烏帽子岩と龍

海辺野海月

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写真に写ったのは

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 龍は家の敷地に居る時は駐車場横の庭の一画で日向ぼっこしてることが多いんだって。
 写真撮った時に写ったのは、日向ぼっこが気持ち良くて気が抜けてたかららしい。一応、家族の誰かが見えないか力を調整してたのもあるみたいだけど、風呂入ってふにゃっとしてた、みたいな事だよね。

 なんか偉そうに「信の血縁よ。」とか言われたけど、他の人にも見えそうじゃないか?
 あ、別に松の木に拘りはないそうだ。

 因みに我が家は曾祖父の代から住んでて、戦後に横浜にあった家が駐留軍に接収された代わりに貰った土地だったそうで結構広い。
 横浜は地価が高かったから(今も十分高いけど)当時は療養所と海しかない茅ヶ崎の地価に当て嵌めるとかなりの土地になったんだって。

 曾祖父ちゃんが最初に住みだした頃に比べたら区画整理とか相続やらで狭くなったけど、水撒きするにはちょっと体力使う程度には広い。
 結構な大きさの龍が身体伸ばして日向ぼっこするには狭いだろうけども。

「夏真っ盛りに『日向ぼっこ』は可笑しくない?暑さで湯だりそうだけど。」

「我は謂わば自然そのもの。暑さも寒さも関係ないわ。ただその力を貰うのみよ。」

 それって光合成みたいなもの?と聞いたら、似たようなものだと言われた。

 不思議生物だね。あれ?生物じゃないんだっけ?うん、良く分からん。

 とりあえず暑いし家に入っても良いか聞いたら、龍も入っても良いか聞いてきた。

 物壊さないなら大丈夫じゃないかな。

 どうやら俺にしか見えないみたいだし。


 ***


 汗かいたからシャワーを浴びてさっぱりしたかったから、龍には俺の部屋で待っててもらうことにした。
 屋内に入ったら、その身体を縮めてマフラーよりちょっと長い位になったのには驚いたけど。

「小さくなれるのに今まで家に入ったことなかったの?」
「この大きさになれるようになったのは最近なのだ。物にぶつかる訳ではないから大丈夫だと言ったのだが、重なって見えるのも落ち着かないから止めてくれと言われておってなぁ。」

 まぁ、その気持ちは分からなくはないよね。

 例えば祖母ちゃんが大事にしてた花瓶とかに尻尾が重なってたら割れるんじゃないか!?とか思って心臓に悪そうだし。

 小さくなれても物は避けてもらう方向でお願いしたい。
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