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第一章 A・B・C・D
C子、実家に帰る。
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C子は飛行機に乗って東北の山の方にある実家に来ていた。
結局、あれから二週間後に届いた鑑定結果は、「母子関係なし」だったのだ。結果を受けて、C子はどうするか悩み、ラーメン店のオーナーから紹介された弁護士にも相談した。
「それは多分話し合いになる相手じゃないから、ひとまず黙って別居しましょう。で、F実ちゃんは入籍から二百日以内に生まれているので、親子関係不存在確認の訴えを提起すればいいです。あ、調停前置だから調停からスタートだけれど。」
C子は尋ねた。
「離婚はどうしたらいいですか?」
「このケースだと、親子関係不存在確認調停と一緒に離婚調停を申し立てたらいいかな。」
C子は頷いてメモを取る。
「旦那さん、専業主夫状態だから、なかなか色んなものを持って出ていくのは難しいね。貴重品だけ持ってとりあえず実家へ、というのがベストかな。」
隣で話を聞いていたオーナーが口を挟む。
「あの、その二つの調停で費用はどのくらいかかりますか?」
「よその事務所なら着手金で100万くらい取るところもあるだろうね。うちなら60万円でいい。あとは成功報酬で同額もらうから、離婚できて親子関係が不存在ってことになれば総額120万かな。」
オーナーの声は大きくなっていた。
「先生、ハタチの子にそんな大金が出せると思いますか?!」
弁護士はズレたメガネを直しながら言った。
「親御さんに借りてもらうか分割だね。うちは分割でも受けるから。」
C子は言った。
「あの、契約はとりあえず親に相談してからでいいですか?」
「もちろんです。」
法律事務所からの帰り、オーナーは言った。
「あの先生、そんなに金の亡者じゃないと思ってたけどな。」
「分割でもいいと言ってるので、そんなに酷い先生じゃないと思います。離婚調停の着手金については自分でも調べてみましたが、相場は30~40万くらいみたいです。その上に親子関係ナントカもやるから倍なんでしょうね。」
C子は冷静だった。この戦いにある程度の出費は予想している。しかし、C子には先立つものがない。そこで、C子は実家に戻って親に相談することにしたのだ。
「なんだ、このクソ忙しいときに帰ってきて。」
C子の父親は怒ったように言った。C子の実家は農家である。24世紀の農業は、種まきから収穫まで全て機械で行うため、C子の父親は自宅でモニターを見ながら作物の生育状況をチェックしていたのだ。
「私、D夫さんと離婚することにしました。」
「あ? 子どもはどうすんだ??」
「それが、私の子どもじゃなかったんです。」
「はあー?!」
びっくりしたC子の父親は、振り返ってC子の顔をしばらく見つめた。
「おい、もう1回言ってみろ。」
「F実は私の子ではなく、他の女性との子どもみたいです。」
「あの野郎、ふざけんな!」
C子の父親は机を叩いて立ち上がった。
「今すぐ電話してここまで呼び出してやる。」
「お父さん、ちょっとそれは待って。とりあえずお父さんとお母さんによく話を聞いて欲しいんだ。」
その夜、C子、C子の父親、C子の母親、高校生の妹G子の四人で家族会議が持たれた。C子は、今まで内緒にしていた、自分が妊娠・中絶していた事情も全て話した上で、D夫が育休明けに会社を辞めようとしていること、C子が大学を辞めて働くことを強制されそうになっていることを話した。もちろん、DNA鑑定の報告書もみんなに見せた。
「結論から言うと、どっちもどっちじゃない?」
G子はクールに言った。
「どっちもどっちなら、家族ならC子に味方すべきよ。だいたい、私はD夫さんが妊娠してないなら、この結婚には反対だったの。私、あいつ、大嫌い!」
C子の母親は鼻息を荒くしていた。
「そうだそうだ、うちのC子を騙してけしからん。とっとと離婚だ!」
父親も意気込んでいた。
「それで、お父さんとお母さんにお願いがあるんです。弁護士費用を貸して欲しいんです。」
父親は言った。
「50万でも100万でもいいぞ。ただし、しばらく家でべごの世話手伝え!それで帳消しにしてやる。」
C子の実家では、小規模ながら酪農も行っていた。牛は植物のようにはいかないので、ある程度人の手が必要になる。
「あ、お姉ちゃんがべごの世話するなら助かるかも。」
G子はニコニコしながら言った。
「お父さん、ありがとうございます。」
C子は頭を下げた。
そうしたところ、C子の携帯電話が鳴った。D夫からである。C子が出ようとすると、C子の父親がそれを制して出た。
「もしもし、まだバイトなの? 早く帰ってきて、お腹空いたよ。」
「あ? 何が腹減っただ。何もしてないくせに!」
突然のC子の父親の声に、D夫は狼狽えた。
「え、お義父さんですか、ってことはC子は実家にいるんですね。」
「そうだ。」
「C子がご迷惑をおかけしているようで申し訳ありません。明日、スカイカーを借りて迎えに行きますので。」
「迎えに来ても、C子は渡さん。C子はお前とは離婚すると言っている。F実はC子の子どもじゃないから置いて来たそうだ。」
携帯電話から離れた場所でも、D夫の「はあっ?!」という声が聞こえた。
「DNA鑑定までしたんだ、もうお前は嘘はつけんぞ。」
しばらくの沈黙のあと、「そんなはずはない!」とD夫は言い出した。
「当時、僕と肉体関係があったのはC子さんだけですよ。きっと鑑定結果のほうが間違えてる。」
「そんなはずがあるか! とにかく、C子は弁護士をつけて戦うらしいから、首を洗って待ってろ。」
C子の父親は電話を切った。
翌朝、C子の牛の世話が始まった。早起きしたC子は牛舎へ行き、掃除を始めた。ある程度掃除は機械化されているし、牛のふん尿も自動で排出されるようになっているが、牛の敷き藁だけは手動で交換する必要があった。
掃除が終わると今度は餌やりである。単に餌を牛にあげるだけではダメで、牛が食べる餌の量を見て牛の健康状態を判断するのだ。
「とりあえずみんな元気そうだな。」
牛の餌やりが終わって、やっと人間の朝ごはんの時間になる。父親はC子に尋ねた。
「どうだ、久々のべごの世話は?」
「田舎で牛を見ると癒されます。」
C子の実感だった。人間以外の色々なものが機械化されている中、牛だけは「ちゃんと牛」なのである。鳴いたり、排泄したり、餌を食べたりしている。
「どうせ一週間もしたら飽きるだろうけど、一日一万円だからな? 弁護士費用が100万なら、100日は働いてもらう。」
「分かりました。」
「じゃあ、姉ちゃん、学校行ってくるね!」
制服を着たG子が手をひらひらさせて出て行った。
「お父さん、G子の高校卒業後の進路は決まってるの?」
朝食後、何となくC子は父親に尋ねた。
「んー、お前が東京行ったまま帰って来ない前提だったから、G子には跡継ぎになってもらうつもりだったんだ。どうする、お前が跡を継ぐか?」
農家の婿取りが難しいと言われたのはもう過去のことである。24世紀では、農業のハイテク化と地方の良さが見直されたことにより、農村地帯に婿に来る男性も増えた。跡を継ぐなら再婚しなくてはならないだろう。しかし、しばらくは結婚は懲り懲りだ。
「しばらく考えさせてください。」
そう言ったC子は再び牛舎へ行った。
C子は牛の乳首を消毒して搾乳機をつけ、搾乳を行う。昼にタンクローリーがやってくるので、それまでには搾乳を済ませる必要があった。
C子が牛舎で搾乳を見守っていると、ハウスのほうで父親の怒鳴り声がした。牛舎の入口からそっと外を見ると、「わ」ナンバーのスカイカーが停まっているのが見えた。本当にD夫がレンタカーを借りてここまでやって来たのだ。
「とりあえず、お父さんに任せよう。」
C子は再び牛を見守ることにした。
結局、あれから二週間後に届いた鑑定結果は、「母子関係なし」だったのだ。結果を受けて、C子はどうするか悩み、ラーメン店のオーナーから紹介された弁護士にも相談した。
「それは多分話し合いになる相手じゃないから、ひとまず黙って別居しましょう。で、F実ちゃんは入籍から二百日以内に生まれているので、親子関係不存在確認の訴えを提起すればいいです。あ、調停前置だから調停からスタートだけれど。」
C子は尋ねた。
「離婚はどうしたらいいですか?」
「このケースだと、親子関係不存在確認調停と一緒に離婚調停を申し立てたらいいかな。」
C子は頷いてメモを取る。
「旦那さん、専業主夫状態だから、なかなか色んなものを持って出ていくのは難しいね。貴重品だけ持ってとりあえず実家へ、というのがベストかな。」
隣で話を聞いていたオーナーが口を挟む。
「あの、その二つの調停で費用はどのくらいかかりますか?」
「よその事務所なら着手金で100万くらい取るところもあるだろうね。うちなら60万円でいい。あとは成功報酬で同額もらうから、離婚できて親子関係が不存在ってことになれば総額120万かな。」
オーナーの声は大きくなっていた。
「先生、ハタチの子にそんな大金が出せると思いますか?!」
弁護士はズレたメガネを直しながら言った。
「親御さんに借りてもらうか分割だね。うちは分割でも受けるから。」
C子は言った。
「あの、契約はとりあえず親に相談してからでいいですか?」
「もちろんです。」
法律事務所からの帰り、オーナーは言った。
「あの先生、そんなに金の亡者じゃないと思ってたけどな。」
「分割でもいいと言ってるので、そんなに酷い先生じゃないと思います。離婚調停の着手金については自分でも調べてみましたが、相場は30~40万くらいみたいです。その上に親子関係ナントカもやるから倍なんでしょうね。」
C子は冷静だった。この戦いにある程度の出費は予想している。しかし、C子には先立つものがない。そこで、C子は実家に戻って親に相談することにしたのだ。
「なんだ、このクソ忙しいときに帰ってきて。」
C子の父親は怒ったように言った。C子の実家は農家である。24世紀の農業は、種まきから収穫まで全て機械で行うため、C子の父親は自宅でモニターを見ながら作物の生育状況をチェックしていたのだ。
「私、D夫さんと離婚することにしました。」
「あ? 子どもはどうすんだ??」
「それが、私の子どもじゃなかったんです。」
「はあー?!」
びっくりしたC子の父親は、振り返ってC子の顔をしばらく見つめた。
「おい、もう1回言ってみろ。」
「F実は私の子ではなく、他の女性との子どもみたいです。」
「あの野郎、ふざけんな!」
C子の父親は机を叩いて立ち上がった。
「今すぐ電話してここまで呼び出してやる。」
「お父さん、ちょっとそれは待って。とりあえずお父さんとお母さんによく話を聞いて欲しいんだ。」
その夜、C子、C子の父親、C子の母親、高校生の妹G子の四人で家族会議が持たれた。C子は、今まで内緒にしていた、自分が妊娠・中絶していた事情も全て話した上で、D夫が育休明けに会社を辞めようとしていること、C子が大学を辞めて働くことを強制されそうになっていることを話した。もちろん、DNA鑑定の報告書もみんなに見せた。
「結論から言うと、どっちもどっちじゃない?」
G子はクールに言った。
「どっちもどっちなら、家族ならC子に味方すべきよ。だいたい、私はD夫さんが妊娠してないなら、この結婚には反対だったの。私、あいつ、大嫌い!」
C子の母親は鼻息を荒くしていた。
「そうだそうだ、うちのC子を騙してけしからん。とっとと離婚だ!」
父親も意気込んでいた。
「それで、お父さんとお母さんにお願いがあるんです。弁護士費用を貸して欲しいんです。」
父親は言った。
「50万でも100万でもいいぞ。ただし、しばらく家でべごの世話手伝え!それで帳消しにしてやる。」
C子の実家では、小規模ながら酪農も行っていた。牛は植物のようにはいかないので、ある程度人の手が必要になる。
「あ、お姉ちゃんがべごの世話するなら助かるかも。」
G子はニコニコしながら言った。
「お父さん、ありがとうございます。」
C子は頭を下げた。
そうしたところ、C子の携帯電話が鳴った。D夫からである。C子が出ようとすると、C子の父親がそれを制して出た。
「もしもし、まだバイトなの? 早く帰ってきて、お腹空いたよ。」
「あ? 何が腹減っただ。何もしてないくせに!」
突然のC子の父親の声に、D夫は狼狽えた。
「え、お義父さんですか、ってことはC子は実家にいるんですね。」
「そうだ。」
「C子がご迷惑をおかけしているようで申し訳ありません。明日、スカイカーを借りて迎えに行きますので。」
「迎えに来ても、C子は渡さん。C子はお前とは離婚すると言っている。F実はC子の子どもじゃないから置いて来たそうだ。」
携帯電話から離れた場所でも、D夫の「はあっ?!」という声が聞こえた。
「DNA鑑定までしたんだ、もうお前は嘘はつけんぞ。」
しばらくの沈黙のあと、「そんなはずはない!」とD夫は言い出した。
「当時、僕と肉体関係があったのはC子さんだけですよ。きっと鑑定結果のほうが間違えてる。」
「そんなはずがあるか! とにかく、C子は弁護士をつけて戦うらしいから、首を洗って待ってろ。」
C子の父親は電話を切った。
翌朝、C子の牛の世話が始まった。早起きしたC子は牛舎へ行き、掃除を始めた。ある程度掃除は機械化されているし、牛のふん尿も自動で排出されるようになっているが、牛の敷き藁だけは手動で交換する必要があった。
掃除が終わると今度は餌やりである。単に餌を牛にあげるだけではダメで、牛が食べる餌の量を見て牛の健康状態を判断するのだ。
「とりあえずみんな元気そうだな。」
牛の餌やりが終わって、やっと人間の朝ごはんの時間になる。父親はC子に尋ねた。
「どうだ、久々のべごの世話は?」
「田舎で牛を見ると癒されます。」
C子の実感だった。人間以外の色々なものが機械化されている中、牛だけは「ちゃんと牛」なのである。鳴いたり、排泄したり、餌を食べたりしている。
「どうせ一週間もしたら飽きるだろうけど、一日一万円だからな? 弁護士費用が100万なら、100日は働いてもらう。」
「分かりました。」
「じゃあ、姉ちゃん、学校行ってくるね!」
制服を着たG子が手をひらひらさせて出て行った。
「お父さん、G子の高校卒業後の進路は決まってるの?」
朝食後、何となくC子は父親に尋ねた。
「んー、お前が東京行ったまま帰って来ない前提だったから、G子には跡継ぎになってもらうつもりだったんだ。どうする、お前が跡を継ぐか?」
農家の婿取りが難しいと言われたのはもう過去のことである。24世紀では、農業のハイテク化と地方の良さが見直されたことにより、農村地帯に婿に来る男性も増えた。跡を継ぐなら再婚しなくてはならないだろう。しかし、しばらくは結婚は懲り懲りだ。
「しばらく考えさせてください。」
そう言ったC子は再び牛舎へ行った。
C子は牛の乳首を消毒して搾乳機をつけ、搾乳を行う。昼にタンクローリーがやってくるので、それまでには搾乳を済ませる必要があった。
C子が牛舎で搾乳を見守っていると、ハウスのほうで父親の怒鳴り声がした。牛舎の入口からそっと外を見ると、「わ」ナンバーのスカイカーが停まっているのが見えた。本当にD夫がレンタカーを借りてここまでやって来たのだ。
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