ワンダリング・ワンダラーズ!!

ツキセ

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一章

永い一日

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 朝靄のかかる樹林帯を抜け、ようやく脱出ポッドに戻ってくる。
 お互い、まずは身なりを整えようということで、いまはカノンに洗浄室を使って貰っている。
 昨日ずぶ濡れになったままだったし、それに……足裏も切っている。
 ならば、洗浄室のあの機能が役に立つだろう。

 カノンを待つ間に、新規取得技能の確認タイムと行こう。
 生還した後のお楽しみの時間だ。
 ……でも、今回はちょっとビビっている。

『新しい技能を取得しました。(7)』

 多いわ。いったいなにがあったというんだ。
 この拠点を出た後にやったことと言えば、まっすぐカノンのとこまで向かっただけだ。
 いったいなにがそんなに生えるというのか。

 というわけで確認してみよう。
 これまでもそうだったが、新規の技能は取得した順に表示される。
 ゆえにその取得順で、いったいどの経験でどの技能が生えたのか、だいたい察することができる。
 ――――――――――
 【 視覚強化 】
 【 脚力強化 】 new!!
 【 触覚強化 】 new!!
 【 膂力強化 】 new!!
 【 嗅覚強化 】 new!!
 【 耐毒 】   new!!
 【 極限 】   new!!
 【 有毒 】   new!!
 ――――――――――
 察することができる、はずなんだが――
 あれ、8つある? 取得メッセージでは7つじゃなかったっけ。

 いちばん上の視覚強化が、はじめて見るはずだけどnewがついていない。
 ……あっ、そうか。
 【視覚強化】は、昨日いったん拠点に戻ってきた時点で生えてたのか。
 カノンが戻ってきてることに気づいて慌ててたから、取得したのに気づかなかったんだ。
 となると、視覚強化はあの亀裂の中の暗闇探索で取得したと見ていいだろう。
 ちなみに視覚強化は……あれだ。視力がよくなるぞ。
 くらやみ特化じゃないけど、夜目とのシナジーはある。
 夜目と視覚強化は、斧術と握力強化みたいな関係性だ。

 で、ここから先は、真夜中にもっかいダイブインして以降の経験だな。
 今回はいろいろフルパワーだったから、能力強化系がいろいろ生えたんだな。
 順を追ってみていこう。

 【脚力強化】は……うーん、岩壁まで全力で走ったから?
 疾走とちがって、取得するためにはある程度の時間と距離を走る必要があるのかもしれない。

 【触覚強化】は……ノーコメント。いろいろ感じ取りやすくなるよ。
 聴覚強化の触覚版ということで概ね問題ない。

 【膂力強化】は……カノンを背負って運んだからかな。運搬経験と同時に入ったんだろう。

 【嗅覚強化】は……こちらもノーコメント。いろいろ嗅ぎ分けやすくなるよ。
 聴覚強化の嗅覚版ということで概ね問題ない。

 【耐毒】と……それに【有毒】も無事に取得したようだ。
 耐毒は毒に対してある程度の耐性を持つ技能だが、有毒は自分自身が毒になる。
 有毒が取れたあたり、やっぱりあの場所はアカン場所だったらしい。
 あれがセドナ・ブルーだとしたら、胆礬の毒だしな。
 自然毒の中でもトップクラスにヤバいやつだ。あの場所に水気が少なくて助かった。

 【有毒】は、前作でカノンが愛用していた技能でもある。
 この技能はいろいろ特殊で、この技能特有の面白い特性をいくつか持っている。
 たとえば、直近に取り込んだ毒素の種類によって、ある程度毒の性質をコントロールできる。
 また、直近に取り込んだ毒に対しては、自動的に耐性が発揮される。
 この技能を持っている存在から血清を作り出すこともできる。
 毒を以て毒を制す。この技能を持ったものは、まさに生きている毒だ。
 半面、このゲームは死ぬといろいろリセットされるため、扱いは非常に難しい。
 自分が即死するような毒はそもそも摂取できないし、死なないように定期的に致死毒を摂取し続けるという頭のおかしいプレイスタイルじゃないとうまく活きてこないし、死んでしまえば毒は抜けてしまうし、毒の供給路を確立させないと技能を成長させることもできない。
 そもそも技能の取得すら難しい。そういうレア技能だ。
 生還しないと技能を取得できないというのがボトルネックになっている。
 耐毒なら、けっこう簡単に手に入るんだけどね。毛虫に刺されるだけでいい。

 で……最後の方で、ちょっと珍しい技能を取得している。
 【極限】。有毒と同じく、発展・複合系技能じゃない中ではそこそこ強力な技能だ。
 人間は極限状態になると、脳内物質をどばどぱだして集中できるようになる。
 この技能の効果は、その状態の持続時間が延びるというものだ。
 ようは、極限状態を維持し続けやすくなる。
 俺のプレイスタイルにはぴったりだから、前作でもそこそこ使っていた。
 死に戻りしたら成長しないから、テレポバグではほとんど育たなかったけど。

 ……でも、なんでこの技能、このタイミングで生えてるんだろう。
 毒耐性のあとってことは、セドナ・ブルーの下で寝たあとだ。
 いったい俺のなにが極限状態だったって証拠だよ。
 ちがうし? べつに余裕あったし?
 脳内物質どぱどぱ垂れ流してたけど耐えましたし?
 お前の力に頼らずとも俺は極限状態を維持できたぞ。
 今作でもたぶんそのうちお世話になります。

 で、あとは成長した技能だが。
 ――――――――――――――――――
 【聴覚強化】 ―― Lv1 → Lv2
 【危機感知】 ―― Lv1 → Lv2
 【運搬】   ―― Lv3 → Lv4
 【登攀】   ―― Lv1 → Lv2
 【疾走】   ―― Lv1 → Lv2
 ――――――――――――――――――
 聴覚強化はあの亀裂を抜けるのに必須。
 危機感知は緊急時限定の全感覚ブーストみたいなもんだし、急ぎだった今回はほぼ必須。
 運搬はカノンを運ぶ必要がありそうだったので推奨。
 登攀はあのセドナ・ブルーの横穴を降りるのに推奨。
 最後の一枠を夜目と疾走で迷って疾走つけてきたのは我ながら英断だった。
 けっこうギリギリだったしな。間に合わなかったらなんの意味もない。

 ……うん、ぜんぶ成長したし、それぞれ役に立ってくれたようでなによりだ。
 技能の選別眼はなんとか衰えていないらしい。
 運搬は……昨日の時点で2から3に上がって、今回のカノン運びでまた上がったか。
 こうしてさくさく上がってくれると成長が実感できて嬉しい。

 あとは、実績だが――こっちはまぁ、カノンと駄弁りながら確認すればいいだろう。
 そろそろ、カノンの傷も癒える頃だろうしな。


 *────


 洗浄室の持つ機能の中で、まだ紹介していなかったもの。
 既にお察しのことだろうが、それは治療機能だ。
 洗浄とは別のボタンを押すことで、患部の消毒・治療・治癒促進を行ってくれる。
 部位欠損、臓器不全ははもちろん、病気や毒、蓄積した疲労も快復させることができる。
 怪我の度合いによって、掛かる時間は異なるのだが……じつにゲーム的な速さで治療してくれる。
 その治療に、資源や技術開発は必要ない。
 ゲーム開始直後から、この機能は洗浄室に備わっている。

 なぜ、このような機能があるのか。
 それは、ここまでにもちらほらと見えていた、このゲームの理念に基づく。
 このゲームは、プレイヤーに合理的な死を呈示したくないのだ。

 もしも治療自体にコストや準備が必要になるならば、プレイヤーは怪我をするたびに死に戻りを選ぶのがよいということになるだろう。
 なにせ死ぬこと自体は自殺ボタンを押せばすぐなのだ。
 それにコストがかからず、デスペナルティも存在しない以上、そちらの行為の方がより正しく、そうしないのは縛りプレイになってしまう。
 ゆえに「拠点に帰ってくれば死ぬ必要はない」ようにしておく必要があったのだ……と思う。

 生還しないと技能が新規取得できないのも、死を合理的なものにしたくないからだ。
 生還しさえすれば、技能も生えるし成長するし怪我も直せるし安全地帯だし。
 拠点というのは、プレイヤーの心と体のすべてを癒す、歩いて帰りたい場所であるべきなのだ。

 ……まぁ、いわゆるゲーム的な都合だ。少し甘めに見ておこう。


 *────


「おまたせっ、フーガくんっ」
「ん、足の裏の傷は治ったか?」
「うん、しゅわしゅわして、すぐに塞がっちゃった」
「それはよかった。……部位欠損が治るときとか、どんな感覚なんだろうな……」

 ちょっと興味がある。自分から望んでやるつもりはないけど。

「……。」
「フーガ、くん?」
「……カノン。服を着ろ、服を」
「あ、そうだね」

 とことこと、インナースーツのまま衣類スタンドの傍まで歩いていくカノン。
 昨夜からずっと、その状態ではあったのだが。
 焦ってたり闇のなかだったり背負ってたりで、直視はしていなかった。
 身体のラインを浮かび上がらせるインナースーツは、目に毒だ。
 ……俺がそれを言う資格はまったくないので、言わないけど。

 衣類スタンドに掛けられていた、カノンの普段着一式。
 紺色のチュニックに、青いズボン。黒いケープ、革のブーツ。
 カノンがそれらを身につけ始めたことで、ようやく、俺も目のやり場が――

「……っ♪」
「お、俺も洗浄室使わせてもらうぞっ」
「うんっ」

 目の前で着替えられると、なんかこう、気分がですね?


 *────


「あー、生き返ったわー」

 洗浄室から出て、椅子になだれ込む。
 ああ、からだは清潔だし、快適な室内だし。
 がっしりとした大きな椅子に沈みこめば、数日のサバイバルキャンプから帰宅して、あつあつのシャワーを浴びて、洗いたてのシーツに寝転がったときのような、安堵と心地よさ。
 ……じつに、ハードな、夜、だった……。

「おつかれさま、フーガくん。……眠くない?」
「交感神経がぎらぎらでなぁ……。
 ねむいような、ねむくないような……」

 たぶん、気を抜くと一気に沈むだろう。
 このあと現実に戻ったら、食事を摂って、仮眠を取ろう。
 特に脳を酷使しすぎている。糖分取らないと。

 気だるい手つきで、仮想端末を弄る。
 最後に実績でも見ておこうか。
 取得した実績は、三つだったかな。

 ――――――――――――――――――――――――――――――――
 【ニクトフィリア】
 取得条件:夜目取得後、夜目を装備スロットに装着していない状態で、
     一定光量以下の環境に連続6時間以上滞在する。
 ――――――――――――――――――――――――――――――――

 ちょっと面白い感じのが来たな。
 夜目の便利さに慣れると、夜は夜目をつけて行動するものってのが常識になる。
 その常識の裏をついたような実績だ。
 たまには夜目なしで夜を歩いてみてはどうかという、公式からのメッセージが込められているかのようだ。

 ――――――――――――――――――――――――――――
 【常闇の住人】
 取得条件:一定光量以下の環境に連続6時間以上滞在する。
 ――――――――――――――――――――――――――――

 一見するとニクトフィリアの取得条件が単純に緩くなったように見えるが……
 「一定光量」ってのが明記されていないのがミソだな。
 たぶんこちらは、ほんとになにも見えないような暗闇の中にいないとだめなんだろう。
 洞窟のなかとか、深い地の底とか。
 あの洞窟の苔程度の発光量ならセーフであるようだ。

 で、あと1つは――

 ――――――――――――――――――――――――――――
 【三千世界の烏を殺し】
 取得条件:???
 特殊機能:[設定]から任意のプレイヤーを登録することで、
     当該プレイヤーに対するハラスメントブロックを
     無効化することができる。       [設定]
 ――――――――――――――――――――――――――――

 ……。

 …………。

 ………………。

「フーガ、くん」
「……なん、でしょうか。カノン、さん」
「フーガくん、登録したから」
「……はい」
「いっぱい、さわって、ね?」
「ぅぐふっ」


 *────


 この実績については、いろいろ思うところがある。
 なんで実績という隠された場所にこんなものを置いてあるのかとか。
 なんで取得条件が秘されているのかとか。
 そういうゲームなのこれ、とか。
 現実でやれ、とか。
 でも、ゲームの中で出逢うことがあるなら、ゲームの中で睦び合うことがあってもいいだろう。
 キャラクターのことは気に入っても、中の人は気に入らないかもしれない。
 ……ゲームの中でしか、そういうことができない人もいる。

 ついでに、ここであらためて明言しておこう。
 このゲームのアバターには、男女ともに生殖器はついていない。
 このゲームには排泄がないので、その辺まるっと存在しない。
 だから、インナースーツのみでも人目を気にする必要がなかったんですね。


 *────


 あんだけ俺に触れてきたカノンがハラスメントブロックで遮られていなかった以上、いまさらこれを設定する意味はあるのか、果たして疑問だが。
 一応、俺の方でもカノンのことを登録しておこう。
 もしもなにかの拍子に発動してしまったら、彼女はそれを俺の拒絶の意志と受け取るかもしれないから。
 そしてそうなった場合、それを俺が物証的に否定するのは難しい。
 そう考えると、いまの俺にはありがたい機能だなこれ。
 いまの俺がまさに必要としている機能だ。

 ……なんだか外堀から埋められていくような気分になるのは気のせいだろう。


 *────


「さーて、んじゃ、そろそろ現実に戻ろうかぁ」

 昨夜から今まで、いろいろあり過ぎた。
 脳を休ませてやろう。超過勤務で壊れられても困る。
 俺は俺のよき雇用主でありたい。

「……う、ん……あっ、拠点にメッセージ、来てる。二件」
「おっと、マジか。いつだ?」
「……どっちも、昨日の夕方、みたい。……ごめん、わたし、きづかなくて――」
「いやいや、コールじゃないなら緊急じゃないだろうし。
 そもそも俺も気づく機会めっちゃあったし」

 そもそも昨日の夜なら、俺も3時間はこの脱出ポッドにいたわけだしな。
 カノンの方に意識を裂きすぎてまったく気づかなかったけど。

「誰からだ、りんねるか?」
「マキノさんと、モンターナさん」
「りんねるめ……」

 あの人、データ送ってくれるって言ったの本気で忘れてるんじゃなかろうか。
 こっちから催促するのも躊躇われるし、相変わらず手強い挙動をしてくるお人だ。

「マキノさんからは、……きょーじゅのこと、ありがとう、って」
「どういたしまして、暇なときにまたお話でも、って送っとくか」
「んっ。きょーじゅと一緒に、ピクニックとか、いいかも」
「空間の知能指数がやばいことになりそうだなぁ」

 それ、もうフィールドワーク型の特別講義では?
 参加費とっていいんじゃない?

「モンターナは?」
「えっとね。……見てもらった方が、いい、かも」
「おん?」

 カノンの端末を覗き込む。
 そこに書かれていた、モンターナからのメッセージは。


『ごきげんよう、フーガ、カノン。
 ワンダラーとしての君たちの力を借りたい。
 明日、木曜日の夜は空いているかな?
 もしよければ、一緒に冒険に行こう』


 どうやら。

 昨夜から続く、俺たちの永い一日は、
 まだ、終わらないらしい。
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