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拡散 夕島 流星 視点
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朝、目が覚めて最初に見たのは、スマホの通知の嵐だった。
何かが「起きてる」。そう確信しながらロックを外す。
それは、俺たちの姿だった。
異形の群れを斬り裂き、空を駆けて戦う、あの夜の映像。
「昨日のことが、もう世界に出てる……」
しかもただの噂じゃない。
はっきり映っていた。俺と姫奈、漢服を纏って、刀を振るう姿が。
草原に現れた裂け目。黒く滲む闇。異形。――全部が、鮮明に。
誰が、いつ、どうやって撮ったのか?
人間に撮れる角度じゃない。ドローンでも無理だ。
きっと、“闇”がやった。俺たちを暴くために。
あるいは、挑発か――誘導か。
「流星、どうする……?」
LINEの通知が光る。姫奈からだった。
すぐに「学校では黙っていろ」とだけ返信する。
騒がれて当然だった。
登校して、教室のドアを開けた瞬間、空気が明らかに違っていた。
「マジでCGか?」「でもあんな動き、リアルすぎるよな」
「服、ヤバくなかった? なんか古代中華っぽいやつ」
「何かの宣伝って説もあるけど……逆に怖くね?」
みんな浮かれてる。好奇心が勝ってる。
でも、いずれ気づく。“これはただのエンタメじゃない”って。
先生たちも動揺してたが、結局「悪ふざけには乗るな」で終わった。
当たり前だ。何も“知らない”なら、そうするしかない。
放課後、昇降口。
俺は無言で姫奈と目を合わせ、そのまま並んで歩き出す。
隣同士の部屋に住んでるって事実は、今はもう不思議じゃない。むしろ、意味があるとすら思える。
近くの小さな公園。
子どももいない時間帯。俺たちは並んでベンチに腰かけた。
「見たか、動画」
姫奈が小さく頷く。
「投稿者は……たぶん、人間じゃない」
あえて“異形”とは言わなかった。けど、通じているのは分かった。
あれは、闇の干渉だ。俺たちを見つけた他の“何か”が、世界に知らせた。
「これが続いたら、いずれ隠せなくなる」
姫奈が不安そうに言う。
俺は、言った。
「だったら、こっちから動く。待ってるだけじゃ、追い詰められる」
「……どうやって?」
「仲間を探す。俺たちみたいに、“痣”を持ってる奴がいるはずだ」
星の痣。それは、血の証。
俺たちが織姫と彦星の血を引く“末裔”ならば――
他にも、いる可能性は高い。
そして、あの夜の感覚。俺たち二人だけじゃ、足りない。
闇はもっと広く、深く、強い。だから、戦うには「数」がいる。
「信じてもらえるの?」
姫奈が呟いた。
「最初は無理でも、見せるしかない。現実を、見せるんだ」
夕日が沈みかけていた。
空が赤から藍に変わっていく時間。まるで、昼と夜の境目のような空。
その空の下で、俺たちは立ち上がった。
もう、逃げられない。
戦う理由は、守りたいものができたから。
あの日までは、ただの無関心だった。
けど今は違う。
隣に、戦う理由がいる。
――それだけで、俺は闇に立ち向かえる。
何かが「起きてる」。そう確信しながらロックを外す。
それは、俺たちの姿だった。
異形の群れを斬り裂き、空を駆けて戦う、あの夜の映像。
「昨日のことが、もう世界に出てる……」
しかもただの噂じゃない。
はっきり映っていた。俺と姫奈、漢服を纏って、刀を振るう姿が。
草原に現れた裂け目。黒く滲む闇。異形。――全部が、鮮明に。
誰が、いつ、どうやって撮ったのか?
人間に撮れる角度じゃない。ドローンでも無理だ。
きっと、“闇”がやった。俺たちを暴くために。
あるいは、挑発か――誘導か。
「流星、どうする……?」
LINEの通知が光る。姫奈からだった。
すぐに「学校では黙っていろ」とだけ返信する。
騒がれて当然だった。
登校して、教室のドアを開けた瞬間、空気が明らかに違っていた。
「マジでCGか?」「でもあんな動き、リアルすぎるよな」
「服、ヤバくなかった? なんか古代中華っぽいやつ」
「何かの宣伝って説もあるけど……逆に怖くね?」
みんな浮かれてる。好奇心が勝ってる。
でも、いずれ気づく。“これはただのエンタメじゃない”って。
先生たちも動揺してたが、結局「悪ふざけには乗るな」で終わった。
当たり前だ。何も“知らない”なら、そうするしかない。
放課後、昇降口。
俺は無言で姫奈と目を合わせ、そのまま並んで歩き出す。
隣同士の部屋に住んでるって事実は、今はもう不思議じゃない。むしろ、意味があるとすら思える。
近くの小さな公園。
子どももいない時間帯。俺たちは並んでベンチに腰かけた。
「見たか、動画」
姫奈が小さく頷く。
「投稿者は……たぶん、人間じゃない」
あえて“異形”とは言わなかった。けど、通じているのは分かった。
あれは、闇の干渉だ。俺たちを見つけた他の“何か”が、世界に知らせた。
「これが続いたら、いずれ隠せなくなる」
姫奈が不安そうに言う。
俺は、言った。
「だったら、こっちから動く。待ってるだけじゃ、追い詰められる」
「……どうやって?」
「仲間を探す。俺たちみたいに、“痣”を持ってる奴がいるはずだ」
星の痣。それは、血の証。
俺たちが織姫と彦星の血を引く“末裔”ならば――
他にも、いる可能性は高い。
そして、あの夜の感覚。俺たち二人だけじゃ、足りない。
闇はもっと広く、深く、強い。だから、戦うには「数」がいる。
「信じてもらえるの?」
姫奈が呟いた。
「最初は無理でも、見せるしかない。現実を、見せるんだ」
夕日が沈みかけていた。
空が赤から藍に変わっていく時間。まるで、昼と夜の境目のような空。
その空の下で、俺たちは立ち上がった。
もう、逃げられない。
戦う理由は、守りたいものができたから。
あの日までは、ただの無関心だった。
けど今は違う。
隣に、戦う理由がいる。
――それだけで、俺は闇に立ち向かえる。
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