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本編
Sクラス争奪戦の準備
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暴走者事件を解決した俺と舞原だったが、政府が暴走者のことなど公表するはずもなく、ビル火事を収めた功績としての特別手当を貰った。
その後は何事もなく2週間ほど過ごしてたのだが、放課後には寮の中はAクラスの生徒しか見られず、何やら校舎内から騒ぐような声が聞こえる日々が続いた。
そして今日、学園長が珍しく在籍するすべての生徒を競技館に招集をかけた。
まあ、目的は何となくわかっている。恐らくは新設するというAクラスの上のクラス、Sクラスについての何かだということは容易く想像できる。
もしかすると、あいつが言っていた10人の中の舞原、西園寺、俺を除いた7人がわかるかもしれない。唯一の興味といえばそれぐらいだ。
なんにせよ、この学校が大きく変わろうとしていることは間違いないらしいな。
競技館。言うなれば戦闘などの対能力に関する試験等々に特化した体育館。中はかなりの広さといえど、やはり全校生徒が集まるとかなり狭く感じる。
ようやく全員が集まり、俺たちを見下ろすように壇上に上がった学園長は話し始める。
「全校生徒諸君、緊急に集まってもらってすまない。だがしかし、これは今後のこの学校全体に関わることであり、私の口から直接伝えるべきだと思った故、今日このように集まってもらった」
そこで一度一拍を置いて。
「私はこの地に就任してから日々思うことが出てきた。学校の制度として実力でクラスを分けて競うわせることで新たな能力向上と競争社会における基盤を作ることができている。それは実に素晴らしいことだ。事実、この学校の生徒から数十人にも及ぶ優秀な警察の人材が排出されている。しかし、一つだけ言うとすれば、途轍もなく秀でた実力の持ち主が現れても、結局はAクラスどまりだ、ということだ。他のAクラスよりも優れた実力をもっていたとしても、最終的には彼らと同じ評価で終わってしまう。だが、本当にそれでよいのか。更なる実力を持つ者たちにはそれ相応の競争の場を設けるべきではないのか。そんなことを思うようになった。そして今日この日、その考えを達成させることとなる」
そこまで話し、一度周りの反応を見る。だが、誰一人として戸惑いの声は発しない。ただただ、学園長の次の言葉を待っている。
「前置きが随分と長くなってしまった。私が今回、この学校にもたらす大きな変化とは、Aクラスを超える更なる高みのクラス、Sクラスの設置をここに宣言する。なお、Sクラスに所属できる人数は最大10人。よって、Bクラス以下のクラスは2週間ほど前から緊急的な特別試験をクラスごとで行い、上位2人を選出してもらった。この後も残るAクラスからも10人を選出し、合計20人まで絞った後、そこから10人を選出する。残る生徒の皆よ、存分にその力を発揮するといい。Sクラスで卒業できる恩恵はAクラスよりも高い。その報酬は私から直々に進呈するとしよう。更なる実力の向上を目指して。以上だ」
言いたいことだけ言って、学園長は壇上から降りて行った。
なるほど、どういう試験かは知らないが。また、特別試験が始まると、そういうことか……。
クラスに戻ると、辺りは騒がしい。まあ、無理もないだろうな。今までにない大きな変化を目の当たりにしている。
Sクラスへの昇格は困難を極めることは想像にたやすい。そしてその報酬は得体の知れず。
一見、試験への意欲は低いものと思える。だが、その得体の知れない報酬は確かに価値のあるもの。警察という大きな組織に関与する国直轄の学校のトップ。そんな人物が用意する報酬がしょぼいはずがない。それに今回についてはこれといったリスクは存在していない。
試験に落ちれば退学なんてペナルティがあるわけないし、降格ということもないだろう。
つまりはローリスクハイリターンの試験。
それなりの実力をもつAクラスの生徒たちが意欲を示さないはずがない。
だが、俺がその例に当てはまるかと聞かれれば、微妙なところだ。
この間、学園長のもとを訪れた際に言っていたことが本当なのであれば、まだ考える余地があったのかもしれないが、試験をやってまで手に入れたいようなものでもない。
だったら学校をやめて単独行動をしたほうが安上がりだ。
だからこそ今も迷っている。Sクラスに昇格するのか否か。まだ決めきるには情報が足りない、か。
なんにせよ、今回の試験は限りある椅子を奪い合う椅子取りゲームだから、個人戦になる可能性は非常に高いな。そうすると、もしかすれば奥の手を出す状況に陥ることがあるかもしれない。
組織Xが俺を監視しているこの場でできればそれは出したくない。
はて、どうしたもんか。
そして、Bクラス以下から選抜された生徒たちというのも気になる。学園長が言う10人のうちの7人が含まれていることは無きにしも非ず……。
俺たちと同等の実力を持つ者がどんなものか知りたいというのも正直な感想だ。
まあ、取りあえずは。
(出かたをうかがうか……)
判断しようにも判断材料が足りない。
まだ試験までは時間はあるし、結論を急ぐようなことじゃない。
暫くは傍観して、ギリギリまで答えは考えることにするのが得策。
いつだって冷静に。慌てたっていい考えは浮かばない。
その後は何事もなく2週間ほど過ごしてたのだが、放課後には寮の中はAクラスの生徒しか見られず、何やら校舎内から騒ぐような声が聞こえる日々が続いた。
そして今日、学園長が珍しく在籍するすべての生徒を競技館に招集をかけた。
まあ、目的は何となくわかっている。恐らくは新設するというAクラスの上のクラス、Sクラスについての何かだということは容易く想像できる。
もしかすると、あいつが言っていた10人の中の舞原、西園寺、俺を除いた7人がわかるかもしれない。唯一の興味といえばそれぐらいだ。
なんにせよ、この学校が大きく変わろうとしていることは間違いないらしいな。
競技館。言うなれば戦闘などの対能力に関する試験等々に特化した体育館。中はかなりの広さといえど、やはり全校生徒が集まるとかなり狭く感じる。
ようやく全員が集まり、俺たちを見下ろすように壇上に上がった学園長は話し始める。
「全校生徒諸君、緊急に集まってもらってすまない。だがしかし、これは今後のこの学校全体に関わることであり、私の口から直接伝えるべきだと思った故、今日このように集まってもらった」
そこで一度一拍を置いて。
「私はこの地に就任してから日々思うことが出てきた。学校の制度として実力でクラスを分けて競うわせることで新たな能力向上と競争社会における基盤を作ることができている。それは実に素晴らしいことだ。事実、この学校の生徒から数十人にも及ぶ優秀な警察の人材が排出されている。しかし、一つだけ言うとすれば、途轍もなく秀でた実力の持ち主が現れても、結局はAクラスどまりだ、ということだ。他のAクラスよりも優れた実力をもっていたとしても、最終的には彼らと同じ評価で終わってしまう。だが、本当にそれでよいのか。更なる実力を持つ者たちにはそれ相応の競争の場を設けるべきではないのか。そんなことを思うようになった。そして今日この日、その考えを達成させることとなる」
そこまで話し、一度周りの反応を見る。だが、誰一人として戸惑いの声は発しない。ただただ、学園長の次の言葉を待っている。
「前置きが随分と長くなってしまった。私が今回、この学校にもたらす大きな変化とは、Aクラスを超える更なる高みのクラス、Sクラスの設置をここに宣言する。なお、Sクラスに所属できる人数は最大10人。よって、Bクラス以下のクラスは2週間ほど前から緊急的な特別試験をクラスごとで行い、上位2人を選出してもらった。この後も残るAクラスからも10人を選出し、合計20人まで絞った後、そこから10人を選出する。残る生徒の皆よ、存分にその力を発揮するといい。Sクラスで卒業できる恩恵はAクラスよりも高い。その報酬は私から直々に進呈するとしよう。更なる実力の向上を目指して。以上だ」
言いたいことだけ言って、学園長は壇上から降りて行った。
なるほど、どういう試験かは知らないが。また、特別試験が始まると、そういうことか……。
クラスに戻ると、辺りは騒がしい。まあ、無理もないだろうな。今までにない大きな変化を目の当たりにしている。
Sクラスへの昇格は困難を極めることは想像にたやすい。そしてその報酬は得体の知れず。
一見、試験への意欲は低いものと思える。だが、その得体の知れない報酬は確かに価値のあるもの。警察という大きな組織に関与する国直轄の学校のトップ。そんな人物が用意する報酬がしょぼいはずがない。それに今回についてはこれといったリスクは存在していない。
試験に落ちれば退学なんてペナルティがあるわけないし、降格ということもないだろう。
つまりはローリスクハイリターンの試験。
それなりの実力をもつAクラスの生徒たちが意欲を示さないはずがない。
だが、俺がその例に当てはまるかと聞かれれば、微妙なところだ。
この間、学園長のもとを訪れた際に言っていたことが本当なのであれば、まだ考える余地があったのかもしれないが、試験をやってまで手に入れたいようなものでもない。
だったら学校をやめて単独行動をしたほうが安上がりだ。
だからこそ今も迷っている。Sクラスに昇格するのか否か。まだ決めきるには情報が足りない、か。
なんにせよ、今回の試験は限りある椅子を奪い合う椅子取りゲームだから、個人戦になる可能性は非常に高いな。そうすると、もしかすれば奥の手を出す状況に陥ることがあるかもしれない。
組織Xが俺を監視しているこの場でできればそれは出したくない。
はて、どうしたもんか。
そして、Bクラス以下から選抜された生徒たちというのも気になる。学園長が言う10人のうちの7人が含まれていることは無きにしも非ず……。
俺たちと同等の実力を持つ者がどんなものか知りたいというのも正直な感想だ。
まあ、取りあえずは。
(出かたをうかがうか……)
判断しようにも判断材料が足りない。
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