親友は砂漠の果ての魔人

瑞樹

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ムー大陸編

12赤色人との遭遇2

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「でも、この道をまっすぐ五時間も歩けば、ヒラニプラの端には着くわね」
「そこから首都の中央部にはどのくらいかかるの」
「そうね、四時間くらいかしら、でも中央部まで行けば泊まるところくらいはあるから大丈夫じゃないの」
「どうもありがとう。ところで、この先には黒色人がいるエリアだと思うんだけど、女性一人で大丈夫なの」
「ええ、矢丈夫よ、これに乗っていれば」

 女性がオレンジ色の指で自分の乗ってきた車を指差した。
「この車には精神力増幅装置がついていて、そのエネルギーで走ってるんだけど、こんなこともできるのよ」

 女性が車に乗り込むと、車が浮き上がり二人の立っている脇の茂みに頭を向けた。フロントガラスの中を見ることはできないが、強い風圧を感じメリメリという音がした。脇をみると、茂みが根こそぎ引っこ抜かれ、更にバリバリと縦にさけた。

 女性がドアを開けて車から降りてくると、茂みがストンと地に落ちた。

「少ししか使わなくてもこれくらいのことはできるのよ、パワーを上げればもっと凄いことができるわ」
「だから黒色人は怖くない?」
「この車に乗っていればね」

「もう少し先に行ったところに巨漢の黒色人が倒れているけど驚かないでね」
「倒れてるって、あなた達が倒したの」
「あなた達というより僕だけどね」
「あなた一人で、あなたも私達と同じような装置を持ってるの?」

 アルハザードがクスリと笑って「装置は持ってないよ、戦い方を知ってるだけだよ」と答えた。

 女性の目が大きく見開かれた。
「普通に戦ってあの野蛮人に勝ったの、凄いわね、多分この島の人で彼らに勝てる者など一人もいないわよ。ヒラニプラへ行ったら戦士になるといいわ。きっとすぐに出世できるわよ」
 アルハザードが再びクスリと笑った。
「貴重な情報ありがとう」

 アルハザードの言葉を笑顔で受け流し、赤色人の女性は「じゃあね」と言って車に乗り込んで去って行った。

「本当に戦士に応募する気なのかい」
「する訳ないじゃないか。適当に会話を切り上げたかっただけさ。こいつは毎日戦闘が見られて喜ぶだろうけどね」
 アルハザードが邪神の頭を軽くなでた。
「さあ、もう少しだけ歩いて食事にしよう」

 具体的に首都の端まで五時間、中心部まで更に四時間と聞いて、少しうんざりとした気分になったが、他に方法がない以上、彼の横に並んで歩くしかなかつた。
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