鳴かぬなら

しき

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春。クラスにも馴染んできてやっと落ち着いた時期。俺は地獄の宣告を受ける。
宮村祐希みやむらゆうき殿、貴殿は学内選考によりホトトギスに相応しいと判断されたので任命することをここに記す」
という紙が、学園内の掲示板にデカデカと張り出されていたからだ。これがもし漫画やアニメならガーンという音と共に俺が白目を向いて真っ白な灰になっている所だろう。
学園のこの制度のことは特殊なこともあって知らなくは無かったがなんで俺?
いや、おかしいだろ。ホトトギスってあれだろ?可愛い顔したチョー華奢な奴がなるやつだろ?もっと他にいただろ!隣のクラスの森山乱もりやまらんとか!





「ゆぅ~~きぃいいいいい!!!」
うわ、なんかイノシシみたいな勢いでこっち来る奴いるんだけど...
「おめでとおおおおおおおおおお!!!」
「うざ、うるさ、めでたくない」
勢いそのままに抱き着いてきた康太を真顔で剥がす。
「おぉうこわ。いやぁ~今日はお赤飯だなぁ」
なんでこいつは嬉しそうなんだ?嫌味か?いじってんのか?女扱いされるなんてたまったもんじゃねぇぞまじで。
何も言わずに睨み続ける俺にさすがにひるんだ康太はまたなんかほざき始めた。
「あ、いやぁ~、でもほら、祐希が選ばれるのなんて必然みたいなもんじゃん!入学式の時から綺麗なやつが外から入ってきたって話題だったの知らないの?」
は、知らない。というか、「綺麗なやつ」じゃ自分のことなんて思わないだろ普通。ってかあれ俺のことだったのかよ。違うやつのことだと思ってたわ。
困惑しながら首を振る俺に康太は喋り続ける。
「ホトトギスってさ、多分祐希は女扱いとかヤダ~って思ってるんだろうけど、悪いことばかりじゃないし、むしろいい事づくめだって知ってる?」
「知らん。いいわけがないだろ」
「いやほら、ホトトギスの生徒は学食無料とかさ、」
ピクッ
「学費半額免除とか、」
ピクッピクッ
「〇〇大学の〇〇学部の指定校推薦貰えるとか」
「ふーーー。俺、やるわ。」
あやべ、今までに無いくらいでかい声出た。
「......ウン、ガンバッテ」ニッコリ

皆様お気づきだろうか、康太くんいい面しか言ってない...
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