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第一章 ショタコン、異世界に立つ
19 友達とは
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お風呂から上がると、すでに10時ごろになっていたので、俺はリュイとエルを連れて自室へと向かった。
リュイとエルのために空いた床に布団を二つ敷こうと思ったが、俺の部屋はそんなに大きいわけがなく、布団一つで床のスペースはほとんどが埋まってしまった。
「ごめんな、、狭い部屋で…。二人とも同じ布団でいいか?」
「全然大丈夫だよ!」
「僕も平気」
「よかった。それじゃあ明かり消すぞ」
枕元にあるランタンの中にあった蝋燭を吹き消すと、部屋には窓から差し込んでくる月の光だけが残った。
ベッドに入った俺は、今日1日を振り替えて小さいため息をついた。
数秒ほど静かな時間が続くと、エルが口を開いた。
「ありがとね、二人とも…」
「…」
いきなり真面目トーンで感謝をされるとは思わず、俺とリュイは固まってしまった。
そしてエルはそのまま話し出した。
「今日の放課後、二人が声をかけてくれたことがすごく嬉しかったんだ…。僕のことを気にかけてくれて、お泊まり会をしようって言ってくれて…。それなのに、僕は変な気を起こして、二人のお家の人まで困らせて…。」
エルは淡々とした口調で続けた。
「泊まらせてもらった上に、悩み事まで聞いてもらえて、僕は幸せ者だと思う。」
しばらく間を置いて、リュイも口を開いた。
「当たり前だよ。僕たち友達なんだから。心配してあげるのも、悩みを聞いてあげるのも、一緒にお泊まり会をするのも。全部友達だからできることだよっ。」
全くその通りだ。リュイはいいことを言うなあ…。
ベッドの上で一人感心している俺を横目に、エルは再び語り始めた。
「僕、親と話してみようと思う。勉強のことも、運動のことも。」
そして続けて、
「今日、二人と一緒にいてわかったんだ。勉強も運動も、僕の未来のためになるけど...。二人と遊べる時間をもっと大切にしたい、…って。」
最後に少しだけ間をあけてこう言った。
「二人と友達になれて本当によかった。」
それを聞いて、俺とリュイも布団に入ったまま、天井に顔を向けたまま応えるように口を開く。
「俺もエルと出会えてよかった」
「僕も。エルくんはいつまでも大切な友達だよっ。」
「…ふふっ」
少し照れ臭くなった俺たちは、耐えきれなくなったエルに続いてくすくすと笑い出した。
親たちにバレないように、息を殺して。
その後も、学校のことや家のことなどを話しているうちに、俺たちはゆっくりと眠りに落ちた。
ーーー
お泊まり会から2日後の朝。
俺とリュイは眠い目を擦りながら、学校の廊下を歩いていた。
「リオンくん…眠いよぉ…」
「ほら、月曜日なんだからシャキッとしろよ~」
「おうち帰って寝たいぃ…」
あくびをするリュイを連れて教室へと入ると、見覚えのあるオレンジ髪の生徒がすでにいつもの場所に座っていた。
「あっ、リオンくーん、リュイくーん!」
「ほら、エルもいるぞ。早く起きろ~」
「ふわぁ…」
荷物を置いて席に座ると、エルがこちらに話しかけてきた。
「リオンくん、先週はありがとね、お泊まり会…。これ、ほんのお礼だけど…」
とエルから袋に入った長方形の木箱をもらった。
「これは…?」
「お父様に、お礼に持って行けって言われたんだ。クレモンティーヌ家特産のオレンジジャムだよ~。」
木箱を開けると、中には瓶にたっぷり入ったオレンジ色のジャムが、光に照らされてキラキラと輝いていた。
こりゃまた高そうな品物だー…。
「クレモンティーヌのオレンジジャム…!?」
いつの間にか背後に居たリュイは、またもや驚きを隠せない様子だった。
先ほどの眠気はどこに行ったのか。
「クレモンティーヌ家のオレンジジャムは、昔から友好の印として送られることがあったんだって!すごいよリオンくん!」
え、これもしかして結構すごいやつ…?
それにしてもジャムが友好の印って、異世界はやはりよくわからないな…。大切に家に持って帰ろう…。
「あと、僕、ちゃんとお父様と話したんだ。そうしたら、家庭教師は1週間に3回まで減らしてもらえたよ!」
「この前言ってた事、ちゃんと話せたんだな。よかった。」
「放課後に遊べる日も増えるから、その時は呼んでもらえると嬉しいな」
「もちろんだよ!これで学校終わってもいろんなことが話せるようになるね!」
両手を繋いできゃっきゃと飛び跳ねる二人を見て、少し微笑ましいと思う俺であった。
ジャムの入った箱をとりあえず足元に保管したところで、先生が教室に入ってきた。
これでエルのお泊まり会騒動もひと段落ついた。
それにしても、改めて「友達」と言う概念について考えさせられる数日だった。
急に中央貴族を家に連れて行くのは俺もどうかしてたと思うが、今考えればこれが一番いい方法だったのだと思う。
何より、ショタ2名と同時入浴をするという快挙を成し遂げたのだから、俺的には大満足だ。
続く
リュイとエルのために空いた床に布団を二つ敷こうと思ったが、俺の部屋はそんなに大きいわけがなく、布団一つで床のスペースはほとんどが埋まってしまった。
「ごめんな、、狭い部屋で…。二人とも同じ布団でいいか?」
「全然大丈夫だよ!」
「僕も平気」
「よかった。それじゃあ明かり消すぞ」
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ベッドに入った俺は、今日1日を振り替えて小さいため息をついた。
数秒ほど静かな時間が続くと、エルが口を開いた。
「ありがとね、二人とも…」
「…」
いきなり真面目トーンで感謝をされるとは思わず、俺とリュイは固まってしまった。
そしてエルはそのまま話し出した。
「今日の放課後、二人が声をかけてくれたことがすごく嬉しかったんだ…。僕のことを気にかけてくれて、お泊まり会をしようって言ってくれて…。それなのに、僕は変な気を起こして、二人のお家の人まで困らせて…。」
エルは淡々とした口調で続けた。
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しばらく間を置いて、リュイも口を開いた。
「当たり前だよ。僕たち友達なんだから。心配してあげるのも、悩みを聞いてあげるのも、一緒にお泊まり会をするのも。全部友達だからできることだよっ。」
全くその通りだ。リュイはいいことを言うなあ…。
ベッドの上で一人感心している俺を横目に、エルは再び語り始めた。
「僕、親と話してみようと思う。勉強のことも、運動のことも。」
そして続けて、
「今日、二人と一緒にいてわかったんだ。勉強も運動も、僕の未来のためになるけど...。二人と遊べる時間をもっと大切にしたい、…って。」
最後に少しだけ間をあけてこう言った。
「二人と友達になれて本当によかった。」
それを聞いて、俺とリュイも布団に入ったまま、天井に顔を向けたまま応えるように口を開く。
「俺もエルと出会えてよかった」
「僕も。エルくんはいつまでも大切な友達だよっ。」
「…ふふっ」
少し照れ臭くなった俺たちは、耐えきれなくなったエルに続いてくすくすと笑い出した。
親たちにバレないように、息を殺して。
その後も、学校のことや家のことなどを話しているうちに、俺たちはゆっくりと眠りに落ちた。
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「あっ、リオンくーん、リュイくーん!」
「ほら、エルもいるぞ。早く起きろ~」
「ふわぁ…」
荷物を置いて席に座ると、エルがこちらに話しかけてきた。
「リオンくん、先週はありがとね、お泊まり会…。これ、ほんのお礼だけど…」
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「これは…?」
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こりゃまた高そうな品物だー…。
「クレモンティーヌのオレンジジャム…!?」
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先ほどの眠気はどこに行ったのか。
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え、これもしかして結構すごいやつ…?
それにしてもジャムが友好の印って、異世界はやはりよくわからないな…。大切に家に持って帰ろう…。
「あと、僕、ちゃんとお父様と話したんだ。そうしたら、家庭教師は1週間に3回まで減らしてもらえたよ!」
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続く
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