【新章突入】ショタたちがいろんなものに襲われる話

のりたまご飯

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第5章 振り返れば、そこには。

Part13 新居

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アパートの下に降りると、黒ずくめの車が1台、そこに止まっていた。
近づくと、運転席には先程の20代の男性すわっていた。

すると、自動的に後ろのスライドドアが開き、男が後ろに向いて

「入りな~」

という。
二人はそれに従い、黒い車に乗り込んだ。
内装はそれほど豪華なものではないが、柔らかいソファーと広い車内は、いかにも政府のものであると悠人は気づいた。
悠真はまだ眠そうにうとうとしている。

男がハンドルを握りアクセルを踏むと、車はゆっくりと住宅街を走り出した。
しばらくの沈黙が流れた後、

「あのっ…」

「…うん?」

「なんて呼べば…いいんですかね」

「そうだね~、一つ、”Z”とでも呼んでくれるかな」

「”Z”??」

「うん」

「アルファベットの?」

「うん。」

「そりゃまたなんでですか?」

「オレはそんなに自分の名前を曝け出したくないからさ、偽名をしょっちゅう使ってるんだよ~。怪しいものとかじゃないから安心してね~」

悠人は怪しいとしか感じられなかった。
そのままさらに沈黙が続いた。

車は高速のインターチェンジから首都高速に乗り、ジャンクションで他の路線に渡ったあと、5つほど先の出口で高速を降りる。
高速を降りると、あたりは平地が広がる平原で、ほぼ空き地が広がっていた。
少し先に大きな白い建物が見えると、車をその駐車場の止め、ブレーキをひいた。

「到着で~す。我が研究所へようこそ~」

「でっか…」

「なんと築一週間~!中はまだ工事があるから、そのまま3階へとむかいま~す。悠真くん起こしてついてきてね」

「は、はあ…」

うとうとしている悠真を起こすと、二人で手を繋ぎ、Zと呼ばれる謎の男についていく。
大きな白い建物の正面玄関のような場所に入ると、中の様子が見える。
トンカチを叩く音や溶接をする作業音が防音壁の先から微かに聞こえてくる。

その手前にあるエレベータに乗って、3階で降りると、いかにも新しそうな雰囲気のホテルのようだ。
見方を変えると刑務所のようにも見えるフロアの一番奥の部屋に二人は案内された。

「はいこれ鍵。」

「ふえ」

「今日からここが君たちの部屋です。ツインベッドだから足りるかな?くつろいでもらえると嬉しいな~」

「えっ…もうここなんですか」

「うん。とりあえず悠真くんもまだ眠そうだし、色々自分たちで試してもらってさw。今6時だから、7時半にまたくるね~じゃ、ごゆっくり~」

そういうとZはそそくさと去っていった。

「どうなってんの~…眠い…」

「オレもわかんない…まあとりあえずお部屋行ってみる?」

「うん…」

ガチャ

「「うわあ…」」

鍵でドアを開けると、中は50m2ほどある部屋に、ソファーとテレビ、奥にツインベッドが2台並んで置いてあるという、いかにもファミリーホテルにあるスタイルだった。
ホテルにいったことのない二人だが、広い部屋には大興奮だった。お風呂とトイレも室内にあり、よくみると勉強机も二人分置いてあった。徳井の家より3倍ほど広い。
新しいホテルに来たらまずすることは一つ。ベッドにダイブ!!

「柔らか~い!」

「すごっ…こんなベッド寝たことない…」

「トランポリンだー!!」

「こらこらw悠真はまだ風邪が完全に治ってないんだからさ!ジャンプしないの!」

「はーい…」

家具は一通り置いてあったが、部屋には窓がなく、天井の近くに光が差し込む換気口のようなものが数個ついているだけである。

「これは…なんでだろう」

「やっぱりなんかの怪しい組織だったりして!」

「そうとしか考えられないじゃーん!」

「「いえーい!!」」

それでも二人は新居に大興奮のようだ。

リュックから荷物を取り出したりして部屋に慣れていると、もうすでに時刻は7時30分を回るところである。

続く


=天の声=
いよいよ研究所登場~!
あと2話ほどで過去編完結させる予定です!
どうぞお楽しみに~
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