見ているのは、カノンの拠点にお邪魔する前に、俺がその辺の地面に突き刺しておいた棒だ。
「んっ? ――ああ。風はあるけど、結構しっかり土を盛ったしたぶん大丈夫。
いまんとこ曇る気配もないし、もう少し長く待った方が精度上がりそう」
「あれから、2時間くらい、経ってる?」
「ああ、帰ってきたときに一緒に確認しようか」
……気のせいじゃなければ、たぶん、こちらの方が遅いな。
俺のここまでの感覚とも一致するし、前作でもそうだった。
*────
ちなみに、この『ワンダリング・ワンダラーズ!!』の世界内の時間の流れと、リアルの時間の流れは、完全に一致している。
俺がダイブアウトして、外で一時間過ごしたとして、ダイブインしたならば、こちらでも一時間経過している。
ゲームの中だけ、体感時間を加速させたり減速させたりはしていない。
というか、今の現実のVR技術でそれはできない。
いつか、そんな技術ができるのかな?
もし実現したのなら、人はみな、フルダイブシステムの中で仕事をしたり、ゲームをしたりするようになるのだろうな。
1日48時間もあながち夢ではないのかもしれない。
*────
「――で、どっちに行く?」
指をぱちぱちと合わせ、仮想端末を起動。
そのままこの拠点周辺のマップ、すなわちセドナの地形座標を表示させる。
うん、テレポバグ直後に適当に設定しただけだが、この起動アクションは楽でいいな。
仮想端末を展開するのに、いちいち起動しろと口に出すのは存外面倒くさい。
ウィンドウの拡大もピンチイン・ピンチアウトで行うから、一連の動作に無駄がでないしな。
人から見たら突然OKサインをしているように見えて不審かもしれんが。
展開したマップをカノンの方に向けながら、俺もそちらに回り込んでマップを確認する。
俺の現在地は赤い光点に重なっており、カノンの脱出ポッドが俺の拠点として無事に登録されていることを表している。
そして、変化は他にも。
(……おっ)
2時間ほど前に見た時よりも、マップ内に映る青色の光点が増えている。
以前は20ほどだったそれは、今では30ほどに増えている。
続々と、このセドナに新しいプレイヤーたちが降り立ってきているようだ。
それらは、互いに密接し合わないような距離でまばらに散っている。
だが、これだけの数のプレイヤーがいて、それぞれが方々に動き回るのだ。
このセドナがどれほどの広さなのかいまいち掴めないが、遠からずほかのプレイヤーにも出会うことになるだろう。
「まずはやっぱり、この周囲の散策?
南の山の方は、寒い、かも?」
「なるほど、たしかに」
そのためにもこれから作ろうとしている防寒具は役に立つだろう。
やはり衣類の作成はクレバーな選択肢だ。カノンは今日も正しい。
「どのくらいの高さなのか、よくわからない、けど?
わたしの、気にしすぎ、かも」
「山頂アタックにどの程度時間がかかるかも分からんしな。
目視できる場所があったら、ちょっと高さ測ってみるか」
道具がなくとも目視さえできればものの高さは測ることができる。
かつて自然哲学者タレスはピラミッドの高さを三角測量で測ったというが、……そこまでする必要もないだろう。
正確な値を出したいわけでもない。概算値で十分だ。
そして概算値でいいのなら、いろいろやりようはあるのだ。
俺たちの技術はすべて、先人からの贈り物。
非力で矮小な人間としてこの世界でサバイバるためにも、しっかり活用していきたいところだ。
それにせっかくの、この世界ではじめて俺に生えてくれた【測量】技能だもんな。
これもなにかの縁。
この技能、明らかに使用頻度が少なそうだし、ちょっと意識して育ててみようか。
「ま、それは努力目標でいいか。
いまはとにかく周囲の軽い探索と、今後一番身近な素材になりそうな、そのあたりの木材やら植物の採取でいこう。
ここから一番近いプレイヤーの拠点の光点、ようはお隣さんの拠点までを半径として……
とりあえずはこの拠点の周囲を円状にぐるっとひとまわり散策する感じでどうかな」
「うん、いい、よっ。お隣さんに、挨拶も、する?」
「マナーとしてはかなり丁寧な部類だな。カノンはしておきたい?」
「知らない人だと、偶然あったとき、ちょっと気まずい、かも」
「なるほどな。じゃあ、一度ご挨拶に伺っておこうか。
最悪、どんなプレイヤーなのか知っておくだけでも心配が晴れるし。
それに、こちらから挨拶に行って悪いことはない。
ここらに落ちてきたプレイヤーはみんな、しばらくは運命共同体みたいなもんだしな」
このゲームは競い合うゲームではない。
特にソロプレイにこだわりがないのならば、他のプレイヤーとも交流したほうがいいだろう。
「助けあうの、いる? 必須?」
「んー、別にそこまでではないと思う。
ソロでやりたい人もいるだろうし、
他のプレイヤーと一切不干渉でサバイバりたい人もいるだろうしな。
カノンがそうしたほうが良いと思った時だけすればいいんじゃないか」
「わかっ、た、とおもう。
今のうちに、あいさつ、しておこっか」
近所づきあいに前向きなのはいいことだと思う。
あいにく引っ越し蕎麦はないが、挨拶しておくだけでも印象は大きく変わるはずだ。
「じゃあまずは、最寄りのプレイヤーさんの拠点がある、北西方面に向かおうか。
……しかしこのマップ、いまいち縮尺が分からんな。
川からここまで何分くらいかかったっけ?」
「15分くらい、だった?」
「多少歩きやすい道のりを選んだしそんくらいか。
となると歩きの速度は適当に見積もって、割って、
ここと川の距離が1キロだとすると――」
……ひっろ。
最初から開示されている、このセドナの最大縮小地図、想像以上に広いぞこれ。
卑近なたとえで言えば、一つの「市」が余裕で入りそうなくらいはある。
このマップ内に今後100人以上のプレイヤーが落ちて来ることになっても普通に問題なさそうだな。
200人くらいでも行けるかもしれん。
互いに出逢うことはあっても、その生活圏が接触することはまずあるまい。
なんせここから北西に位置する直近のお隣さんの拠点までも、歩いて30分で足りるかどうか怪しそうだからな。
……となると、南の山岳地帯までも、垂直に南下すれば30分ほどでつけるというわけだな。
着陸地点選択時に「着陸座標の衛星写真」という形である程度の情報が与えられている北側と違って、山岳方面は地図の外、すなわち「未開域」だ。
正直に言おう、めっちゃ行きたい。
冒険心がこらえきれなくなったら、カノンには悪いがアタックさせてもらおう。
「――うん、これは今回の探索だけでさっき言った円内を網羅するのは無理そうだな。
西からぐるっと回って、もしも出逢えたらお隣さんに挨拶して、
そのまま通り過ぎて北側から帰ってくる感じで行こう。
それでも1時間じゃ足りないかもしれん。」
「寝るのに、ちょうどいいくらい、かも?」
カノンの言葉に俺も頷く。
今日はこの探索で終えるくらいがちょうどいいだろう。
「西って、こっち側、だよね?」
――じゃ、行こっか、フーガくん」
「おう、行こうか、カノン」
手始めに向かうは西。
樹林を散策しつつ、もっとも近いプレイヤーの拠点へ。
さぁ、この世界で最初に出逢う第一村人はどんな人かな?
最初に出逢ったのはカノンだろうって?
カノンは身内みたいなもんだからノーカンだよ。
*────
しばし進んで。
「えと、木材とか、拾うのは、帰りの方が、いいよね?」
「そうだな、行きは散策重点、観光重点にしよう」
まばらな樹林の合間を抜けながら、カノンの問いに言葉を返す。
それぞれの樹々の間隔は3mから5mほど空いている。
どこまでも見通せるわけではないが、左右上下に視界は十分に確保できている。
なにかしらの鳥獣が襲ってきても、不意を打たれることはないだろう。
カノンの拠点の周囲に大量に生えるこの樹は、みたところ針葉樹に分類できるものだ。
見上げるほどに巨大な樹木。胴回りは一抱えほど。
灰褐色の樹皮に、高さ2mほどのあたりから空へと向かって突き出される枝葉。
枝から延びる夥しい数の細かな若緑色の葉。
一つ一つの葉は長さ4cm、幅5mm、厚さ1mmくらい。
なんだろう。
現実でも絶妙に見たことがあるようなないような――。
「トウヒ、みたい、かも?」
「そ、そーなのかー」
さっぱりわがんにゃい。
カノンがなんとはなしに話している以上、恐らく常識に区分される知識なのだろうが――自身の浅学に身をつまされる思いだ。
『犬』でふだん俺が気にしていたのは、その木で俺が死ぬかどうかだけだ。
いや、トウヒはリアル知識の話だからそれは言い訳にはならないか……。
カノンは近くに落ちていた乾いた枝を手に取ると、軽く振ってみている。
俺もグローブを外して樹皮や枝葉に触れてみる。
触れることで炎症が起きたりするなら早めに知っておいたほうが良いだろう。
あとで分析装置にかければいいのかもしれないが、実体験に勝る知恵もない。
「ん、すっごく軽い。ますます、トウヒ、っぽい、かも」
「軽いとなると、家具に使えそうか」
「うまく、大きくて、乾いてるの、あれば。
いっそのこと、一本、貰っちゃうのも、あり?」
「となると、斧が欲しいか」
欲しいものがさっそく増えたな。
石製でも行けるかな?
ノコギリとかい入れる楔でもあれば無理やり倒せんこともないが、どちらにせよ刃がいるな。
「この葉も、あとで、回収する?」
「おう。目に映るものすべて資源だと思っていけ」
最初のうちは特にな。
それよりいいものがあとで手に入るとしても、このあたりで手に入る資源は入手の容易さという点で末永くお世話になることだろう。
*────
さらに進んで。
「おっ、よさげな空き地発見」
「わっ、なんか、素敵なかんじ?」
俺とカノンの前に姿を現したのは、樹林のなかにぽっかりと開いた、陽だまりの空き地。
奥行き10mほどのその空間の中央には、直径3mほどの大きな石が鎮座している。
明らかに自然石で、高さは1mほど。ちょっと頑張れば腰掛けることもできそうだ。
カノンはその石をペタペタ触りながら不思議そうに観察している。
「なんだろこれ、白と黒で、まだら?まばら?
こまかい、水晶が、いっぱい、みたい」
「たぶん花崗岩じゃないか?公園の石垣とかでよく見るやつ」
「名前は聞いたこと、ある」
石は植物や生き物と違って、特定の配列からなる無機物。
この世界でも現実と同じ種類の岩石ができることもあるだろう。
鉱物は植物に比べて俺を殺すことが少ないから好きだよ。
「たぶんこの石、南の山から来た奴だよな?」
「噴火、とか?」
「それもありえないわけではないけど――たとえば昔、大雨があって、
南の山からここまで流されてきたとか、そんな感じじゃないか。
で、このあたりの土壌にはそのときの細かい石とか砂粒が混じってて、
それがたまたまこのあたりの樹々が生えるのに適してなくて、
ここが空き地になった……とか?」
「わっ、なんか、壮大、だね?」
「人に歴史あり、ならぬ、岩に歴史あり、でどうだ」
それっぽいことを言ってみたが、先ほどの推測にはなんの根拠もない。
ただの妄想である。南の山岳地帯に行ってみれば、より確からしい推測もできるかもしれない。
「なんか、こういう、自然の中にできた、よくわからない場所って、いいね」
「おっ、カノンさん、そういうのわかる派ですか」
「うん、不思議な、かんじ」
カノンもアウトドアの楽しみを分かってくれることが嬉しくて、つい声が弾んでしまう。
山のなかとかで、ふいに不思議な場所とかを見つけると楽しい。
「なんでこんなところにこんなものが?」とか。
「なんでここだけこんなことに?」みたいな。
それは決して目の前の景色のみから単純に推し量れるようなことではないのかもしれないが、そこに物語を見出すのが楽しい。
妄想癖だとか、前後即因果の誤謬と言われてしまえばそれまでだけど。
でもきっとそうやって、昔の人は伝説や名勝を作ってきたんじゃないかな。
天狗岩とか雨乞い石とか、各地にあるよな。
「こんだけでかいのが中央にあるとなると、この空き地がプレイヤーの脱出ポッドの着陸地点として選ばれることもないだろうしな。
隠れた名所になるかもしれん。」
「ひみつの、ばしょ、的な?」
「うむ。あとここで弁当でも食ったら気持ちよさそう」
「ん、ふふっ。ちょっと、楽しそう、かも」
脱出ポッドの中でもそもそ食べるよりかは、この小さな陽だまりで食事をとったほうが美味しいだろう。
せっかくのフルダイブ、せっかくの味覚だ。
環境も整えて、存分に味わわせてもらおう。
サンドイッチとか作りたい。
「――そろそろ、次、いこっか」
「おう、目的を完全に忘れてた」
特になにかを拾うこともなく、この小さな陽だまりを後にする。
でもこのゲームの楽しみ方は、たぶんこれでいいと思うんだよな。
この世界を楽しむ。
それがこのゲームの基本であり、人によってはすべてでもあるだろう。
*────
もう少し進んで。
「たべものー、たべものはないかー」
「見つかるイメージ、あんまり湧かない、かも」
思った以上にセドナがのんびりしたところなので、俺の気も自然と緩みだす。
我ながら、テレポバグで必死になっていたときが嘘みたいだ。
あの地獄めいた死の森と、こののどかな樹林が同じ惑星状にあるなんて信じられない。
これほど穏やかな地形環境なら、食べられるものだって取れてもおかしくはない。
「樹林帯と言えば……うーん、茸とか?
そんな露骨に食材の可否判定できるものじゃなくても、
たとえば木の実とか、その辺の草とか、食えるように加工できるかもしれんけど」
「サバイバル、だね?」
「流石に野苺とか期待するのはちょっと贅沢かなぁ……」
ないとは言い切れない。
いや間違いなく野苺ではないが、ベリー系のなにかがあればとても嬉しい。
甘酸っぱい系のフルーツがとても好きなので。
ゲームで異世界のベリーとか出てくるとめっちゃ食いたくなるんだよな。
だがこの世界でベリーが見つかれば実際に食える……ッ!
「ベリー、ベリーはないかー」
「なんか、具体的に、なってる?」
「おっと、つい心の声が。カノンはなんか食べたいのある?」
「ん……と、えと……。……たまご、とか?」
「Oh……」
そ、それは鶏の、ということでよろしいのですかな?
この世界に鶏はいるかなーどうかなー。
「山に行ったら、鳥、探して、みる?」
カノンさん!?
いや、考えてみれば鳥卵は鶏卵に限らないよな。
アヒルとかウズラとかガチョウとかあるもんな。
そういやダチョウの卵ってめっちゃでかいらしいな。
もちろん食ったことはないけれど。
「……よし、そのときは俺も食うぞ、卵」
「うん、楽しみ、だね?」
願わくば、ゲテモノが見つかりませんように。
そんな他愛もない話を続けているうちに、いつのまにか俺たちは、直近のプレイヤーの拠点近くまでやってきた。
さて、お隣さんにご挨拶と行こうか。
カノンの拠点を、先立って出る。
タラップを降りる足裏から返る、硬質な感触。
カンカンカンと、革靴が金属を叩く音。
樹々の間を通う風が、頬を撫でていく。
こんな何気ない一瞬ですら、フルダイブ型VRゲームの魅力を十全に味わえる。
「やっぱり、きもちいい、ね」
俺に続けて降りてきたカノンの髪を、同じ風が揺らす。
さらさらだなぁ。
「ああ、風が――気持ちいいな」
この風は、セドナ南の山岳地帯からの颪だろうか。
この辺りの空気より、ほんの少しだけ冷たい気がする。
空は高く、地球のそれのように青く、澄んでいる。
穏やかな日差し。空に輝く白い恒星。
それは「太陽」という名ではないだろうが、それに等しい輝きでこの世界を照らしてくれる。
現実は盛夏だが、こちらは、四季で言えば春の陽気といったところだろうか?
どのように巡るのかはわからないが、穏やかで心地よい。
もうこの世界に来るだけで、軽いバカンスのようなものだ。
避暑地、セドナ。悪くない響きだ。
「あっ、フーガくん、あれ、いい、の?」
カノンが見ているのは、カノンの拠点にお邪魔する前に、俺がその辺の地面に突き刺しておいた棒だ。
「んっ? ――ああ。風はあるけど、結構しっかり土を盛ったしたぶん大丈夫。
いまんとこ曇る気配もないし、もう少し長く待った方が精度上がりそう」
「あれから、2時間くらい、経ってる?」
「ああ、帰ってきたときに一緒に確認しようか」
……気のせいじゃなければ、たぶん、こちらの方が遅いな。
俺のここまでの感覚とも一致するし、前作でもそうだった。
*────
ちなみに、この『ワンダリング・ワンダラーズ!!』の世界内の時間の流れと、リアルの時間の流れは、完全に一致している。
俺がダイブアウトして、外で一時間過ごしたとして、ダイブインしたならば、こちらでも一時間経過している。
ゲームの中だけ、体感時間を加速させたり減速させたりはしていない。
というか、今の現実のVR技術でそれはできない。
いつか、そんな技術ができるのかな?
もし実現したのなら、人はみな、フルダイブシステムの中で仕事をしたり、ゲームをしたりするようになるのだろうな。
1日48時間もあながち夢ではないのかもしれない。
*────
「――で、どっちに行く?」
指をぱちぱちと合わせ、仮想端末を起動。
そのままこの拠点周辺のマップ、すなわちセドナの地形座標を表示させる。
うん、テレポバグ直後に適当に設定しただけだが、この起動アクションは楽でいいな。
仮想端末を展開するのに、いちいち起動しろと口に出すのは存外面倒くさい。
ウィンドウの拡大もピンチイン・ピンチアウトで行うから、一連の動作に無駄がでないしな。
人から見たら突然OKサインをしているように見えて不審かもしれんが。
展開したマップをカノンの方に向けながら、俺もそちらに回り込んでマップを確認する。
俺の現在地は赤い光点に重なっており、カノンの脱出ポッドが俺の拠点として無事に登録されていることを表している。
そして、変化は他にも。
(……おっ)
2時間ほど前に見た時よりも、マップ内に映る青色の光点が増えている。
以前は20ほどだったそれは、今では30ほどに増えている。
続々と、このセドナに新しいプレイヤーたちが降り立ってきているようだ。
それらは、互いに密接し合わないような距離でまばらに散っている。
だが、これだけの数のプレイヤーがいて、それぞれが方々に動き回るのだ。
このセドナがどれほどの広さなのかいまいち掴めないが、遠からずほかのプレイヤーにも出会うことになるだろう。
「まずはやっぱり、この周囲の散策?
南の山の方は、寒い、かも?」
「なるほど、たしかに」
そのためにもこれから作ろうとしている防寒具は役に立つだろう。
やはり衣類の作成はクレバーな選択肢だ。カノンは今日も正しい。
「どのくらいの高さなのか、よくわからない、けど?
わたしの、気にしすぎ、かも」
「山頂アタックにどの程度時間がかかるかも分からんしな。
目視できる場所があったら、ちょっと高さ測ってみるか」
道具がなくとも目視さえできればものの高さは測ることができる。
かつて自然哲学者タレスはピラミッドの高さを三角測量で測ったというが、……そこまでする必要もないだろう。
正確な値を出したいわけでもない。概算値で十分だ。
そして概算値でいいのなら、いろいろやりようはあるのだ。
俺たちの技術はすべて、先人からの贈り物。
非力で矮小な人間としてこの世界でサバイバるためにも、しっかり活用していきたいところだ。
それにせっかくの、この世界ではじめて俺に生えてくれた【測量】技能だもんな。
これもなにかの縁。
この技能、明らかに使用頻度が少なそうだし、ちょっと意識して育ててみようか。
「ま、それは努力目標でいいか。
いまはとにかく周囲の軽い探索と、今後一番身近な素材になりそうな、そのあたりの木材やら植物の採取でいこう。
ここから一番近いプレイヤーの拠点の光点、ようはお隣さんの拠点までを半径として……
とりあえずはこの拠点の周囲を円状にぐるっとひとまわり散策する感じでどうかな」
「うん、いい、よっ。お隣さんに、挨拶も、する?」
「マナーとしてはかなり丁寧な部類だな。カノンはしておきたい?」
「知らない人だと、偶然あったとき、ちょっと気まずい、かも」
「なるほどな。じゃあ、一度ご挨拶に伺っておこうか。
最悪、どんなプレイヤーなのか知っておくだけでも心配が晴れるし。
それに、こちらから挨拶に行って悪いことはない。
ここらに落ちてきたプレイヤーはみんな、しばらくは運命共同体みたいなもんだしな」
このゲームは競い合うゲームではない。
特にソロプレイにこだわりがないのならば、他のプレイヤーとも交流したほうがいいだろう。
「助けあうの、いる? 必須?」
「んー、別にそこまでではないと思う。
ソロでやりたい人もいるだろうし、
他のプレイヤーと一切不干渉でサバイバりたい人もいるだろうしな。
カノンがそうしたほうが良いと思った時だけすればいいんじゃないか」
「わかっ、た、とおもう。
今のうちに、あいさつ、しておこっか」
近所づきあいに前向きなのはいいことだと思う。
あいにく引っ越し蕎麦はないが、挨拶しておくだけでも印象は大きく変わるはずだ。
「じゃあまずは、最寄りのプレイヤーさんの拠点がある、北西方面に向かおうか。
……しかしこのマップ、いまいち縮尺が分からんな。
川からここまで何分くらいかかったっけ?」
「15分くらい、だった?」
「多少歩きやすい道のりを選んだしそんくらいか。
となると歩きの速度は適当に見積もって、割って、
ここと川の距離が1キロだとすると――」
……ひっろ。
最初から開示されている、このセドナの最大縮小地図、想像以上に広いぞこれ。
卑近なたとえで言えば、一つの「市」が余裕で入りそうなくらいはある。
このマップ内に今後100人以上のプレイヤーが落ちて来ることになっても普通に問題なさそうだな。
200人くらいでも行けるかもしれん。
互いに出逢うことはあっても、その生活圏が接触することはまずあるまい。
なんせここから北西に位置する直近のお隣さんの拠点までも、歩いて30分で足りるかどうか怪しそうだからな。
……となると、南の山岳地帯までも、垂直に南下すれば30分ほどでつけるというわけだな。
着陸地点選択時に「着陸座標の衛星写真」という形である程度の情報が与えられている北側と違って、山岳方面は地図の外、すなわち「未開域」だ。
正直に言おう、めっちゃ行きたい。
冒険心がこらえきれなくなったら、カノンには悪いがアタックさせてもらおう。
「――うん、これは今回の探索だけでさっき言った円内を網羅するのは無理そうだな。
西からぐるっと回って、もしも出逢えたらお隣さんに挨拶して、
そのまま通り過ぎて北側から帰ってくる感じで行こう。
それでも1時間じゃ足りないかもしれん。」
「寝るのに、ちょうどいいくらい、かも?」
カノンの言葉に俺も頷く。
今日はこの探索で終えるくらいがちょうどいいだろう。
「西って、こっち側、だよね?」
――じゃ、行こっか、フーガくん」
「おう、行こうか、カノン」
手始めに向かうは西。
樹林を散策しつつ、もっとも近いプレイヤーの拠点へ。
さぁ、この世界で最初に出逢う第一村人はどんな人かな?
最初に出逢ったのはカノンだろうって?
カノンは身内みたいなもんだからノーカンだよ。
*────
しばし進んで。
「えと、木材とか、拾うのは、帰りの方が、いいよね?」
「そうだな、行きは散策重点、観光重点にしよう」
まばらな樹林の合間を抜けながら、カノンの問いに言葉を返す。
それぞれの樹々の間隔は3mから5mほど空いている。
どこまでも見通せるわけではないが、左右上下に視界は十分に確保できている。
なにかしらの鳥獣が襲ってきても、不意を打たれることはないだろう。
カノンの拠点の周囲に大量に生えるこの樹は、みたところ針葉樹に分類できるものだ。
見上げるほどに巨大な樹木。胴回りは一抱えほど。
灰褐色の樹皮に、高さ2mほどのあたりから空へと向かって突き出される枝葉。
枝から延びる夥しい数の細かな若緑色の葉。
一つ一つの葉は長さ4cm、幅5mm、厚さ1mmくらい。
なんだろう。
現実でも絶妙に見たことがあるようなないような――。
「トウヒ、みたい、かも?」
「そ、そーなのかー」
さっぱりわがんにゃい。
カノンがなんとはなしに話している以上、恐らく常識に区分される知識なのだろうが――自身の浅学に身をつまされる思いだ。
『犬』でふだん俺が気にしていたのは、その木で俺が死ぬかどうかだけだ。
いや、トウヒはリアル知識の話だからそれは言い訳にはならないか……。
カノンは近くに落ちていた乾いた枝を手に取ると、軽く振ってみている。
俺もグローブを外して樹皮や枝葉に触れてみる。
触れることで炎症が起きたりするなら早めに知っておいたほうが良いだろう。
あとで分析装置にかければいいのかもしれないが、実体験に勝る知恵もない。
「ん、すっごく軽い。ますます、トウヒ、っぽい、かも」
「軽いとなると、家具に使えそうか」
「うまく、大きくて、乾いてるの、あれば。
いっそのこと、一本、貰っちゃうのも、あり?」
「となると、斧が欲しいか」
欲しいものがさっそく増えたな。
石製でも行けるかな?
ノコギリとかい入れる楔でもあれば無理やり倒せんこともないが、どちらにせよ刃がいるな。
「この葉も、あとで、回収する?」
「おう。目に映るものすべて資源だと思っていけ」
最初のうちは特にな。
それよりいいものがあとで手に入るとしても、このあたりで手に入る資源は入手の容易さという点で末永くお世話になることだろう。
*────
さらに進んで。
「おっ、よさげな空き地発見」
「わっ、なんか、素敵なかんじ?」
俺とカノンの前に姿を現したのは、樹林のなかにぽっかりと開いた、陽だまりの空き地。
奥行き10mほどのその空間の中央には、直径3mほどの大きな石が鎮座している。
明らかに自然石で、高さは1mほど。ちょっと頑張れば腰掛けることもできそうだ。
カノンはその石をペタペタ触りながら不思議そうに観察している。
「なんだろこれ、白と黒で、まだら?まばら?
こまかい、水晶が、いっぱい、みたい」
「たぶん花崗岩じゃないか?公園の石垣とかでよく見るやつ」
「名前は聞いたこと、ある」
石は植物や生き物と違って、特定の配列からなる無機物。
この世界でも現実と同じ種類の岩石ができることもあるだろう。
鉱物は植物に比べて俺を殺すことが少ないから好きだよ。
「たぶんこの石、南の山から来た奴だよな?」
「噴火、とか?」
「それもありえないわけではないけど――たとえば昔、大雨があって、
南の山からここまで流されてきたとか、そんな感じじゃないか。
で、このあたりの土壌にはそのときの細かい石とか砂粒が混じってて、
それがたまたまこのあたりの樹々が生えるのに適してなくて、
ここが空き地になった……とか?」
「わっ、なんか、壮大、だね?」
「人に歴史あり、ならぬ、岩に歴史あり、でどうだ」
それっぽいことを言ってみたが、先ほどの推測にはなんの根拠もない。
ただの妄想である。南の山岳地帯に行ってみれば、より確からしい推測もできるかもしれない。
「なんか、こういう、自然の中にできた、よくわからない場所って、いいね」
「おっ、カノンさん、そういうのわかる派ですか」
「うん、不思議な、かんじ」
カノンもアウトドアの楽しみを分かってくれることが嬉しくて、つい声が弾んでしまう。
山のなかとかで、ふいに不思議な場所とかを見つけると楽しい。
「なんでこんなところにこんなものが?」とか。
「なんでここだけこんなことに?」みたいな。
それは決して目の前の景色のみから単純に推し量れるようなことではないのかもしれないが、そこに物語を見出すのが楽しい。
妄想癖だとか、前後即因果の誤謬と言われてしまえばそれまでだけど。
でもきっとそうやって、昔の人は伝説や名勝を作ってきたんじゃないかな。
天狗岩とか雨乞い石とか、各地にあるよな。
「こんだけでかいのが中央にあるとなると、この空き地がプレイヤーの脱出ポッドの着陸地点として選ばれることもないだろうしな。
隠れた名所になるかもしれん。」
「ひみつの、ばしょ、的な?」
「うむ。あとここで弁当でも食ったら気持ちよさそう」
「ん、ふふっ。ちょっと、楽しそう、かも」
脱出ポッドの中でもそもそ食べるよりかは、この小さな陽だまりで食事をとったほうが美味しいだろう。
せっかくのフルダイブ、せっかくの味覚だ。
環境も整えて、存分に味わわせてもらおう。
サンドイッチとか作りたい。
「――そろそろ、次、いこっか」
「おう、目的を完全に忘れてた」
特になにかを拾うこともなく、この小さな陽だまりを後にする。
でもこのゲームの楽しみ方は、たぶんこれでいいと思うんだよな。
この世界を楽しむ。
それがこのゲームの基本であり、人によってはすべてでもあるだろう。
*────
もう少し進んで。
「たべものー、たべものはないかー」
「見つかるイメージ、あんまり湧かない、かも」
思った以上にセドナがのんびりしたところなので、俺の気も自然と緩みだす。
我ながら、テレポバグで必死になっていたときが嘘みたいだ。
あの地獄めいた死の森と、こののどかな樹林が同じ惑星状にあるなんて信じられない。
これほど穏やかな地形環境なら、食べられるものだって取れてもおかしくはない。
「樹林帯と言えば……うーん、茸とか?
そんな露骨に食材の可否判定できるものじゃなくても、
たとえば木の実とか、その辺の草とか、食えるように加工できるかもしれんけど」
「サバイバル、だね?」
「流石に野苺とか期待するのはちょっと贅沢かなぁ……」
ないとは言い切れない。
いや間違いなく野苺ではないが、ベリー系のなにかがあればとても嬉しい。
甘酸っぱい系のフルーツがとても好きなので。
ゲームで異世界のベリーとか出てくるとめっちゃ食いたくなるんだよな。
だがこの世界でベリーが見つかれば実際に食える……ッ!
「ベリー、ベリーはないかー」
「なんか、具体的に、なってる?」
「おっと、つい心の声が。カノンはなんか食べたいのある?」
「ん……と、えと……。……たまご、とか?」
「Oh……」
そ、それは鶏の、ということでよろしいのですかな?
この世界に鶏はいるかなーどうかなー。
「山に行ったら、鳥、探して、みる?」
カノンさん!?
いや、考えてみれば鳥卵は鶏卵に限らないよな。
アヒルとかウズラとかガチョウとかあるもんな。
そういやダチョウの卵ってめっちゃでかいらしいな。
もちろん食ったことはないけれど。
「……よし、そのときは俺も食うぞ、卵」
「うん、楽しみ、だね?」
願わくば、ゲテモノが見つかりませんように。
そんな他愛もない話を続けているうちに、いつのまにか俺たちは、直近のプレイヤーの拠点近くまでやってきた。
さて、お隣さんにご挨拶と行こうか。
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