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二章 クチナシの花
四話
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「ーー何だか、追い出しちまったみたいだねぇ」お艶が後片付けをしながら呟いた。
(すまねえな、三太)才蔵は心の中で下っ引きに詫びを入れた。
お艶が前掛けを外し、側に座って亭主の茶を入れ替えてやる。
その茶を飲み干し、才蔵は恋女房の肩を引き寄せた。
「……!お前さん、まさか?……酷い親分だねぇ……」
才蔵はまだ湿り気を帯びるお艶の髪を1房手に取り唇を当てニッと笑った。
「良いんだ。今夜は酷い親分で。ーー髪結いは明日だろう?」
「そうだよ。もう遅いし……」
嬉しそうに才蔵はお艶を抱きしめ、耳元に囁く。「……なら今夜は思いっきり、髪が乱れても平気って訳だな」
「……バカ……」
翌朝お艶の後ろに回った髪結いが「あれ?お艶さん、ヘンな寝ぐせついてますよ?」と尋ね、お艶は真っ赤になった。
「そ、そうかい?夕べは何だか寝苦しくてねぇ…」と誤魔化すお艶だった。
終
(すまねえな、三太)才蔵は心の中で下っ引きに詫びを入れた。
お艶が前掛けを外し、側に座って亭主の茶を入れ替えてやる。
その茶を飲み干し、才蔵は恋女房の肩を引き寄せた。
「……!お前さん、まさか?……酷い親分だねぇ……」
才蔵はまだ湿り気を帯びるお艶の髪を1房手に取り唇を当てニッと笑った。
「良いんだ。今夜は酷い親分で。ーー髪結いは明日だろう?」
「そうだよ。もう遅いし……」
嬉しそうに才蔵はお艶を抱きしめ、耳元に囁く。「……なら今夜は思いっきり、髪が乱れても平気って訳だな」
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翌朝お艶の後ろに回った髪結いが「あれ?お艶さん、ヘンな寝ぐせついてますよ?」と尋ね、お艶は真っ赤になった。
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