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最終章 この日常だっていつか
Part12 海辺のベンチ (駿日Side)
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駿太一人称に戻ります
その後、僕は日向とともに電車に乗り込んだ。
昼時が近づいていたので、どこかの大きな駅で下車して昼食を取る。
都会によくあるイタリアン、だけどとても安いあの料理屋。
チキンとドリアを一緒に食べると美味しい。
前にお客さんに一回連れてきてもらったことがある。
「ねえひーくん」
「ん?」
「これってデートだよね…」
「まあ現世に帰ってきたことのお祝いじゃない?」
「現世ってwあそこも現世じゃん」
「どうかな~?結局どこにあるのおかもわからなかったし、訴えるにしても、国家機密?とか言ってたし。」
「訴えるのは流石に…存在してるかもわからないところに訴えたらただの厨二病キッズになっちゃうよ?」
「まあ脱出できたんだしいいじゃん!オレは駿太と離れ離れは嫌だ」
ご飯を食べ終わると、ひーくんがお金持ってなかったからカバンの中に入っていた1ヶ月前の貯金で支払う。
僕こんなにお金貯まってたんだなぁ…
その後もラブラブデートをしていると、もう4時を回っていた。
そろそろホテルに帰ろうかな…なんて思っていると
「駿太さ…」
「ん~?」
ひーくんは何か改まった顔をしているみたい
「小学校3年生の時に…オレと電車に乗って駅に行ったの、覚えてる?」
「…」
思い出してみる…
小学校3年生…
お母さんの悪い噂が広まって...僕が避けられる対象になりはじめた時…
それでもひーくんは毎日僕についてきてくれた
それでも学校での嫌がらせだったり、家のことだったり…
まだ小学校3年生で、自己防衛能力もなかった僕は、すっかり精神崩壊して不登校になっちゃった。
今でも思い出したら胸がグッとなる感じがする、、
それで不登校になって数日経った時に、ひーくんが学校終わりに会いにきてくれて、
「電車、乗りに行かない?」
って言われて…
最初は混乱したけど、ひーくんについていった。
「うん、もちろん覚えてるよ!」
「その…今日、時間あるならさ、行ってみない?」
「えっ、また?」
「うん…だめ、かな、も、もし駿太にとって嫌な思い出だったら、別に大丈夫なんだけど…」
「…そんなことないよ。ひーくんと一緒に行くんだったらどこでもいいって言ったじゃん?」
「…」
大きな駅数回で乗り換え、
ローカル線とはいえど、都会からそれほど離れていない路線に乗り込んだ。
すでに時計は6時を回っていた。
夏とはいえど、太陽はそろそろ沈みそうな勢いで斜めに光を送っていた。
車内にはそれほど人は乗っておらず、ふんわりとしたロングシートに二人で腰掛ける。
ガタンゴトンと、海沿いを走る電車からは、太陽の光に照らされた海面が見える。
所々鉄橋を通過するときに、大きな声がする。
「あの子も僕らとおんなじぐらいの年だよね」
「確かに…なんで乗ってるんだろ」
「地元の人なんじゃない?」
「いや、リュック背負ってるじゃん」
「ほんとだ…」
こそこそと話をしていると、その駅が近づいてきた。
電車を降りると、そこはシンプルな終着駅。黄色と水色のラインが入った、ちょっと古い…?電車が止まっている。
ホームには工場帰りの人が、続々と電車に乗り込んでいる。
ホームから見えるのは一面の海…ではなく、川…?
大きな橋とか建物が見えるから、海と川の間みたいな感じかな…
日向に手を引かれると、小さな公園みたいなところにやってきた。
覚えてる。一年前、僕はここにいた。
木のベンチに座って、まずは下を向く。
ふぅ、とため息とついて、顔をあげると、
夕日が流れる水を照らしてオレンジ色に染めている。
そうそう、この風景。
1年前もこんな感じだったな…
右隣にひーくんがいて、お話聞いてくれて、頭撫でてもらって…
思い出したら涙が出そうだったけど…もうちょっと引っ込めておく。
「大丈夫?」
「うん。懐かしいなーって思って。」
「そっか。昔のこと思い出して辛くなっちゃったらいつでも言ってね?」
「大丈夫だよ。もう昔みたいに泣き虫じゃない…し」
「…」
ひーくんが黙って頭を撫でてくれた。
手の感触が髪の毛、そして頭に伝わるたびに、昔のことも思い出す。
泣いちゃダメなのに…
目の前の風景がだんだんと滲んでいく。
「ほらやっぱり。」
ひーくんはほんの少し微笑んで、最後には抱きしめてくれた。
元々暑いはずなのに、あったかい…
抱きしめてもらうのが、僕は大好きなんだなぁ…
嗚咽を上げながら泣き続けても、ひーくんは右手で頭を撫でてくれながら、左手でそっと肩を抱いてくれた。
続く
=天の声=
最近駿太くん泣かすのにハマってるかもしれない
さてこの駅、鉄道に詳しい方ならわかるのではないでしょうか。
私は行ったことはないです。今度行ってみよっかな...
まあ次回以降もお楽しみにということで...
ついに5月に突入してしまいました。
GWで一気に書き上げたいと思います。
その後、僕は日向とともに電車に乗り込んだ。
昼時が近づいていたので、どこかの大きな駅で下車して昼食を取る。
都会によくあるイタリアン、だけどとても安いあの料理屋。
チキンとドリアを一緒に食べると美味しい。
前にお客さんに一回連れてきてもらったことがある。
「ねえひーくん」
「ん?」
「これってデートだよね…」
「まあ現世に帰ってきたことのお祝いじゃない?」
「現世ってwあそこも現世じゃん」
「どうかな~?結局どこにあるのおかもわからなかったし、訴えるにしても、国家機密?とか言ってたし。」
「訴えるのは流石に…存在してるかもわからないところに訴えたらただの厨二病キッズになっちゃうよ?」
「まあ脱出できたんだしいいじゃん!オレは駿太と離れ離れは嫌だ」
ご飯を食べ終わると、ひーくんがお金持ってなかったからカバンの中に入っていた1ヶ月前の貯金で支払う。
僕こんなにお金貯まってたんだなぁ…
その後もラブラブデートをしていると、もう4時を回っていた。
そろそろホテルに帰ろうかな…なんて思っていると
「駿太さ…」
「ん~?」
ひーくんは何か改まった顔をしているみたい
「小学校3年生の時に…オレと電車に乗って駅に行ったの、覚えてる?」
「…」
思い出してみる…
小学校3年生…
お母さんの悪い噂が広まって...僕が避けられる対象になりはじめた時…
それでもひーくんは毎日僕についてきてくれた
それでも学校での嫌がらせだったり、家のことだったり…
まだ小学校3年生で、自己防衛能力もなかった僕は、すっかり精神崩壊して不登校になっちゃった。
今でも思い出したら胸がグッとなる感じがする、、
それで不登校になって数日経った時に、ひーくんが学校終わりに会いにきてくれて、
「電車、乗りに行かない?」
って言われて…
最初は混乱したけど、ひーくんについていった。
「うん、もちろん覚えてるよ!」
「その…今日、時間あるならさ、行ってみない?」
「えっ、また?」
「うん…だめ、かな、も、もし駿太にとって嫌な思い出だったら、別に大丈夫なんだけど…」
「…そんなことないよ。ひーくんと一緒に行くんだったらどこでもいいって言ったじゃん?」
「…」
大きな駅数回で乗り換え、
ローカル線とはいえど、都会からそれほど離れていない路線に乗り込んだ。
すでに時計は6時を回っていた。
夏とはいえど、太陽はそろそろ沈みそうな勢いで斜めに光を送っていた。
車内にはそれほど人は乗っておらず、ふんわりとしたロングシートに二人で腰掛ける。
ガタンゴトンと、海沿いを走る電車からは、太陽の光に照らされた海面が見える。
所々鉄橋を通過するときに、大きな声がする。
「あの子も僕らとおんなじぐらいの年だよね」
「確かに…なんで乗ってるんだろ」
「地元の人なんじゃない?」
「いや、リュック背負ってるじゃん」
「ほんとだ…」
こそこそと話をしていると、その駅が近づいてきた。
電車を降りると、そこはシンプルな終着駅。黄色と水色のラインが入った、ちょっと古い…?電車が止まっている。
ホームには工場帰りの人が、続々と電車に乗り込んでいる。
ホームから見えるのは一面の海…ではなく、川…?
大きな橋とか建物が見えるから、海と川の間みたいな感じかな…
日向に手を引かれると、小さな公園みたいなところにやってきた。
覚えてる。一年前、僕はここにいた。
木のベンチに座って、まずは下を向く。
ふぅ、とため息とついて、顔をあげると、
夕日が流れる水を照らしてオレンジ色に染めている。
そうそう、この風景。
1年前もこんな感じだったな…
右隣にひーくんがいて、お話聞いてくれて、頭撫でてもらって…
思い出したら涙が出そうだったけど…もうちょっと引っ込めておく。
「大丈夫?」
「うん。懐かしいなーって思って。」
「そっか。昔のこと思い出して辛くなっちゃったらいつでも言ってね?」
「大丈夫だよ。もう昔みたいに泣き虫じゃない…し」
「…」
ひーくんが黙って頭を撫でてくれた。
手の感触が髪の毛、そして頭に伝わるたびに、昔のことも思い出す。
泣いちゃダメなのに…
目の前の風景がだんだんと滲んでいく。
「ほらやっぱり。」
ひーくんはほんの少し微笑んで、最後には抱きしめてくれた。
元々暑いはずなのに、あったかい…
抱きしめてもらうのが、僕は大好きなんだなぁ…
嗚咽を上げながら泣き続けても、ひーくんは右手で頭を撫でてくれながら、左手でそっと肩を抱いてくれた。
続く
=天の声=
最近駿太くん泣かすのにハマってるかもしれない
さてこの駅、鉄道に詳しい方ならわかるのではないでしょうか。
私は行ったことはないです。今度行ってみよっかな...
まあ次回以降もお楽しみにということで...
ついに5月に突入してしまいました。
GWで一気に書き上げたいと思います。
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