烏帽子岩と龍

海辺野海月

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霊的なもの開眼しちゃった?

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「信の血縁よ、名はなんという?」
常盤 晴俊ときわ はるとしだけど、あんたは何?龍、に見えるけど、生物なの?」

 偉そうに?というか、古めかしく?名前を聞かれるなんて高校生にはそうそうない。
 しかも相手はなんだか良くわからない。生物なのかそうじゃないのかも。

「ふむ、信にはただ龍と呼ばれとったな。たまにからかうように龍神などとも呼んどったが。生物かと問われれば、生物ではないの。自然の気が集まったもの、じゃな。」

「自然の気が集まったもの?」

 それって何?

「ふむ、雲や海や空気、この世に存在するものと同じものじゃな。」

「んん?余計に分からないんだけど?雲も海も水だよね?空気は酸素とか窒素とか色々だけど、それと同じもの?」

「むぅ、信にはこのようなこと聞かれなんだ。説明するとは難しいのぅ。」

 そう言って苦いものでも食べたみたいな顔をしながら龍は唸った。

 表情豊かなんだね。

「当たり前に存在するが、人が生活する上で通常は気にしない存在、とでも言えば良いかのぅ。気にしないから無いも同然、とも言えるかの。」

「禅問答みたいだね。」

 うん、祖父ちゃんが好きそう。

 龍は、然り。と今度は楽しそうに頷いてる。

「龍はずっとそこに居たの?」

「いや、居る時もあるし、居らぬ時もある。我とて務めがある。しかし、信を通して見る世界は面白かったゆえ、亡き後は別の者を通して見ようかと思い度々来ておった。我が見えぬなら誰ぞ別の者を探そうかと思っておったが、幸い数日でそなたと繋がったようじゃ。」

 繋がるって、

「俺も祖父ちゃんみたいに幽霊とか見えるようになったってこと?」

 見えないものが見えるって面白そうではあるけど、祖父ちゃんの話を聞いてた限り楽しいだけじゃないだろうし、なんか複雑。

「我以外が見えるようになるかはまだ分からん。我とは繋がったゆえ、見やすくはなったやも知れぬし、そうではないやも知れぬ。」

「曖昧だね。」

 龍はまた、然り。と言って笑った。
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