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17.振動と鼓動の震え
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第十七番 変イ長調 Allegretteo
無音の世界だ。自宅のピアノの前にもう一時間も座ったまま何も出来ないでいる。
ピアノの音の聴こえない僕は頭の中で音を探し続けた。
「聴こえてこい。聴こえてくれピアノの音よ。ずっと一緒にやってきたじゃないか」
そうピアノに語りかける。それでもハンマーアクションがカタカタと虚しく鳴る音だけが聞こえるだけだ。打鍵音だけが聴こえるピアノの前でどれくらい時が過ぎ去ったのだろう。僕はいつの間にか眠りについてしまったようだ。
*
木々の合間から木漏れ日が差し込んでくる。
「もう少しで頂上だぞ。そうしたらお昼ご飯だ」
小学校の先生の声が隊列の先頭から聞こえてくる。
もうくたくただ。何だよこの階段ばかりの山道。他の皆はどんどん僕の前を登りはじめている。もう頂上に着いた生徒もいるようだ。
「ピアノ君は足が遅いなー」
意地悪な石井は余裕の表情でわざと先に登らず僕にちょっかいを出してくる。かと思ったらカモシカのようなスピードで僕を置き去りにしていった。
僕は息も絶え絶えに歩いている太めの山田とほぼ同時に山頂に辿り着いた。
海抜241.3mの小さな山だけど、それでも三浦半島最高峰。
「これから30分間昼食時間にする。食べ終わったら自由行動だが絶対勝手に下山するんじゃないぞ」
頂上でお弁当の時間か。お腹は空いてはいるけれど、まだ歩いている時間の方がましだったかな。
そう僕には友達がいない。ピアノばかり弾いているからだ。
レジャーシートを敷けそうな場所を探す。
そこに、同じく一人でお弁当を広げようとしている女の子と目があった。
今日は他所の学校も遠足にきているようだ。僕は諦めて他の場所を探そうとするがもう場所がない。
「いいかー休憩は30分だからなー」
先生の確認の声が聞こえる。時間もないので僕はこの場所にレジャーシートを敷くことにした。
もう一度女の子の方をみると、目があった。女の子はえへへ、と笑みを浮かべる。一応断っておこう。
「ここいいかな?」
「えっうんどうぞ」
どうぞどうぞと手をふってくる。
お互い無言でお弁当を食べ始める。なんだか落ち着かないな。時折こちらを見てきているのが分かって、それが気になってお弁当の味がちっともはいってこない。
「お前ひとりなのかよ?」
見ての通りのことだけど沈黙に耐えかねて、それしか言う言葉がなかった。
「うん、今日は翔ちゃん風邪ひいちゃったらしくって私一人なの」
翔ちゃんというのは友達のことなのだろう。
「そうか。それは残念だったな」
「あなたも今日はお友達お休み?」
「いや僕には友達はいない」
そう答えると
「なんで?」
面倒くさいことを聞いてきやがるな。
「僕は毎日ピアノの練習があるんだ。だから放課後に誰かと遊ぶことなんてないからな」
僕はいつでも正直に答えている。クラスメイトからの誘いもずっとこうして断ってきた。
「楽器を弾くんだ?」
少女の顔がぱっと明るくなった。
「私と同じだね」
「私チェロが好きなの。チェロのことばかりしか知らないから皆私のことつまんないって言うの。だから話し相手になってくれるの翔ちゃんだけ」
少女は少しだけ困った顔をしながらそう話してきた。
「そうか」
なんだか僕と同じだなと思った。
「でもね、チェロ楽しいよ。あなたはピアノ楽しくないの?」
「嫌いなら続けてはいない」
僕は愛想のない返事をする。
「いつか一緒に演奏できるといいね」
女の子はそんな僕の態度は気にならなかったのか、えへへと笑いながら僕の答えを待たずにそう話かけてきた。
*
僕は目が覚めた。
『いつか一緒に演奏できるといいね』
あの時の女の子は美海だったのか?
約束かどうかもわからない約束だったかもしれない。それでも僕と出会ったことが運命ならば、それが僕がピアノを弾く理由でも構わない。
僕はそっと指を一本だけ鍵盤に落としてみた。
音を感じたい。そう願って。
ポーン
ピアノのハンマーについたフェルトがピアノの弦を叩く。
今度は指を連打する。
ポーン。ポーン
次は三連打だ。
ポポポーン
次は両手で和音を抑える。
ウォン
ラウドペダルを踏みながら音を開放する。
ウォオオオォーン
和音が部屋の中をやまびこのように木霊する。
数ケ月ぶりに聴く僕のピアノの音色だ。
情けない、涙が頬を伝う。
ベートヴェン ソナタ32番
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。ドイツの作曲家。ピアノソナタ32番は夏休みが始まってからずっと譜読みだけをしてきた曲だ。この曲はベートヴェン最後のピアノソナタ。この曲が作曲された頃、ベートヴェンはもう耳はまったく聴こえなくなってしまっていたと言われている。だから特別な感情を持って譜読に取り組み始めた。美海と出会って音楽を取り戻したくて、心が折れそうだったけれど譜読みだけでも続けることが出来た。何回も頭の中で鳴らした音色が今、僕の耳から聴こえてくる。
2楽章から構成されるこの曲は、1楽章こそベートヴェンらしい武骨で荒々しいフレーズがちりばめられているけれど、2楽章に現れる長い長いトリル。これでもかと息が詰まるような緊張に張り巡らされたトリルが連続するフレーズ。それはまるでベートヴェンの心の震えのようにも感じる。ピアノをより振動をさせることでそして運命の受け入れ、慈愛の心ももって作曲に取り組んだような。
ベートヴェンは指揮棒を口に咥えてピアノの振動を歯から頭蓋骨へと骨伝導で音を聴いていたのではないかともいわれている。音の聴こえない鍵盤に触れたからこそ僕にもピアノの振動をより敏感に感じることができるようになった。ベートヴェンの音楽への執念、そんな感情が洪水のように溢れ出るピアノソナタ。
音楽が生まれる時、作曲家にだって感情があったから書けたはずなんだと思う。そう解釈してみたい。そんなことを僕は今まで考えることなんてなかった。楽譜の先にある作曲家の感情。それを汲み取り表現するのが演奏家なのではないかと。
ようやく僕は、僕の誤まりに気付けたんだ。
そして作品に自分の感情を重ねることが、楽器を奏でることの正解であるのか答えはだせないけれど、今の僕をこの曲に込めてみたい。
五線紙から、音符から、音が繋がって、やがて音楽が生まれる。
僕はこんなにもピアノが好きだったのだと。
無音の世界だ。自宅のピアノの前にもう一時間も座ったまま何も出来ないでいる。
ピアノの音の聴こえない僕は頭の中で音を探し続けた。
「聴こえてこい。聴こえてくれピアノの音よ。ずっと一緒にやってきたじゃないか」
そうピアノに語りかける。それでもハンマーアクションがカタカタと虚しく鳴る音だけが聞こえるだけだ。打鍵音だけが聴こえるピアノの前でどれくらい時が過ぎ去ったのだろう。僕はいつの間にか眠りについてしまったようだ。
*
木々の合間から木漏れ日が差し込んでくる。
「もう少しで頂上だぞ。そうしたらお昼ご飯だ」
小学校の先生の声が隊列の先頭から聞こえてくる。
もうくたくただ。何だよこの階段ばかりの山道。他の皆はどんどん僕の前を登りはじめている。もう頂上に着いた生徒もいるようだ。
「ピアノ君は足が遅いなー」
意地悪な石井は余裕の表情でわざと先に登らず僕にちょっかいを出してくる。かと思ったらカモシカのようなスピードで僕を置き去りにしていった。
僕は息も絶え絶えに歩いている太めの山田とほぼ同時に山頂に辿り着いた。
海抜241.3mの小さな山だけど、それでも三浦半島最高峰。
「これから30分間昼食時間にする。食べ終わったら自由行動だが絶対勝手に下山するんじゃないぞ」
頂上でお弁当の時間か。お腹は空いてはいるけれど、まだ歩いている時間の方がましだったかな。
そう僕には友達がいない。ピアノばかり弾いているからだ。
レジャーシートを敷けそうな場所を探す。
そこに、同じく一人でお弁当を広げようとしている女の子と目があった。
今日は他所の学校も遠足にきているようだ。僕は諦めて他の場所を探そうとするがもう場所がない。
「いいかー休憩は30分だからなー」
先生の確認の声が聞こえる。時間もないので僕はこの場所にレジャーシートを敷くことにした。
もう一度女の子の方をみると、目があった。女の子はえへへ、と笑みを浮かべる。一応断っておこう。
「ここいいかな?」
「えっうんどうぞ」
どうぞどうぞと手をふってくる。
お互い無言でお弁当を食べ始める。なんだか落ち着かないな。時折こちらを見てきているのが分かって、それが気になってお弁当の味がちっともはいってこない。
「お前ひとりなのかよ?」
見ての通りのことだけど沈黙に耐えかねて、それしか言う言葉がなかった。
「うん、今日は翔ちゃん風邪ひいちゃったらしくって私一人なの」
翔ちゃんというのは友達のことなのだろう。
「そうか。それは残念だったな」
「あなたも今日はお友達お休み?」
「いや僕には友達はいない」
そう答えると
「なんで?」
面倒くさいことを聞いてきやがるな。
「僕は毎日ピアノの練習があるんだ。だから放課後に誰かと遊ぶことなんてないからな」
僕はいつでも正直に答えている。クラスメイトからの誘いもずっとこうして断ってきた。
「楽器を弾くんだ?」
少女の顔がぱっと明るくなった。
「私と同じだね」
「私チェロが好きなの。チェロのことばかりしか知らないから皆私のことつまんないって言うの。だから話し相手になってくれるの翔ちゃんだけ」
少女は少しだけ困った顔をしながらそう話してきた。
「そうか」
なんだか僕と同じだなと思った。
「でもね、チェロ楽しいよ。あなたはピアノ楽しくないの?」
「嫌いなら続けてはいない」
僕は愛想のない返事をする。
「いつか一緒に演奏できるといいね」
女の子はそんな僕の態度は気にならなかったのか、えへへと笑いながら僕の答えを待たずにそう話かけてきた。
*
僕は目が覚めた。
『いつか一緒に演奏できるといいね』
あの時の女の子は美海だったのか?
約束かどうかもわからない約束だったかもしれない。それでも僕と出会ったことが運命ならば、それが僕がピアノを弾く理由でも構わない。
僕はそっと指を一本だけ鍵盤に落としてみた。
音を感じたい。そう願って。
ポーン
ピアノのハンマーについたフェルトがピアノの弦を叩く。
今度は指を連打する。
ポーン。ポーン
次は三連打だ。
ポポポーン
次は両手で和音を抑える。
ウォン
ラウドペダルを踏みながら音を開放する。
ウォオオオォーン
和音が部屋の中をやまびこのように木霊する。
数ケ月ぶりに聴く僕のピアノの音色だ。
情けない、涙が頬を伝う。
ベートヴェン ソナタ32番
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。ドイツの作曲家。ピアノソナタ32番は夏休みが始まってからずっと譜読みだけをしてきた曲だ。この曲はベートヴェン最後のピアノソナタ。この曲が作曲された頃、ベートヴェンはもう耳はまったく聴こえなくなってしまっていたと言われている。だから特別な感情を持って譜読に取り組み始めた。美海と出会って音楽を取り戻したくて、心が折れそうだったけれど譜読みだけでも続けることが出来た。何回も頭の中で鳴らした音色が今、僕の耳から聴こえてくる。
2楽章から構成されるこの曲は、1楽章こそベートヴェンらしい武骨で荒々しいフレーズがちりばめられているけれど、2楽章に現れる長い長いトリル。これでもかと息が詰まるような緊張に張り巡らされたトリルが連続するフレーズ。それはまるでベートヴェンの心の震えのようにも感じる。ピアノをより振動をさせることでそして運命の受け入れ、慈愛の心ももって作曲に取り組んだような。
ベートヴェンは指揮棒を口に咥えてピアノの振動を歯から頭蓋骨へと骨伝導で音を聴いていたのではないかともいわれている。音の聴こえない鍵盤に触れたからこそ僕にもピアノの振動をより敏感に感じることができるようになった。ベートヴェンの音楽への執念、そんな感情が洪水のように溢れ出るピアノソナタ。
音楽が生まれる時、作曲家にだって感情があったから書けたはずなんだと思う。そう解釈してみたい。そんなことを僕は今まで考えることなんてなかった。楽譜の先にある作曲家の感情。それを汲み取り表現するのが演奏家なのではないかと。
ようやく僕は、僕の誤まりに気付けたんだ。
そして作品に自分の感情を重ねることが、楽器を奏でることの正解であるのか答えはだせないけれど、今の僕をこの曲に込めてみたい。
五線紙から、音符から、音が繋がって、やがて音楽が生まれる。
僕はこんなにもピアノが好きだったのだと。
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