あなたが残した世界で

天海月

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15.旅の終わり

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長いようで短かったロザリアの片道の旅は、間もなく終わりを迎えようとしていた。

もう彼女の死に場所である洞窟は、ここから程近い。





いよいよ自身の死が近くなってきたのだと実感した彼女は、その短い人生を思い出し、感傷に浸った。

ロザリアの人生は八年前にアーロンを失ってから、生きていても死んでいても同じようだった。

誰にも心を許せず、仮面のような笑顔を貼り付けてやり過ごす毎日が、ただ過ぎていくだけだった。

ロザリアは生贄に選ばれたとき、なぜ自分が選ばれなくてはならないのかという理不尽に対する嘆きと共に、やっとこの終わりのない虚しい日々を終わらせることが出来るのだと、どこか安堵さえ感じていたところがあった。

生きて救われない自分を、死こそが解放してくれるのだと。

けれど、その気持ちは皮肉にも、最期の願いとして彼に再会し、共に日々を過ごす事で変化してしまっていた。

死にたくない・・・。

今のロザリアは、死を恐れるようになってしまっていた。

この生贄という自らの不幸の礎の上にのみ成り立っている、砂上の楼閣のように脆い彼との幸せな日々に、凍り付いた心を融かされてしまったから。



だが、彼女にはどこか諦めがあった。

死にたくはないけれども、いよいよ覚悟は決めなくてはなるまいという。

先日、アーロンが自分を、あの雨の中背負って運んでくれたというのはロザリアにとって、一人の女として嬉しいことだった。

しかし客観的に考えれば、そこには彼からの好意や私情など、少しも介在してはいなかったはずだ。

彼は騎士として、己の信条に基づいて彼女を救い、運んだに過ぎない。

彼がロザリアを守ってくれるのは、決して彼女を生かそうという為では無いのだ。

ロザリアは、彼がただ無事に生贄として送り届けるためだけに、今彼女を生かし、助けようとするのだという、認めがたいけれども惨い事実から目を逸らすわけにはいかなかった。

そして、それすらも間もなく終わってしまうのだという冷淡な現実。

彼は私を死なせるために生かしているだけなのだ・・・。





そして、二人はようやく洞窟に辿り着いた。




******************************
<お知らせ>

最後まで書きあがりましたので、今週中に完結致します。

引き続き、お読みいただければ幸いです。
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