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57 魔界四公家
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魔界アズワーン、王都リードゥの中心にそびえ立つシュトラドーニッツ城にて。
「……」
緊張した面持ちのティモールは、誰よりも早く会議場の自席に座り、そわそわと両手を組み替えていた。
本日、魔王が臨席する御前会議が開かれる。その会場となる魔王城の最も古く格式の高い会議場では、魔王も含め臨席する者全ての魔法が使えなくなるという制約が課される。
これは『魔法の優劣に関係なく、誰もが平等に発言してよいことを示すため』という建前だが、実際の理由は『国の有力者が一堂に会する場で、全員を殺害することが出来る可能性を一つでも減らすため』というものだ。つまり、そのような前例があるがゆえの制約である。
広い会議場の最奥には、魔王が座する玉座が安置されている、数段登る壇の上、重厚な布を垂らした天蓋の下に置かれた椅子は、主を待ちわびて空虚を抱いている。玉座が見下ろす下段には、長椅子が玉座の方を向くように緩く弧を描いて設置されており、ティモールは玉座から見て左奥の長椅子に腰を下ろしていた。
四つの席に座るのは、古くから魔王に使える四つの公家の当主であり、その一つがアレニウス家である。現当主であるティモールは勿論ここに座る権利を有しているわけだが、実際のところ彼は今初めてここに座っているし、もっと言えば御前会議に参加することすら初めてであった。
本来であれば、次期当主となる後継者を連れて現当主が参加し、後継者に場の空気や自身の立場、そして各家や魔王との関係をしっかりと教え込んだ上で、当主が引き継がれていく。しかし、アレニウス家は不幸にも先代当主が若くして病死したため、その嫡子であるティモールは父から教わるものも少ないまま当主になったという経緯があるのだ。
「ぼ……いや、私にとって、この御前会議は初めての場だ。だが、アレニウス家当主にとっては、何度も参加しているありふれた場なのだ。気負い過ぎることもあるまい……」
他の参加者がいないのをいいことに、ティモールはぼそぼそと呟いて自分を鼓舞する。長椅子の背後には屋敷から連れてきた家令が二人、年老いて背の曲がった男性とまだ幼い顔立ちの少女が立っている。
老人の方、レンブルはティモールの祖父の頃から仕えており、当人の方がティモールよりこの場の空気に慣れていた。
「御屋形様、もっと胸を張ってしゃきっとなさいませ。御父上も祖父君も、他の公家に負けぬ堂々とした振舞いでここに座っていたものです。跡取りの貴方様がそのように小さくなっては、アレニウスの名が泣きますぞ」
「わ、わかっている! 少し緊張しているだけだ、じきに慣れてくれば……」
「そもそも、ただでさえ御屋形様は本来よりだいぶ早い御歳で家督を継ぎ、他の当主様方よりずっとお若くてあられるのですぞ。隙を見せれば、すぐに他の家につけこまれ、足を引っ張られる怖れがあります。それを避けるにも、常に余裕を持ち堂々となされませ。だいたい坊ちゃまはいつもいつも……」
レンブルの説教は止まらず、ティモールは唇を歪めて不満を堪えた。幼い頃の教育係でもあった爺やには、どうしても頭が上がらない。彼を連れて参内することはティモールにとっても非常に心強く、彼は間違いなく頼れる味方であったはずなのだが、こうなると連れてきたのは間違いだったのではと考えてしまう。
いっそリトマスを連れてくるべきだったろうか。彼ならこの場を上手く収めてくれるのでは。そう考え、ティモールは慌ててその甘えた思考を振り払った。頼る相手を探すなど、軟弱な思考を持つべきではない。
その時、会議場の扉がゆっくりと開く音が響き、ティモールはびくりと肩を震わせた。振り向いた先にいたのは、小柄な老人だった。
「フォッシル家当主、ロバート・フォッシル様、ご到着です」
場外から扉を開けていた衛兵が声高に宣言し、それを聞いたと同時にティモールは慌てて長椅子から跳ねるように立ち上がった。
「フォッシル卿! お、お久しぶりでございます!」
「うん? おお、ティモールか。早いのう、もう来ておったのか」
ティモールの姿を見つけたロバートは、穏やかな様子で声をかけてくる。ティモールは青い長髪を揺らしながら深く頭を下げ、その背後で家令達も無言でお辞儀をしている。
「ははっ! 若輩者として、他の家の方々より遅く参ることなど、あってはならぬことだと心得ますので!」
「真面目じゃのう、お主は。父上殿もそうであったな……いやあ、懐かしい。そなたのその立派な姿を、父君に見せてやりたかったのぉ」
ティモールは杖を突きながらゆっくりと歩いてきて、その後ろには背筋の真っすぐに伸びた高齢の(それでもロバートやアレニウス家の爺やよりは若い)執事が静かに付き従っている。石のように揺るがない表情と態度で、まるで石像がそのまま歩いているかのような印象を与えていた。
「まるで先代の当主がここに座っていた頃のようではないか。フェニール殿のことは残念じゃったが、お主のような後継者がおれば、アレニウス家は安泰じゃろうて」
ティモールの前に立ち、ロバートは満足げに頷いてみせた。まるで孫に接するかのような温かな態度に、ティモールは感動のあまり再び深々と頭を下げる。
「は、はっ! なんとありがたきお言葉……光栄の至りにございます!」
「なんのなんの、当たり前のことを申しただけよ」
おかしそうに喉を鳴らして笑うロバートと、認められた感動を噛みしめながら拝礼をするティモール。微笑ましいはずの光景を、それぞれの家令達は無言で見つめるだけだった。
「お主には話したいことも積もる程あるのでな。後で我が屋敷に来るといい」
「承知いたしました。それでは後ほど、改めて……」
その時、再び扉が開く音がして、それと同時に会場に大声が響き渡った。
「おやおやぁ、お二方ともお早いご到着で! いや、これは危ないところだった。ともすれば我々が最後になるところだったじゃないか」
妙に演技かかった物言いに、ティモールはぎょっとしながらその方向を見る。そのせいで、ロバートの表情が苦虫を噛み潰したようなものに変わったことに気付かなかった。
扉をくぐり、入ってきたのは大柄な男性だった。ティモールが見上げる程の巨躯に、獅子と人の顔が融合した頭と頭髪を乗せ、悠然と室内へと歩みを進めている。その後ろには、彼よりいくらか小柄で華奢な、頭上に捻じれた一対の角を有する女性が付き従っていた。漆黒のドレスを身に纏い、一切存在を主張することなく追従する様子は、まるで痩せた影が背後にいるかのようだった。
「プロットン家当主名代、ジャドニィ・プロットン様、ご到着です」
衛兵の声を聞き、ティモールは思わずごくりと喉を鳴らす。
プロットン家。魔界公家において唯一の獣人の家柄であり、領民にも獣人が多い。そのため他領地とは空気が異なり、獣人特有の気性の荒さもあって領地の治安はいいとは言えない、そんな地域の領主が、このプロットン家である。
魔界に存在する種族は、人型であるモーレンの人口の割合は三割程であり、殆どが魔獣や亜人種であることが知られている。常に混沌と争いが渦巻く魔界アズワーンにおいて、知性と統率を有するモーレンの大型集落がこの国の基盤となり、やがて国へと発展し今に至っている。現在もなお、国外では狂暴な魔獣や国家に帰住しないことを選んだ「まつろわぬ者達」からの襲撃があり、それらから国を守るための軍隊が、プロットン家が総括、指揮している【爪と牙の軍団】である。
つまり、目の前にいる男は魔王の剣とも言うべき存在なのだ。ティモールは近付いてきた獅子の男に向き直り、腹に空気を吸い込んだ。
「き、貴殿は……プロットン家嫡男、ジャドニィ殿とお見受けする。お初にお目にかかり、光栄です」
気を引き締め直し、その名を口にしたティモールに対し、獅子の顔は岩に亀裂が入るかのような笑みを浮かべた。
「いかにも、我が名はジャドニィ・プロットン。【爪と牙の軍団】を抱えしプロットン家の長子である。……そういう貴殿は、アレニウス家の嫡男であったかな?」
その言葉を受け、ティモールは背筋を伸ばして顎を反らし、震えそうになるのを抑えて声を張り上げた。
「名乗りが遅れたことをお詫びいたします。我が名はティモール・アレニウス。アレニウス家の新たな当主として、御前会議に参内いたしました。以後、お見知りおきいただきく存じます!」
嫡男、と言われたことを、ティモールは静かに憤慨していた。歳若くとも、ティモールは己が当主であることに確かな誇りを持っている。嫡男と呼ばれるのは、お前は未だ当主ではないと言われているも同然である。
とはいえ、目の前にいるのはプロットン家の嫡男であり、立場としてはほぼ同列でも経験と経歴ではあちらが圧倒的に上位。正確な年齢は把握していないが、ティモールの父の代の時点でジャドニィの名は既に国内に浸透していた。本来であれば、ティモールが強く出ていい相手ではない。耳鳴りがするほどの緊張に固まっているティモールを、ジャドニィは見聞するようにじっくりと見下ろしている。
「ふは、若造が吠えるではないか。だが、その勢いや良し。魔界四公家の当主たるもの、そのぐらいの気概がなくてはなぁ?」
ジャドニィは口を裂いて笑みを浮かべ、そんなことを言った。その言葉には、こちらの喉元へ牙を突き立てるかのような威圧が感じられ、ティモールは息を飲んだ。
そして、不意にジャドニィは可笑しそうに笑い出した。
「ふ、はっはははは! いや、失敬。若者をからかうものではなかったな。勿論知っているとも、ティモール殿。亡き父君の跡を継ぐ、アレニウスの若き当主殿だ、知らないはずがない。初めてお会いしたものだから、ついいじってしまった。非礼を詫びよう、許してくれ」
ジャドニィはそう言って深々とお辞儀をしてみせた。目上の立場の相手から頭を下げられ、ティモールは飛び上がらんばかりに驚き、慌ててそれを制する。
「ど、どうかそのようなことはおやめください! 非礼などと、そのようなことは決して……!」
ティモールの情けない声をたっぷりと堪能して、ジャドニィは悠然と顔を上げる。そこには、当初に見せていた笑みがあった。
「しかし、君も意地が悪いのではないかね? 私を嫡男と呼んでくるのだから、こちらも大人げない態度を取ってしまったのだよ」
ジャドニィの言葉に、ティモールは狼狽えたように視線を揺らす。彼がプロットン家嫡男であることは事実で、そこに悪意の意味はないはずである。ジャドニィの言いたいことが読み取れず、ティモールが無言でいると、痺れを切らしたように当人が口を開いた。
「この場に私がいる意味を考えたまえ。御前会議に参内してるこの私は、もはや当主の立場も同然であると、わかりそうなものではないか。我が父も長らく病床に伏し、当主の名代として私が公の場に出ることがもはや通例となっている。それを未だ嫡男と呼ばれては、私の立場がない。そうであろう?」
「は、は……それは、ご無礼を」
目を白黒させながらも、ティモールは素直に詫びの言葉を口にする。そこに、横槍が入った。
「は、おかしなこと言う。お主が嫡男の立場であることに変わりはないではないか。何も知らぬティモールだからと、よくもまあ図々しいことを言えるものよのぉ」
鼻で笑う声色で、ロバートが横から口を挟んでくる。その態度に、ティモールはぎょっとし、ジャドニィは不自然な程に冷静だった。
「おお、これはフォッシル卿。ご挨拶が遅れ、申し訳ない。貴殿からすれば、この私ですら未だ若輩者に見えることでしょうな。長らく魔王の右腕としてその地位に居続けたのですから……もっとも、腕はそのままに体は何度か変わっておりますがね」
わざとらしくゆっくりと言い返すジャドニィに、ロバートは細めた目で巨躯の獅子をじろりと睨む。
「何が言いたい?」
「歴代の王に信頼され、宰相の座に君臨し続けるフォッシル卿を、私は尊敬しているのです。是非とも、その手腕を見習いたいものですな。この度、新たに魔王となられたソルフレア様も、幼少期より目をかけていたと聞いております。もしや、父王に対し叛意を抱くようにと、無垢な姫をそそのかしたのではありませんかな?」
ジャドニィの発言に、室内の空気が一瞬で張り詰めた。ティモールも、その背後にいた家令達も、思わず息を飲む。
「……兄さん、そのあたりで」
大柄なジャドニィの背後に隠れるように立っていた黒衣の女性が、ここにきて初めて口を開いた。窘める意図を含んでかけられた静かな言葉を、ジャドニィは無言で跳ね除けた。
「どうせ此度もまた、何かしらの謀略を考えておられるのでしょう? アレニウスの倅ばかり贔屓せず、私にも甘い汁を吸わせていただきたいものですな」
「な……ジャドニィ殿! いくら何でも、それは!」
流石に黙っていられないと、ティモールは思わず口を開く。しかし、それをかき消すようにロバートは大きく口を開けて笑い出した。
「なるほど、まだ子猫だと思うておったが、お主も随分言うようになったのぉ。ふん、お主に吸わせるものなどあるものか。浅ましい獣心公の息子め。この場に最もふさわしくないのは、お主らであることをゆめゆめ忘れるな」
「……」
ジャドニィのたてがみのような毛髪が、ぶわりと逆立つ。怒りを通り越した、明らかな殺意を含んだ視線で、ジャドニィはロバートを睨みつけた。
「この私を、その名で呼ぶな……!」
「この名があるからこそ、お主はここにいられるのだ。当主の名代だと、お主は自分で申したではないか? つい先程己が言った言葉も思い出せぬか、流石は獣よの」
喉の奥で低く唸るジャドニィに、ロバートは一切怯むことなく更に嘲りの言葉を投げつける。肌がちりちりするような緊張感に、ティモールは押しつぶされそうになる。
初めて参加した会議の場で、このような口論が展開されるとは夢にも思わなかった。何より、自分には常に穏やかな態度を見せていたロバートが、いくら挑発されたからとしても、これほど口汚く相手を侮辱したことに、ティモールは衝撃を受けていた。
「貴様……っ!」
ついに堪えきれなくなったジャドニィが牙を剥きだしにしたのとほぼ同時に、再び会議場の扉が開かれた。
「ラグラム家当主、シンシア・ラグラム様、ご到着です」
衛兵が告げた名を聞き、ティモールは扉の方を見た。青い肌、額に角を有し、礼装に身を包んだ老齢の女性が、凛とした空気を纏ってそこに立っていた。
「間に合ったみたいだね。……それにしても、まだ会議も始まっていないのに、随分と賑やかじゃないか。ねえ、ハイドや?」
顎を反らし、ゆっくりとシンシアは室内へと歩いてくる。顔や声こそ年齢を感じさせるが、内に秘められた意志は未だ衰えを知らず、金属のように硬質で鋭い空気を纏っている。彼女の背後には、鎧を身に着けた強面の、同じく青肌と角を持つ大柄な青年が無言で付き従っていた。濃紺のマントを堂々と翻し、老婦人は張り詰めた場内の空気をものともせずに踵を鳴らして歩を進める。
彼女の登場に、ロバートとジャドニィは明らかに動揺していた。ロバートは決まりの悪そうに顔を反らし、ジャドニィは逆立てたはずのたてがみを萎ませ、気まずそうに咳ばらいをする。
「は。これは、お恥ずかしいところを……少々、気が高ぶってしまったようです。シンシア閣下、どうかご容赦を」
「ここをどこだと心得るか」
シンシアの声が一気に低く、鋭くなる。ジャドニィは無言で頭を下げているが、それは先程ティモールに見せた形だけの詫びではなく、怯えて身を竦める子どもも同然の姿だった。
「魔王陛下が御臨席する、我が国において最も重要な議題を取り上げるこの会議場こそ、どこよりも平穏で清浄で厳正でなくてはならぬ。……それを、いやしくも公家の当主名代を名乗る者が犯すなど、言語道断! 立場をわきまえよ、愚か者!!」
会議場の天井に、シンシアの怒声が響き渡る。その細身のどこから出ているのかと思うほど、彼女の声はよく通り、それゆえに迫力があった。視線も向けられていないはずのティモールは、気を抜くと腰が抜けてしまいそうだった。
「ご叱責、汗顔の至りにございます……私が未熟者でした、どうかお許しください」
心からの謝罪を口にするジャドニィを、シンシアは厳しい視線で見つめる。やがて、彼女は気を緩めるように小さく息を吐いた。
「まったく……参内して早々、年寄りに大声を出させるんじゃないよ。リスティーヒ、お前が兄の暴走を止めなくてどうするんだい」
その口調は、悪戯をした子どもを叱る母親のようであった。シンシアの視線は、ジャドニィの背後の女性へ向けられる。
「一応、止めはしたのですが」
無機質な表情で、彼女は答えた。しおらしく顔を伏せているが、兄ほど堪えている様子はない。
「もし陛下の前で、また口喧嘩なんてしてごらん。陛下が何かを命じるより先に、私がお前達をこの場から叩き出してやるからね」
冗談めかして、しかし冗談ではないという確かな威圧を含ませて、シンシアはプロットン家の二人への説教を終えた。そしてロバートの方へ、先程より冷ややかな視線を向ける。
「フォッシル卿。大人げないことをおしでないよ」
「何のことかの? まあ、あやつの口車に乗せられて少々礼を欠いた発言をしてしまったことは、わしの非であるが」
「相変わらず、火をつけて逃げる足の速いこと。……ほどほどになされよ」
短い言葉をかけて、シンシアは自分に割り当てられた長椅子に向かって歩いていく。背後の鎧の青年も、それに続く。
微妙な空気の中、ジャドニィは言葉もなく踵を返し、彼もまた自席へと向かう。気が付けばロバートもまた長椅子についており、会議場で席につかず立ち尽くしているのはティモールただ一人。
それに気付いたティモールは、慌てて自席へと戻り、へたり込むように長椅子へ腰を下ろした。
「……」
緊張した面持ちのティモールは、誰よりも早く会議場の自席に座り、そわそわと両手を組み替えていた。
本日、魔王が臨席する御前会議が開かれる。その会場となる魔王城の最も古く格式の高い会議場では、魔王も含め臨席する者全ての魔法が使えなくなるという制約が課される。
これは『魔法の優劣に関係なく、誰もが平等に発言してよいことを示すため』という建前だが、実際の理由は『国の有力者が一堂に会する場で、全員を殺害することが出来る可能性を一つでも減らすため』というものだ。つまり、そのような前例があるがゆえの制約である。
広い会議場の最奥には、魔王が座する玉座が安置されている、数段登る壇の上、重厚な布を垂らした天蓋の下に置かれた椅子は、主を待ちわびて空虚を抱いている。玉座が見下ろす下段には、長椅子が玉座の方を向くように緩く弧を描いて設置されており、ティモールは玉座から見て左奥の長椅子に腰を下ろしていた。
四つの席に座るのは、古くから魔王に使える四つの公家の当主であり、その一つがアレニウス家である。現当主であるティモールは勿論ここに座る権利を有しているわけだが、実際のところ彼は今初めてここに座っているし、もっと言えば御前会議に参加することすら初めてであった。
本来であれば、次期当主となる後継者を連れて現当主が参加し、後継者に場の空気や自身の立場、そして各家や魔王との関係をしっかりと教え込んだ上で、当主が引き継がれていく。しかし、アレニウス家は不幸にも先代当主が若くして病死したため、その嫡子であるティモールは父から教わるものも少ないまま当主になったという経緯があるのだ。
「ぼ……いや、私にとって、この御前会議は初めての場だ。だが、アレニウス家当主にとっては、何度も参加しているありふれた場なのだ。気負い過ぎることもあるまい……」
他の参加者がいないのをいいことに、ティモールはぼそぼそと呟いて自分を鼓舞する。長椅子の背後には屋敷から連れてきた家令が二人、年老いて背の曲がった男性とまだ幼い顔立ちの少女が立っている。
老人の方、レンブルはティモールの祖父の頃から仕えており、当人の方がティモールよりこの場の空気に慣れていた。
「御屋形様、もっと胸を張ってしゃきっとなさいませ。御父上も祖父君も、他の公家に負けぬ堂々とした振舞いでここに座っていたものです。跡取りの貴方様がそのように小さくなっては、アレニウスの名が泣きますぞ」
「わ、わかっている! 少し緊張しているだけだ、じきに慣れてくれば……」
「そもそも、ただでさえ御屋形様は本来よりだいぶ早い御歳で家督を継ぎ、他の当主様方よりずっとお若くてあられるのですぞ。隙を見せれば、すぐに他の家につけこまれ、足を引っ張られる怖れがあります。それを避けるにも、常に余裕を持ち堂々となされませ。だいたい坊ちゃまはいつもいつも……」
レンブルの説教は止まらず、ティモールは唇を歪めて不満を堪えた。幼い頃の教育係でもあった爺やには、どうしても頭が上がらない。彼を連れて参内することはティモールにとっても非常に心強く、彼は間違いなく頼れる味方であったはずなのだが、こうなると連れてきたのは間違いだったのではと考えてしまう。
いっそリトマスを連れてくるべきだったろうか。彼ならこの場を上手く収めてくれるのでは。そう考え、ティモールは慌ててその甘えた思考を振り払った。頼る相手を探すなど、軟弱な思考を持つべきではない。
その時、会議場の扉がゆっくりと開く音が響き、ティモールはびくりと肩を震わせた。振り向いた先にいたのは、小柄な老人だった。
「フォッシル家当主、ロバート・フォッシル様、ご到着です」
場外から扉を開けていた衛兵が声高に宣言し、それを聞いたと同時にティモールは慌てて長椅子から跳ねるように立ち上がった。
「フォッシル卿! お、お久しぶりでございます!」
「うん? おお、ティモールか。早いのう、もう来ておったのか」
ティモールの姿を見つけたロバートは、穏やかな様子で声をかけてくる。ティモールは青い長髪を揺らしながら深く頭を下げ、その背後で家令達も無言でお辞儀をしている。
「ははっ! 若輩者として、他の家の方々より遅く参ることなど、あってはならぬことだと心得ますので!」
「真面目じゃのう、お主は。父上殿もそうであったな……いやあ、懐かしい。そなたのその立派な姿を、父君に見せてやりたかったのぉ」
ティモールは杖を突きながらゆっくりと歩いてきて、その後ろには背筋の真っすぐに伸びた高齢の(それでもロバートやアレニウス家の爺やよりは若い)執事が静かに付き従っている。石のように揺るがない表情と態度で、まるで石像がそのまま歩いているかのような印象を与えていた。
「まるで先代の当主がここに座っていた頃のようではないか。フェニール殿のことは残念じゃったが、お主のような後継者がおれば、アレニウス家は安泰じゃろうて」
ティモールの前に立ち、ロバートは満足げに頷いてみせた。まるで孫に接するかのような温かな態度に、ティモールは感動のあまり再び深々と頭を下げる。
「は、はっ! なんとありがたきお言葉……光栄の至りにございます!」
「なんのなんの、当たり前のことを申しただけよ」
おかしそうに喉を鳴らして笑うロバートと、認められた感動を噛みしめながら拝礼をするティモール。微笑ましいはずの光景を、それぞれの家令達は無言で見つめるだけだった。
「お主には話したいことも積もる程あるのでな。後で我が屋敷に来るといい」
「承知いたしました。それでは後ほど、改めて……」
その時、再び扉が開く音がして、それと同時に会場に大声が響き渡った。
「おやおやぁ、お二方ともお早いご到着で! いや、これは危ないところだった。ともすれば我々が最後になるところだったじゃないか」
妙に演技かかった物言いに、ティモールはぎょっとしながらその方向を見る。そのせいで、ロバートの表情が苦虫を噛み潰したようなものに変わったことに気付かなかった。
扉をくぐり、入ってきたのは大柄な男性だった。ティモールが見上げる程の巨躯に、獅子と人の顔が融合した頭と頭髪を乗せ、悠然と室内へと歩みを進めている。その後ろには、彼よりいくらか小柄で華奢な、頭上に捻じれた一対の角を有する女性が付き従っていた。漆黒のドレスを身に纏い、一切存在を主張することなく追従する様子は、まるで痩せた影が背後にいるかのようだった。
「プロットン家当主名代、ジャドニィ・プロットン様、ご到着です」
衛兵の声を聞き、ティモールは思わずごくりと喉を鳴らす。
プロットン家。魔界公家において唯一の獣人の家柄であり、領民にも獣人が多い。そのため他領地とは空気が異なり、獣人特有の気性の荒さもあって領地の治安はいいとは言えない、そんな地域の領主が、このプロットン家である。
魔界に存在する種族は、人型であるモーレンの人口の割合は三割程であり、殆どが魔獣や亜人種であることが知られている。常に混沌と争いが渦巻く魔界アズワーンにおいて、知性と統率を有するモーレンの大型集落がこの国の基盤となり、やがて国へと発展し今に至っている。現在もなお、国外では狂暴な魔獣や国家に帰住しないことを選んだ「まつろわぬ者達」からの襲撃があり、それらから国を守るための軍隊が、プロットン家が総括、指揮している【爪と牙の軍団】である。
つまり、目の前にいる男は魔王の剣とも言うべき存在なのだ。ティモールは近付いてきた獅子の男に向き直り、腹に空気を吸い込んだ。
「き、貴殿は……プロットン家嫡男、ジャドニィ殿とお見受けする。お初にお目にかかり、光栄です」
気を引き締め直し、その名を口にしたティモールに対し、獅子の顔は岩に亀裂が入るかのような笑みを浮かべた。
「いかにも、我が名はジャドニィ・プロットン。【爪と牙の軍団】を抱えしプロットン家の長子である。……そういう貴殿は、アレニウス家の嫡男であったかな?」
その言葉を受け、ティモールは背筋を伸ばして顎を反らし、震えそうになるのを抑えて声を張り上げた。
「名乗りが遅れたことをお詫びいたします。我が名はティモール・アレニウス。アレニウス家の新たな当主として、御前会議に参内いたしました。以後、お見知りおきいただきく存じます!」
嫡男、と言われたことを、ティモールは静かに憤慨していた。歳若くとも、ティモールは己が当主であることに確かな誇りを持っている。嫡男と呼ばれるのは、お前は未だ当主ではないと言われているも同然である。
とはいえ、目の前にいるのはプロットン家の嫡男であり、立場としてはほぼ同列でも経験と経歴ではあちらが圧倒的に上位。正確な年齢は把握していないが、ティモールの父の代の時点でジャドニィの名は既に国内に浸透していた。本来であれば、ティモールが強く出ていい相手ではない。耳鳴りがするほどの緊張に固まっているティモールを、ジャドニィは見聞するようにじっくりと見下ろしている。
「ふは、若造が吠えるではないか。だが、その勢いや良し。魔界四公家の当主たるもの、そのぐらいの気概がなくてはなぁ?」
ジャドニィは口を裂いて笑みを浮かべ、そんなことを言った。その言葉には、こちらの喉元へ牙を突き立てるかのような威圧が感じられ、ティモールは息を飲んだ。
そして、不意にジャドニィは可笑しそうに笑い出した。
「ふ、はっはははは! いや、失敬。若者をからかうものではなかったな。勿論知っているとも、ティモール殿。亡き父君の跡を継ぐ、アレニウスの若き当主殿だ、知らないはずがない。初めてお会いしたものだから、ついいじってしまった。非礼を詫びよう、許してくれ」
ジャドニィはそう言って深々とお辞儀をしてみせた。目上の立場の相手から頭を下げられ、ティモールは飛び上がらんばかりに驚き、慌ててそれを制する。
「ど、どうかそのようなことはおやめください! 非礼などと、そのようなことは決して……!」
ティモールの情けない声をたっぷりと堪能して、ジャドニィは悠然と顔を上げる。そこには、当初に見せていた笑みがあった。
「しかし、君も意地が悪いのではないかね? 私を嫡男と呼んでくるのだから、こちらも大人げない態度を取ってしまったのだよ」
ジャドニィの言葉に、ティモールは狼狽えたように視線を揺らす。彼がプロットン家嫡男であることは事実で、そこに悪意の意味はないはずである。ジャドニィの言いたいことが読み取れず、ティモールが無言でいると、痺れを切らしたように当人が口を開いた。
「この場に私がいる意味を考えたまえ。御前会議に参内してるこの私は、もはや当主の立場も同然であると、わかりそうなものではないか。我が父も長らく病床に伏し、当主の名代として私が公の場に出ることがもはや通例となっている。それを未だ嫡男と呼ばれては、私の立場がない。そうであろう?」
「は、は……それは、ご無礼を」
目を白黒させながらも、ティモールは素直に詫びの言葉を口にする。そこに、横槍が入った。
「は、おかしなこと言う。お主が嫡男の立場であることに変わりはないではないか。何も知らぬティモールだからと、よくもまあ図々しいことを言えるものよのぉ」
鼻で笑う声色で、ロバートが横から口を挟んでくる。その態度に、ティモールはぎょっとし、ジャドニィは不自然な程に冷静だった。
「おお、これはフォッシル卿。ご挨拶が遅れ、申し訳ない。貴殿からすれば、この私ですら未だ若輩者に見えることでしょうな。長らく魔王の右腕としてその地位に居続けたのですから……もっとも、腕はそのままに体は何度か変わっておりますがね」
わざとらしくゆっくりと言い返すジャドニィに、ロバートは細めた目で巨躯の獅子をじろりと睨む。
「何が言いたい?」
「歴代の王に信頼され、宰相の座に君臨し続けるフォッシル卿を、私は尊敬しているのです。是非とも、その手腕を見習いたいものですな。この度、新たに魔王となられたソルフレア様も、幼少期より目をかけていたと聞いております。もしや、父王に対し叛意を抱くようにと、無垢な姫をそそのかしたのではありませんかな?」
ジャドニィの発言に、室内の空気が一瞬で張り詰めた。ティモールも、その背後にいた家令達も、思わず息を飲む。
「……兄さん、そのあたりで」
大柄なジャドニィの背後に隠れるように立っていた黒衣の女性が、ここにきて初めて口を開いた。窘める意図を含んでかけられた静かな言葉を、ジャドニィは無言で跳ね除けた。
「どうせ此度もまた、何かしらの謀略を考えておられるのでしょう? アレニウスの倅ばかり贔屓せず、私にも甘い汁を吸わせていただきたいものですな」
「な……ジャドニィ殿! いくら何でも、それは!」
流石に黙っていられないと、ティモールは思わず口を開く。しかし、それをかき消すようにロバートは大きく口を開けて笑い出した。
「なるほど、まだ子猫だと思うておったが、お主も随分言うようになったのぉ。ふん、お主に吸わせるものなどあるものか。浅ましい獣心公の息子め。この場に最もふさわしくないのは、お主らであることをゆめゆめ忘れるな」
「……」
ジャドニィのたてがみのような毛髪が、ぶわりと逆立つ。怒りを通り越した、明らかな殺意を含んだ視線で、ジャドニィはロバートを睨みつけた。
「この私を、その名で呼ぶな……!」
「この名があるからこそ、お主はここにいられるのだ。当主の名代だと、お主は自分で申したではないか? つい先程己が言った言葉も思い出せぬか、流石は獣よの」
喉の奥で低く唸るジャドニィに、ロバートは一切怯むことなく更に嘲りの言葉を投げつける。肌がちりちりするような緊張感に、ティモールは押しつぶされそうになる。
初めて参加した会議の場で、このような口論が展開されるとは夢にも思わなかった。何より、自分には常に穏やかな態度を見せていたロバートが、いくら挑発されたからとしても、これほど口汚く相手を侮辱したことに、ティモールは衝撃を受けていた。
「貴様……っ!」
ついに堪えきれなくなったジャドニィが牙を剥きだしにしたのとほぼ同時に、再び会議場の扉が開かれた。
「ラグラム家当主、シンシア・ラグラム様、ご到着です」
衛兵が告げた名を聞き、ティモールは扉の方を見た。青い肌、額に角を有し、礼装に身を包んだ老齢の女性が、凛とした空気を纏ってそこに立っていた。
「間に合ったみたいだね。……それにしても、まだ会議も始まっていないのに、随分と賑やかじゃないか。ねえ、ハイドや?」
顎を反らし、ゆっくりとシンシアは室内へと歩いてくる。顔や声こそ年齢を感じさせるが、内に秘められた意志は未だ衰えを知らず、金属のように硬質で鋭い空気を纏っている。彼女の背後には、鎧を身に着けた強面の、同じく青肌と角を持つ大柄な青年が無言で付き従っていた。濃紺のマントを堂々と翻し、老婦人は張り詰めた場内の空気をものともせずに踵を鳴らして歩を進める。
彼女の登場に、ロバートとジャドニィは明らかに動揺していた。ロバートは決まりの悪そうに顔を反らし、ジャドニィは逆立てたはずのたてがみを萎ませ、気まずそうに咳ばらいをする。
「は。これは、お恥ずかしいところを……少々、気が高ぶってしまったようです。シンシア閣下、どうかご容赦を」
「ここをどこだと心得るか」
シンシアの声が一気に低く、鋭くなる。ジャドニィは無言で頭を下げているが、それは先程ティモールに見せた形だけの詫びではなく、怯えて身を竦める子どもも同然の姿だった。
「魔王陛下が御臨席する、我が国において最も重要な議題を取り上げるこの会議場こそ、どこよりも平穏で清浄で厳正でなくてはならぬ。……それを、いやしくも公家の当主名代を名乗る者が犯すなど、言語道断! 立場をわきまえよ、愚か者!!」
会議場の天井に、シンシアの怒声が響き渡る。その細身のどこから出ているのかと思うほど、彼女の声はよく通り、それゆえに迫力があった。視線も向けられていないはずのティモールは、気を抜くと腰が抜けてしまいそうだった。
「ご叱責、汗顔の至りにございます……私が未熟者でした、どうかお許しください」
心からの謝罪を口にするジャドニィを、シンシアは厳しい視線で見つめる。やがて、彼女は気を緩めるように小さく息を吐いた。
「まったく……参内して早々、年寄りに大声を出させるんじゃないよ。リスティーヒ、お前が兄の暴走を止めなくてどうするんだい」
その口調は、悪戯をした子どもを叱る母親のようであった。シンシアの視線は、ジャドニィの背後の女性へ向けられる。
「一応、止めはしたのですが」
無機質な表情で、彼女は答えた。しおらしく顔を伏せているが、兄ほど堪えている様子はない。
「もし陛下の前で、また口喧嘩なんてしてごらん。陛下が何かを命じるより先に、私がお前達をこの場から叩き出してやるからね」
冗談めかして、しかし冗談ではないという確かな威圧を含ませて、シンシアはプロットン家の二人への説教を終えた。そしてロバートの方へ、先程より冷ややかな視線を向ける。
「フォッシル卿。大人げないことをおしでないよ」
「何のことかの? まあ、あやつの口車に乗せられて少々礼を欠いた発言をしてしまったことは、わしの非であるが」
「相変わらず、火をつけて逃げる足の速いこと。……ほどほどになされよ」
短い言葉をかけて、シンシアは自分に割り当てられた長椅子に向かって歩いていく。背後の鎧の青年も、それに続く。
微妙な空気の中、ジャドニィは言葉もなく踵を返し、彼もまた自席へと向かう。気が付けばロバートもまた長椅子についており、会議場で席につかず立ち尽くしているのはティモールただ一人。
それに気付いたティモールは、慌てて自席へと戻り、へたり込むように長椅子へ腰を下ろした。
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