地球の天使、ルミエールと行く、三百年後の未来

Taka123M

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第2章: 天使ルミエールとの出会い

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タクミが、海と完全に同化した瞬間、一筋のまばゆい光が差し込んだ。一つの小さな点となっていた彼の意識は、その閃光に貫かれた後、再び、輪郭を取り戻した。甘い夢の世界から突然、叩き起こされた時の衝撃だった。タクミは不快感をあらわにする。

「きみは誰だ?」タクミは辺りを見回しながら問いかけた。

「どうして私のことがわかるの?」

タクミの周りに漂う光の粒が、微かに揺れ動いた。目の前の光の中から、次第に形を成す人影が現れた。

「ここが量子コヒーレンスの海なら、すべての現象は意識体が引き起こす…偶然なんてない。誰かのしわざだよ。」タクミは冷静に答えた。

その瞬間、光の粒が集まり、女性の姿をした存在が浮かび上がった。彼女は薄い衣を纏い、背中にはかすかに羽のようなものが見える。

「さすがタクミ博士!話が早くて助かるわ。私は天使ルミエール。」彼女は優雅に微笑んだ。

「天使…よくわからないけど、ボクは博士じゃない。ボクの論文は認められなかった。」

ルミエールは軽く肩をすくめ、空中に浮かぶ光のスクリーンを指さした。そのスクリーンに、タクミの論文とともに、未来の地球の映像が映し出される。

「未来の地球では、あなたの『SMAI』が世界を変えたわ。いい意味でも、悪い意味でも。」


「未来の地球?話がまったく見えない…ボクの理論は誰にも相手にされてない。それがどうして、未来の地球を変えるんだ?」

「博士が混乱するのも無理ないわ。まだ死んだ直後だし…とりあえず、その経緯をお見せしましょう」ルミエールは空中に指を動かしながらスクリーンを操作し、未来のデータを次々と表示した。「あなたが死んだ直後、二つの研究室があなたの「意識の再構成」理論を発展させていくの。一つは、あなたが所属していた東都大学のキクチ研究室。もう一つは、西都大学のミカミ研究室。」

「キクチ研がボクの「SMAI」研究を引き継いだ?そんなはずはない!彼らは、ボクの理論に見向きもしてなかった…第一、もう一つの、ミカミ研究室なんて聞いたこともないよ。」

「でも、三上翔太、という名は知ってますね?あなたの中学時代からの親友で、西都大学で物理情報学部の講師をしていたはずです」

「三上翔太?…ミカミくんか!じゃ、彼がボクの研究を引き継いだっていうの?」タクミは驚いて声を上げた。

「ミカミさんは、遺族から、あなたが使っていたパソコンとあなたの研究データを譲り受けたわ。それを見て、あなたの理論の素晴らしさに感動し、あなたの意思を引き継いだ。物理系の彼は、必要な数学を一から学ばなければならなかったけど、そうしてまで、あなたの理論を発展させた。そして、わずか三年で、「SMAI」を完成させた。彼が発表した「SMAI」は、世界から注目され、ミカミさんは一躍、時の人になったのよ。」

「ミカミくんが!」タクミの中に嬉しさがこみ上げる。タクミにとって、ミカミだけが信頼できる唯一の友だった。涙が出そうになる。「でも、キクチ研究室まで、なんで「SMAI」を開発することになったの?」

「ミカミさんは、この「SMAI」はすべて、タクミ博士の作った理論によると、ずっと言い続けた。そうなると、世間はキクチ研究室にいた頃のあなたに注目するでしょう?で、キクチ研究室は、手のひらを返して、あなたの研究を褒め称えた。そして、ミカミさんに追従して、「SMAI」の開発を行うようになったの。」

「…キクチ先生がしそうなことだ」タクミは、眼鏡の奥の、あの狐のような細い目を思い出した。

「納得した?」

「一応。でも、死んだ今となっては、どうでもいいよ。ボクには関係ない。」

「関係なくない!あなたの「SMAI」のせいで、三百年後の地球が今大変なことになっているのよ!」ルミエールが語気を強める。

「三百年後の地球?…余計関係ないよ。家族も知り合いもいないし。」タクミは肩をすくめ、再び光の粒を見つめた。
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