7 / 55
本編
学校内紛勃発
しおりを挟む
Aクラスと接触し、一週間経った頃、学校に異変が起こる。それは、一クラス二クラスのレベルではなく、学校全体を巻き込んだ事件が起こる。
俺はいつも通りに登校し、Fクラスの教室に入ると、なんだかざわついていた。
「なんかあったのか?」
俺は気になったので、汗衫に事情を聞く。
「あ、ああ。零か。実はな…今朝、BクラスがAクラスに宣戦布告したらしいんだ」
事情はこうだ。
まず、Bクラス、Cクラス、Eクラスは元々協力関係にあった。目的はAクラスへの昇格。つまり、まれにみる、クラス単位での昇格、降格を狙っていたのだ。だが、今年のAクラスは珍しい程に素晴らしい人材が揃っており、舞原千歳や西園寺を始めとするAクラスは他のクラスとは格の違いを見せつけていた。そんな中、Bクラスは着々と昇格の準備を進め、それが完了したという事だった。今、Aクラスと対立しているのは、Bクラス、Cクラス、Eクラスは勿論、DクラスもBクラスの方へ付いた。そして、このFクラスにもBクラス側の勧誘を受けていた。
「零はどうするべきだと思う。俺だけでは正確な判断はできそうもない。だから、お前の意見も聞いておきたい」
「俺のこと、無能力者って罵倒してたのにな」
「それは戦闘に関してだ。個個の考えに能力は関係ないだろ」
「はいはい」
だが、汗衫が悩むのにも頷ける。今の学校の状況を盤面に見立てれば、Aクラスは圧倒的に不利だ。言わばAクラス包囲網とでも言うのか。そんな中で全線でただ一クラス、俺達Fクラスが立ち止まっている最中だ。もし、俺たちFクラスがBクラス側で介入すれば、Aクラス包囲網は完成し、Aクラスは劣勢になる。どう考えてもBクラス側につくのが得策。だが、俺は、
「Aクラス側につくべきだ」
「え?」
声が少し大きかったのか、周りのクラスメイトも反応する。
「何考えてんだよ。どう考えてもBクラス側につく以外ありえねえだろ。Aクラスの味方するなんて馬鹿すぎる」
その言葉に、周りも頷く。だが、俺の考えは変わらない。
「今回はAクラスの味方をするべきだ」
「ふざけるな!もういい。無能力者は話にならん。汗衫、お前が判断してくれ。俺達はお前についていくつもりだ」
クラスメイトの視線が一気に汗衫へと集まる。やれやれ、本当に無能力者っていうもんは肩身が狭いねえ。そして、汗衫はその判断を口にする。
「俺は、零に賛成だ。Aクラス側につく」
「か、汗衫。本当にいいのか?」
「ついてきてくれるんじゃないのか?」
「あ、ああ。勿論。お前がそういうなら」
こうして、Fクラスの事件の介入の仕方が決定した。
朝のホームルームが終わり、俺は汗衫にちょっとした疑問を投げかける。
「汗衫。何故、俺の意見に賛成した?俺は理由もメリットも何も言ってないが…」
汗衫は俺の言葉を聞き、真剣な眼差しでそれに答えた。
「確かに、お前の考えには訳の分からない事はあるが、俺ではまだ判断できていなかったから、お前の考えに賛成したんだ」
「いいのか。そんなんでクラスの方針を決めて」
今回の介入の結果でFクラスの立場や今後の行動にも影響は出てくる。それほど重要な事項だ。
「ああ、こんな時に顔色一つ変えずにいつものようにただ淡々と行動するお前に従った方が得策だと思ったんだよ。何か文句あるか?」
「ない。俺はただ気になったことを口にしただけだ」
そう言って、俺は汗衫の元を離れる。
まさか、汗衫が俺に賛成してくれる日が来るとは…。あいつの中で何かが変わり始めているということだろうか。
ただ今回は、俺も人肌脱がないといけないみたいだ。まさか、舞原が言っていた本気を出さざるを得ない状況も考えられる。A、Fクラス対それ以外か。この戦い、そう言うなれば、
学校内紛
俺はいつも通りに登校し、Fクラスの教室に入ると、なんだかざわついていた。
「なんかあったのか?」
俺は気になったので、汗衫に事情を聞く。
「あ、ああ。零か。実はな…今朝、BクラスがAクラスに宣戦布告したらしいんだ」
事情はこうだ。
まず、Bクラス、Cクラス、Eクラスは元々協力関係にあった。目的はAクラスへの昇格。つまり、まれにみる、クラス単位での昇格、降格を狙っていたのだ。だが、今年のAクラスは珍しい程に素晴らしい人材が揃っており、舞原千歳や西園寺を始めとするAクラスは他のクラスとは格の違いを見せつけていた。そんな中、Bクラスは着々と昇格の準備を進め、それが完了したという事だった。今、Aクラスと対立しているのは、Bクラス、Cクラス、Eクラスは勿論、DクラスもBクラスの方へ付いた。そして、このFクラスにもBクラス側の勧誘を受けていた。
「零はどうするべきだと思う。俺だけでは正確な判断はできそうもない。だから、お前の意見も聞いておきたい」
「俺のこと、無能力者って罵倒してたのにな」
「それは戦闘に関してだ。個個の考えに能力は関係ないだろ」
「はいはい」
だが、汗衫が悩むのにも頷ける。今の学校の状況を盤面に見立てれば、Aクラスは圧倒的に不利だ。言わばAクラス包囲網とでも言うのか。そんな中で全線でただ一クラス、俺達Fクラスが立ち止まっている最中だ。もし、俺たちFクラスがBクラス側で介入すれば、Aクラス包囲網は完成し、Aクラスは劣勢になる。どう考えてもBクラス側につくのが得策。だが、俺は、
「Aクラス側につくべきだ」
「え?」
声が少し大きかったのか、周りのクラスメイトも反応する。
「何考えてんだよ。どう考えてもBクラス側につく以外ありえねえだろ。Aクラスの味方するなんて馬鹿すぎる」
その言葉に、周りも頷く。だが、俺の考えは変わらない。
「今回はAクラスの味方をするべきだ」
「ふざけるな!もういい。無能力者は話にならん。汗衫、お前が判断してくれ。俺達はお前についていくつもりだ」
クラスメイトの視線が一気に汗衫へと集まる。やれやれ、本当に無能力者っていうもんは肩身が狭いねえ。そして、汗衫はその判断を口にする。
「俺は、零に賛成だ。Aクラス側につく」
「か、汗衫。本当にいいのか?」
「ついてきてくれるんじゃないのか?」
「あ、ああ。勿論。お前がそういうなら」
こうして、Fクラスの事件の介入の仕方が決定した。
朝のホームルームが終わり、俺は汗衫にちょっとした疑問を投げかける。
「汗衫。何故、俺の意見に賛成した?俺は理由もメリットも何も言ってないが…」
汗衫は俺の言葉を聞き、真剣な眼差しでそれに答えた。
「確かに、お前の考えには訳の分からない事はあるが、俺ではまだ判断できていなかったから、お前の考えに賛成したんだ」
「いいのか。そんなんでクラスの方針を決めて」
今回の介入の結果でFクラスの立場や今後の行動にも影響は出てくる。それほど重要な事項だ。
「ああ、こんな時に顔色一つ変えずにいつものようにただ淡々と行動するお前に従った方が得策だと思ったんだよ。何か文句あるか?」
「ない。俺はただ気になったことを口にしただけだ」
そう言って、俺は汗衫の元を離れる。
まさか、汗衫が俺に賛成してくれる日が来るとは…。あいつの中で何かが変わり始めているということだろうか。
ただ今回は、俺も人肌脱がないといけないみたいだ。まさか、舞原が言っていた本気を出さざるを得ない状況も考えられる。A、Fクラス対それ以外か。この戦い、そう言うなれば、
学校内紛
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる